カゼインの利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/02 02:10 UTC 版)
カゼインは、食品化学や材料化学の分野でさまざまに利用・応用されている。 栄養補助剤 カゼインはそれ自体が栄養価が高いタンパク質であるため、栄養補給を目的に栄養補助剤として使われる。またカゼインはカルシウムと結びつきやすく、ヒトがカルシウムを吸収するのを助ける性質があるため、カルシウム補給を目的とした栄養補助剤に添加される。 安定化剤 カゼインは水溶液中でミセルを形成し、他の不溶性の物質の分散を助け、長期間安定に分散した状態に保つのを助ける。この性質を利用して、カゼインは加工飲料や化粧品(特に乳液)などの安定化剤として利用されている。この用途には、より水溶性が高く使いやすいカゼインナトリウム塩(カゼインNa)が繁用される。 カゼインプラスチック 牛乳に酸を加えるなどするとカゼインは沈澱して、象牙に似た外観の熱可塑性のプラスチックとなる。これをカゼインプラスチック、ラクトカゼインなどと呼ぶ。印章、ボタンなどの材料として工業的に利用されている。1898年にドイツで発明された。染色が可能。 特にホルムアルデヒドで架橋したガラリス(英語版)は象牙の代用品として利用された。 プロミックス カゼインにアクリロニトリルをグラフト重合して作った繊維をプロミックスと言い、1970年代に東洋紡によって開発された。絹に似た風合いが特徴。 塗料 カゼインをアンモニアなどのアルカリで中和することによって水溶化し、古くから塗料原料(主には皮革用塗料)として使用されている。 接着剤 初期の集成材は、接着剤にカゼインを利用していた。アメリカには1930年代にカゼインを利用した集成材で建設された図書館が現存する。 物資不足だった日本軍では、四式戦闘機を木製化したキ106の接着剤として使用したがトラブルが多かった。
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