エヴァンスの逮捕につながる諸事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 06:43 UTC 版)
「エヴァンス事件」の記事における「エヴァンスの逮捕につながる諸事件」の解説
数週間後、1949年11月30日、エヴァンスは、マーサー・ティドビルの警察に、妻が不審な状況で死亡したと通報した。彼の最初の告白では、胎児を流産させるために人からもらった瓶の中身を飲ませたら死んでしまったので、リリントン・プレース10番地の外にある下水道に死体を遺棄したという。彼は、ジェラルディン(Geraldine)の面倒を見てもらえるよう手筈を整えたのち、自分はウェールズに向かったと警察に語った。しかしながら警察が外の下水道を調べたとき、何も見つからなかったし、さらに、マンホールの蓋を外すのに警官3人の力を要した。 再質問のとき、エヴァンスは話を変え、クリスティがベリルに妊娠中絶を行なうことを申し出たと言った。エヴァンスは妻と論議したのち、ふたりはクリスティの申し出に応じることで合意した。11月8日、エヴァンスが帰宅すると、クリスティから妊娠中絶はうまくゆかず、ベリルは死亡したと知らされた。クリスティは、自分が死体を処分し(当時、英国では妊娠中絶は違法であった)、イースト・アクトン(East Acton)出身の夫婦にジェラルディンの面倒を見てもらえるよう手筈を整えるつもりだと言った。彼はエヴァンスに、その間、ロンドンを離れているように言った。11月14日、エヴァンスは親戚の家に滞在するためにウェールズにむけて発った。エヴァンスはのちにリリントン・プレース10番地に戻って、ジェラルディンに会わせてほしいと求めたが、クリスティは会わせてくれようとしなかったと証言した。 エヴァンスの2つめの供述に応じて、警察は、リリントン・プレース10番地の初動捜索をおこなったが、ヒトの大腿骨がごく小さい庭(ほぼ、長さ16フィート、幅14フィート)の柵の支えとして使われていた以外に有罪を証明する証拠を見つけることができなかった。続いて12月2日により徹底的な捜索を行い、警察は裏庭に設置された洗濯所のなかで、テーブルクロスに包まれたベリル・エヴァンスの死体を見つけた。施錠された洗濯所は、クリスティの妻が管理していたナイフを使わなければ中には入れないようになっていた。しかしながら、重要なことには、ベリルの死体とともに、ジェラルディンの死体も見つかった--エヴァンスはどちらの供述においても自分が娘を殺害したことに言及していなかった。ベリルとジェラルディンはともに絞殺されていた。 警察はさらに庭を調べたが、クリスティが過去に殺して浅い穴に埋めた二人の被害者の遺体は見つからなかった。実のところ、クリスティ飼い犬が被害者の一人、ミス・イーディ(Miss Eady)の頭蓋骨を掘り起こしてしまったので、近くにあった戦時中に空襲で破壊された建物の中に遺棄したのであった。この決定的証拠となるべき頭蓋骨は、のちに廃墟で遊んでいた子供たちによって発見されて警察に届けられたにもかかわらず、無視されてしまった。 エヴァンスは妻と子の死体から取られた衣服を見せられ、同時に両者ともに絞殺されたことを知らされた。彼は、彼女らの死亡に責任があるかどうか訊ねられた。エヴァンスの供述によれば、これが、彼が娘である赤子が殺害されたことを知らされた最初の機会であった。これに対して、彼はどうやら「イエス、イエス」(yes,yes)と応じたらしい。彼はどうやら、それから借金をめぐる議論のあいだにベリルを絞殺し、2日後にジェラルディンを絞殺し、その後ウェールズにむけて発ったと認めたらしい。 この告白とされるものは、警察の取調べのあいだにエヴァンスがおこなったたほかの否定的な供述とともに、以前は、彼の有罪の証拠として引用された。しかしながら、ルードーヴィック・ケネディ(Ludovic Kennedy)は、有罪の自白は捜査官らによってでっち上げられ、エヴァンスに書き取られたことと、彼らは、被告人を精神的肉体的に不利になる、深夜早朝に取り調べ、彼はすでに高度に感情的な状態の男であったことを示した。エヴァンスはまた法廷で、自分は警察によって暴力をふるううぞと脅迫されたと述べたし、彼らがエヴァンスに虚偽の自白を強要したということはありそうなことである。警察の捜査は、リリントン・プレース10番地の裏庭のクリスティの初期の犠牲者の骨のような、鍵となる証拠を失うか無視することとともに、法廷的技術の欠如によって特徴づけられた。
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