エピフォンカジノとは? わかりやすく解説

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エピフォン・カジノ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/24 06:06 UTC 版)

エピフォン・カジノ
Epiphone Casino
エピフォン・カジノ VT
メーカー/ブランド エピフォン
構造
ボディタイプ 中空ボディ(センターブロック無し)
ネックジョイント 1961~1967年:16フレット
1968~1969年:19フレット
日本・韓国製:17フレット (一部の限定モデルは16フレット)
中国製:17→16フレット
材質
ボディ メイプル
ネック マホガニー (1985~1990年頃の日本製はメイプル)
フィンガーボード ローズウッド
ナット アメリカ製:牛骨
日本・韓国・中国製:プラスチック
ハードウェア
ペグ クルーソン(エリーティスト、JLモデルはグローヴァー)
ブリッジ チューン・O・マティック
テールピース トラピーズテールピース
ビグスビー・トレモロユニット
トレモトーン
フリーケンサター
電気系統
ピックアップ シングルコイルP-90)×2(過去には1基のみのモデルも存在した)
コントロール ボリューム×2、トーン×2、ピックアップセレクタースイッチ(フロント/オール/リア)
カラーバリエーション
サンバースト、チェリー、ナチュラル、エボニー(ブラック)、ホワイト、オーシャンターコイズ など
その他
古いモデルではヘッド幅が広い。現行機種の殆どは中国製。
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エピフォン・カジノ (Epiphone Casino) とは、1961年エピフォン社がギブソン社に買収された後に、ギブソン社がエピフォン・ブランドとして発売した、アーチトップタイプのエレクトリックギターである。ピックアップを2個搭載した最も一般的なモデルの型番はE-230TD。

特徴

構造的特徴

ボディデザインはギブソン・ES-330をベースに作られている。セミアコースティックギター同様のハーフデプスボディ(薄い胴)でありながら内部構造はセンターブロックが無く、フルアコースティックギター(フルアコ)の機構を持つ。この構造から、一般的なセミアコよりややスペイシーでふくよかな音質を持つ。

ピックアップはボディトップに長方形の穴を開け、通常2基のP-90(ドッグイヤー型)というシングルコイルピックアップを装備する(E-230TDの2つのピックアップの中間にあたる位置にP-90を1基しか装着していない、E-230Tというモデルもあり、野村義男がこの1ピックアップモデルを所有している)。ただし一般的なP-90ピックアップの外殻がプラスチック製であるのに対し、カジノに標準装備されているP-90ピックアップの外殻は金属製である。ボリュームとトーンコントロールノブは、フロントとリア用にそれぞれ1つずつ計4つ付いている。ピックアップセレクタースイッチはギブソンの他のギター同様、センターポジションにした際、どちらかのピックアップのボリュームを0にすると音がミュートされる構造になっている。

サウンドの特徴

センター・ブロックがないため、通常のセミアコより太い音が出せ、リズムギターリードギターの両方に用いることができる。また、ロックのみならず、ジャズでも活躍している。生音でも比較的よく鳴るが、故にアンプの近くで演奏するとフィードバックが起きやすい。この欠点を逆手にとった演奏方法(フィードバック奏法)もできたりと、様々な使い方ができる。ジョージ・ハリスンが、映画『レット・イット・ビー』で、リンゴ・スターに向けて「アイ・ミー・マイン」を生音で弾き語っている。

代表的なスペック

エピフォン・'61カジノ・50thアニヴァーサリー
  • ボディ・トップ材:メイプル -ハウリングを抑えるために5プライ構造をとる。
  • ボディ・サイド材:メイプル
  • ボディ・バック材:メイプル
  • ネック材:マホガニー
  • フィンガーボード材:ローズウッド
  • ネック・ジョイント仕様:セット
  • スケール:24.75"
  • ブリッジ:Gibson ABR-1
  • テールピース:トラピーズタイプ
  • ピックアップP90×2
  • コントロール:2Vol, 2Tone, 3Wayスイッチ
  • カラー:サンバースト 他にチェリー(レッド)、ナチュラル、エボニー(ブラック)など。

近年の主なモデル

2011年現在日本で新品で購入できるのは、レギュラー・カジノとエリーティストカジノである。 山野からギブソンジャパンへの移行で日本製のエリーティストの供給は止まっていた。

レギュラー・カジノ (中国製)
2024年現在、一般的に販売されているモデル。ポリエステル塗装。サンバースト・カラーの色合いはオリジナルとは異なり、フェンダー社のような赤が入った3トーンになっている。2006年頃から出回ったギブソン社中国青島工場製製品のシェイプは当初著しく崩れていたが、2007年の入荷分から日本製に準じたシェイプに改善されている。サンバースト・カラーの色合いは、当初はホーンも黒く塗り潰された、ギブソン社の仕様に準じたものとなっていたが、これも2008年の入荷分からは日本製に準じた色合いに改められている。ピックアップは低コストのエピフォン製が付けられている。指板材もローズウッドではなく、安価なローレル材が使用されている。価格はジョン・レノンの人気・世間の注目度とともに変動する傾向がある。
世界1965本限定 ジョン・レノン・カジノ
ジョン・レノンが最初に購入した頃のレプリカの通称「'65」と、ビートルズ後期にそれの塗装を剥がしナチュラルカラーにした時期のレプリカ「レボリューション」の2種類が限定生産された。「レボリューション」の名はジョン・レノンによるビートルズ後期の曲「レボリューション」に因む[注釈 1]。ラッカー塗装。アメリカ製名義だが、正確には日本製のボディ、ネックをアメリカのギブソン工場に送り、ギブソンのパーツでアッセンブリーしたもの。ヘッドの裏にレノンが所有するモデルと同じシリアルナンバーが打刻されている。(実際のシリアルナンバーはボディ内のラベルに記載)
ジョン・レノンモデル(70th Anniversary Commemorative John Lennon Casino)(日本製)
ジョン・レノン生誕70周年を記念して70本限定[1]で作られたモデル。12フレットにジョン・レノンの誕生日(1940年10月9日)が刻印されている。オノ・ヨーコ直筆サイン入りの認定書やブラック・ノブ、本モデル購入者限定の特製ピックなどが付属品アイテムとして用意されている。
'62カジノ、'64カジノ (日本製)
ジョン・レノンを彷彿とさせる'65モデルに対して、それぞれポール・マッカートニーとジョージ・ハリスンの所有モデルをイメージしている。ヘッドにシリアルが入っていない。ラッカー塗装。上記モデルと同じ木部でピックアップも米ギブソン製。1960年代のエピフォン製を模したケースが付属する。東京のビートルズ専門楽器店Withオリジナルとしてギブソン・エピフォンの許諾のもと発売された。米国製の約半額と比較的安価であり、同価格帯の下記日本限定モデルより音が良いとされた。'64は'62より早く発売され、流通量も多い。山野楽器がこれをベースにしたジョージ・ハリスン追悼モデルを2002年に販売したことがある。
'65カジノ、レボリューション・カジノ (Revolution Casino) (日本製、モデル名は通称)
この2モデルはジョン・レノンカジノの廉価版として少数生産された限定モデル。「Japan Limited」のブランドを略したJLの2文字が型番に含まれ、これがJohn Lennonの頭文字とかけられている。ラッカー塗装。上記モデルと同じ木部であるがピックアップは米ギブソン製ではない(レギュラーとも異なる)。ヘッドにレノン所有モデルのシリアルが入っている。
エリーティスト・'65カジノ (Elitist '65 Casino)
主に1965年仕様を取り入れた復刻版。当初日本以外の国々で発売されていたが、後にエリートを統合する形で日本でも発売される。シェイプはボディのくびれが'65カジノなどより大きく、ジョージ・ハリスン所有のモデルに近い。ポリエステル塗装と、グローヴァー社製のシルヴァー・ロトマチック・ペグを装着している点が、オリジナルと異なる。
エリート・'65カジノ (Elite '65 Casino)
主に1965年仕様を取り入れた復刻版。日本国内限定発売で、エリーティスト以前に流通していた。ヘッドの角度などが忠実ではない。また、先述のエリーティストと同じくグローヴァー社製のシルヴァー・ロトマチック・ペグを装着している。
リミテッド・カジノ・ウィズ・ビグスビー (Limited CASINO w/Bigsby) (韓国製・中国製)
ピックアップ:Epiphone Alnico V P-90 x2
ジョージ・ハリスン所有のカジノと同じタイプのビグスビー・トレモロアーム仕様だが、装着されたビグスビー・トレモロアームは1990年代より韓国でライセンス生産された、デザインがオリジナルとは異なるアルミ製の物であった。通常のビグスビーではブランド名が入る位置にEマークが入れられていた。ビグスビー・トレモロアーム以外は現行の韓国製レギュラー・カジノと同一仕様であった。2006年の世界限定発売。
2009年には現行の中国製レギュラー・カジノに、リニューアルされたデザインの中国製ビグスビー・トレモロアームを装着したモデルが発売された。
'61カジノ・50thアニヴァーサリー ('61 Casino 50th Anniversary) (中国製)
ピックアップ:Gibson USA Alnico P-90 (black plastic cover) x2
2011年に発売されたエピフォン・カジノ誕生50周年記念モデル。世界1961本の限定生産。16フレット・ジョイント、ドット・ポジション、マークのないトラスロッド・カヴァー、トータス・シェル(べっ甲)・ピックガード、ファット・ヘッド、プレート式のエピフォン・ロゴ、ホワイト・ボタンのクルーソン・ペグなど、発売初年度である1961年当時のカジノの仕様が可能な限り忠実に再現されている。P-90PUは米ギブソン社製の黒いプラスチック・カヴァーのものが装備されている。ボディ形状は現行レギュラーと同一のため、オリジナルよりホーンが尖っている。トラスロッド・カヴァーは現行レギュラーの仕様に従い3点止め(オリジナルはギブソンと同じく2点止め)。ポリエステル塗装。カラーはヴィンテージ・サンバーストとロイヤル・タン(エピフォンのオリジナルカラーで、ギブソンのハニーバーストに相当)。ヴィンテージ・サンバーストのみ、オプションで改良型エピフォン・トレモトーンが装着されたモデルが存在する。このトレモトーンは2010年に限定発売されたエピフォン・ウィルシャー・トレモトーンより採用されたもので、1961年に発売開始されたオリジナルと異なり、ビグスビー・トレモロ同様にアーム基部にコイルスプリングが追加され、チューニングの安定性を高める改良が加えられている。
エピフォン・カジノ・クーペ (中国製)
2014年ごろから市販されているモデルで、スケールは通常のものと同じ24.75インチだが、通常のカジノより一回りボディが小さく、ネックジョイントも通常のカジノが16フレットであるのに対して、こちらのモデルは19フレットでのジョイントになっている。その為、高音フレットが弾きやすくなっている。基本的にはジョン・レノンモデルをネックスケールをそのままにボディを一回り小さくしたものと考えてよい。
エピフォン・ カジノ Worn
2022年頃から販売。 塗装はつや消しWorn仕上げ(マット仕上げ)。ピックアップはP90pro。
ブラックとブルーとオリーブがある。
いわゆるお手頃モデル。
通常仕上げの定番のNaturalも併売されているが、そちらはエピフォン150周年モデルとなってて2万ほど高い。

使用ミュージシャン

ポール・マッカートニーとカジノ(LIVE 8にて)

脚注

注釈

  1. ^ 「レボリューション」モデルでは、レノンがクルーソン社製のペグをグローヴァー社製に換装する改造を行ったことを表現するべく、ヘッド裏にクルーソン取付時のネジ穴もあけられている。但し、ビートルズが「レボリューション」を録音するのはこの改造より前のことである。

出典

  1. ^ Inc, Steki. “楽器の買取屋さん”. 楽器の買取屋さん. 2020年1月11日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク


エピフォン・カジノ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 09:08 UTC 版)

ポール・マッカートニー」の記事における「エピフォン・カジノ」の解説

1962年もしくは1961年)製のサンバースト右利き用。前出エピフォン・テキサン同時に購入した。ビグスビー・ビブラート・ユニット付き後年作られジョン・レノンジョージ・ハリスン所有モデルとはヘッド形状(オールド・スタイルのニューヨーク・ヘッド)、トラスロッドカバーにeマークがない、コントロールノブが黒い、ホーン丸み大きめといった点が異なる。アルバムヘルプ!』のレコーディング・セッション以来、現在までのレコーディングにおけるメイン・ギターである。「涙の乗車券」や「タックスマン」などのリード・ギターは、このカジノによって演奏されている。ピックガード1970年以後外されている。ストラップピンがネックヒールではなく、右のカッタウェイ付いている(これはポール自身この位に付け可能性が高い)。アビー・ロード・スタジオでの『ケイオス・アンド・クリエイション・イン・ザ・バックヤード』の公開セッション時にもこのギター使用通常とは違いボディ裏までサンバーストかかっている事から、一度ネック折れしたという説もある。ステージで1973年ウイングスヨーロッパ・ツアー使用したのが最初2005年の『Live 8』にて「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」をU2演奏した時もこのギター使用近年ツアーでも、2010年マイアミ公演2013年・2015年日本公演での「ペイパーバック・ライター」の演奏時など、ごくまれにステージで使用される

※この「エピフォン・カジノ」の解説は、「ポール・マッカートニー」の解説の一部です。
「エピフォン・カジノ」を含む「ポール・マッカートニー」の記事については、「ポール・マッカートニー」の概要を参照ください。

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