イージーゴアとの対決
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 04:48 UTC 版)
「サンデーサイレンス」の記事における「イージーゴアとの対決」の解説
三冠競走ではイージーゴアがサンデーサイレンスのライバルとなった。血統背景が優れている点、馬体が美しい点などから、イージーゴアはサンデーサイレンスとは対照的な馬とされた。レイ・ポーリックはイージーゴアを「獅子のように雄大で力強い栗毛の貴公子」と言い表している。イージーゴアはケンタッキーダービーが行われる前から競馬マスコミに「セクレタリアトの再来か?」、「今、その存在は伝説となりつつある」などと高く評価され、ケンタッキーダービー、さらには同レースでサンデーサイレンスに敗れた直後のプリークネスステークスでも1番人気に支持された。前述のように三冠競走をサンデーサイレンスの2勝1敗で終えた後、イージーゴアがG1を4連勝し、サンデーサイレンスがG1のスーパーダービーを優勝して迎えたブリーダーズカップ・クラシックはエクリプス賞年度代表馬をかけた対決となり、「10年に一度の大一番」といわれた。2頭の関係は「アファームドとアリダーの再来」、「競馬史上最高のライバル関係」と評された。ただし、血統評論家の吉沢譲治によると人気の面ではサンデーサイレンスの方が勝っていたとしており、「競馬場で売られるTシャツなどのホースグッズも、エリート血統のイージーゴーアものよりもサンデーサイレンスもののほうが圧倒的に多く、それがまた飛ぶように売れた」と述べている。 なお、イージーゴアはクレイボーンファームで生まれた競走馬である。サンデーサイレンスの馬主アーサー・ハンコック3世はクレイボーンファームの経営者ブル・ハンコックの息子であったが、父の死後後継者に指名されなかったことに不満を覚え、クレイボーンファームと袂を分かった過去があった。さらにイージーゴアの名義上の生産者であり馬主であったオグデン・フィップスは、顧問としてクレイボーンファームの後継者指名に関与していた。 競馬マスコミはケンタッキーダービー直前にもイージーゴアを持ち上げる記事を発表し続け、レースの1週間前にはウィッティンガムに執拗につきまとってイージーゴアについてのコメントを求めたが、ウィッティンガムはサンデーサイレンスについてだけコメントするように努めた。ウィッティンガムはダービー当日のレースの数時間前にも同様にイージーゴアについてのコメントを求められたが、その際に「世の中は、イージーゴアがどれほど素晴らしい馬かをわしに教えたがっている奴らであふれ返っているらしいな。しかし奴らの目がことごとく節穴かもわからんじゃないか」とコメントした。同レース後にハンコックは、記者たちに対して「私からも君たちに聞きたいことがある」といい、「もしや、今回は馬場が良すぎたのかな?それともちょっと水分が残っていた?暑すぎたかい、あるいは風が強すぎたとか?」と質問し、「私は別に怒っているんじゃない。ただ、自分の馬を誇りに思っている。だからほかの人にも当然、その業績に値するリスペクトを持って馬に接してほしいだけなんだ」と記者たちに求めた。ウィッティンガムは同レース後に「イージーゴアも素晴らしい馬だ」とコメントするなどその実力を認めていたものの、以降もイージーゴアを持ち上げ続ける記者たちに対して不快感を露わにした。このような記事はイージーゴアのホームであるニューヨーク州の記者が書き、同馬がジョッキークラブGCを優勝してベルモントステークスから5連勝を達成した際には年度代表馬当確という記事を掲載したほどであった。 サンデーサイレンスとイージーゴアとの比較についてウィッティンガムは、サンデーサイレンスの得意距離は1600メートルから2000メートルで、イージーゴアは一流のステイヤーと述べている。レイ・ポーリックは、「サンデーサイレンスは敏捷な馬でコーナーを回りながら加速することができたため、カーブがきつい競馬場を得意とし、一方イージーゴアは長い直線では圧倒的なパワーを発揮するが、きついカーブを苦手としていた」と分析している。
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