イグ_(クトゥルフ神話)とは? わかりやすく解説

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イグ (クトゥルフ神話)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/30 05:23 UTC 版)

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イグYig)は、創作神話クトゥルフ神話に登場する、架空の神性。の神。

概要

ラヴクラフト

初出はゼリア・ビショップ英語版名義でハワード・フィリップス・ラヴクラフトが代筆した『イグの呪い』。蛇のアイデアはビショップによるもので、蛇神イグをはラヴクラフトが創造した[1]

あらゆる蛇族の父と言われる。クトゥルフ神話の神々の中では、(作中基準で)知名度が高い神格である。容姿は半人半蛇と言われ、『イグの呪い』では姿を現さないが、『墳丘の怪』で神像が登場する。

19-20世紀時点でもオクラホマインディアンに信じられており、祟りを恐れて蛇避けの儀式が行われている。アメリカ大陸各地の蛇神伝承の原型となった神であることが示唆されている。イグの特徴は子供への愛情であり、自分の子供である蛇たちを殺した者には必ず復讐すると言われており、仇を斑紋ある蛇へと変えてしまうという。積極的に危害を加えてくる邪神ではないものの、野生の蛇が飢える季節には、蛇神イグも飢えて狂暴になると言われている。

ラヴクラフト作品においては、古くはムー大陸で信仰され(永劫より)、沈んだムー大陸から逃れた者たちが北米地下に築いたクン=ヤンの都市でも信仰されている(墳丘の怪)。地底世界には太陽がないため、イグと蛇が宗教に加えて暦(時間)に関わっている。尾を打ち鳴らす長さで、昼夜のない地下世界の時間を、目覚めの時間と睡眠の時間に区切り、また脱皮の周期で地底の1年が決まる[注 1]

その他の作家

ロバート・ブロックは、文献「妖蛆の秘密」に、三柱の蛇神として「蛇の父イグ、暗きハン、蛇の髭を持つバイアティス」を挙げた。リン・カーターは、別個にクトゥルフ神話に存在していた蛇人間という種族と蛇神イグを、結び付けた。ドナルド・タイソンの『ネクロノミコン』では、イグは旧支配者の七帝の一柱であり、蛇を宇宙から地球へと連れてきたとされる。

ブルース・ブライアンの小説『ホーホーカムの怪』には、「イグ=サツーティ」という蛇神が登場しており、『イグの呪い』からの影響が指摘されている[2]

リン・カーターは、イグの息子をバイアティスとした。またスタンリー・C・サージェントは、イグの娘ヘルペテを創造した。

日本人作家では、松殿理央が『蛇蜜』という短編を執筆している。

登場作品

  • イグの呪い(ラヴクラフト)
  • 墳丘の怪(ラヴクラフト)
  • THE SNAKE FARM (JAMES.AMBUEHL):「CORRELATED CONTENTS」(MYTHOS BOOKS)
  • A MOVEMENT IN THE GRASS (WALTER.C.DEBILL Jr.):「THE BLACK SUTRA」(MYTHOS BOOKS)
  • THE SCALES OF JUSTICE (RON.SHIFLET):「LOOKING FOR DARLA」(ELDER SIGNS PRESS)
  • MOTHER OF SERPENTS (GARY.MYERS):「DARK WISDOM」(MYTHOS BOOKS)
  • 蛇蜜 - 松殿理央作
  • 美凶神YIG - 菊地秀行

関連項目

  • ケツァルコアトル - 南米の蛇神。作中では、イグがモデルになっていると言及されている。
  • バイアティス - 「蛇の髭をもつ」邪神。ロバート・ブロックが名前だけ創造し、ラムジー・キャンベルが姿を与え(城の部屋)、リン・カーターがイグの息子とした。
  • ヘルペテ - 古代クレタ島を守護していた蛇の女神。イグの娘。[3]
  • 蛇人間 - クトゥルフ神話の知的爬虫類種族。蛇の神イグと結び付けられている。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 地上の約2日時間が地底の1日。地上の約1年半が地底暦の1年。

出典

  1. ^ 創元推理文庫『ラヴクラフト全集 別巻下』381ページ。
  2. ^ SBクリエイティブ『ゲームシナリオのためのクトゥルー神話事典』「イグ」76-77ページ。
  3. ^ スタンリー・C・サージェント『From Darker Heavens』(Cthulhu Codex 7号=1996年5月号 掲載)

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