グール_(クトゥルフ神話)とは? わかりやすく解説

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グール (クトゥルフ神話)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/05 08:13 UTC 版)

グール(食屍鬼、屍食鬼、Ghoul)は、創作作品群クトゥルフ神話に登場する架空の生物種。

クトゥルフ神話での初出は、ハワード・フィリップス・ラヴクラフト(以下HPL)が1927年に発表した短編小説『ピックマンのモデル』である[1]。クトゥルフ神話内ではグール物語でワンジャンルをなしている[2][3]

概要

アラビア伝承のグールがモデル。地下に棲息し、墓を荒らして死体を食らう。外見はイヌに形容され、を持つ。

彼らグールは人間社会に寄生して生活する。グールの赤子と人間の赤子が取り替えられることがあり、取り替えられた人間の赤子はグールとして育てられる。グールと生活することによって(または魔術によって)、人間がグールに変容することがある。墓地や都市の地下には、迷宮のような彼らの行動網が存在する。

またグールは目覚めの世界とドリームランドを行き来する手段を持っている。ドリームランドのグールはナイトゴーントと同盟を結んでおり、ときにはナイトゴーントに騎乗して飛行する。反面、ガグ族やガストなどといった種族とは対立する。

リチャード・アプトン・ピックマンランドルフ・カーターは、人間でありながら、彼らグールと交流し協力関係を築いた。

また、エジプト女王ニトクリスを、HPLは『ファラオとともに幽閉されて』にて「グールの女王」と表現した。

初出作品『ピックマンのモデル』の影響から、地下鉄と関連付けられることが多い。

登場作品

グールの人物

リチャード・アプトン・ピックマン
ボストンの画家。リアリティあふれるグールの絵を描いていた。失踪後にグールになり、ドリームランドのグール達のリーダー格となった。
登場作品:『ピックマンのモデル』『未知なるカダスを夢に求めて』
ニトクリス
伝説上のエジプト女王。HPLが「グールの女王」と表現したことで、後にクトゥルフ神話のグールと結び付けられるようになる。
登場作品:『ファラオとともに幽閉されて』『ニトクリスの鏡
ナグ(ナゴーブ)[注 1]
すべてのグールたちの父祖。邪神ニョグタを崇拝する。
その他
  • ナスの谷にて』(カーター)の賢者シュッゴブは、ドリームランドのナスの谷に住まい、魔道士エイボンと面識がある。
  • 窖に通じる階段』(カーター)のハイパーボリアの黒魔術師アヴァルザウントはグールを使役する。
  • 霊廟の落とし子』(コーンフォード)のガダモンは、ハイパーボリアの人物がドリームランドでもうけた子であり、父への恨みからグールと化した。

グールの神

HPLら初期世代作家たちは食屍鬼の神を設定しなかったが、後続作品では独自に設定しているものがある。

リン・カーターの『陳列室の恐怖』には、邪神ニョグタを崇拝するグールの一族の長ナゴーブ[注 1]への言及がある。

TRPGでは、ナイアーラトテップ[注 2]と、モルディギアン[注 3]を、食屍鬼たちの神としている。

またロバート・ブロックの『ブバスティスの子ら』に登場する猫神ブバスティスの物語はグール譚と解釈されることもある[4]

関連項目

脚注

【凡例】

  • 全集:創元推理文庫『ラヴクラフト全集』、全7巻+別巻上下
  • クト:青心社文庫『暗黒神話大系クトゥルー』、全13巻
  • 定本:国書刊行会『定本ラヴクラフト全集』、全10巻
  • 真ク:国書刊行会『真ク・リトル・リトル神話大系』、全10巻
  • 新ク:国書刊行会『新編真ク・リトル・リトル神話大系』、全7巻
  • 事典四:学研『クトゥルー神話事典第四版』(東雅夫編、2013年版)
[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ a b もとはナグという名前で、旧支配者ナグ(ナグとイェブの片割れ)だったか、または同名の存在とされていたが、名前が改名された。
  2. ^ ファラオとともに幽閉されて』にはスフィンクスが登場し、これをブロックはHPLが創造したナイアーラトテップとみなした。
  3. ^ スミス『死体安置所の神』に登場する。神官がグールに似ているが、作中では明確にグールとされてはいない。

出典

  1. ^ 新紀元社『ラヴクラフトの怪物たち 下』「怪物便覧 食屍鬼」275-276ページ。
  2. ^ 事典四「クトゥルー神話の歴史●クトゥルー神話の誕生」、14ページ。
  3. ^ 新紀元社『クトゥルフ神話ガイドブック』30ページ。
  4. ^ 事典四「ブバスティスの子ら」、348ページ。

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