ナグとイェブとは? わかりやすく解説

ナグとイェブ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/02 17:31 UTC 版)

ナグとイェブ(Nug, Yeb)は、創作作品群クトゥルフ神話に登場する架空の神性。兄弟神・双子神。

ハワード・フィリップス・ラヴクラフト(以下HPL)が創造した神であり、主に自分名義ではなく顧客への代作作品にて言及を行った。描写はほとんどなく、掘り下げらしい掘り下げを行っていないため、謎の神という扱いである。

ヨグ=ソトースシュブ=ニグラスの子。ナグの子がクトゥルフ、イェブの子がツァトゥグァ

概要

初出の情報源

HPLによる代作、デ・カストロへの『最後の試験』、ゼリア・ビショップへの『墳丘の怪』、ヘイゼル・ヒールドへの『永劫より』にて言及がある。

『永劫より』ではムー大陸で信仰されたとあり、ムーの民は地底世界クン=ヤンに移住して『墳丘の怪』に繋がる。

他の設定は、主に友人宛の手紙で明かされたものである。容姿や性別への言及も無い。

グールの父祖ナグ(ナグーブ)

リン・カーターは、グールの父祖としてナグを設定した。言及作品は『陳列室の恐怖』『深淵への降下』『窖に通じる階段』など。小神、レッサー・オールド・ワンという扱いとなっている。

ただしこの「グールの父祖」ナグは初期の設定であり、後にナグーブ(Naggoob)と別の名前に改名されているために、神ナグとは別物であるかもしれない。

サクサクルースの分裂体

HPLと同世代のクラーク・アシュトン・スミスは、雌雄同体の神サクサクルースがギズグス(ツァトゥグァの父)、フジウルクォイグムンズハー、クトゥルフの三神を産んだとしている。作品中では文献「プノムの羊皮紙文書」にある記載とされている。この時点ではナグとイェブの名は出てこない。

上記のスミス設定を踏まえてロバート・M・プライスは、サクサクルースが雄性のナグと雌性のイェブに分裂して互いに交わることで三神を産んだとした。作品中では文献「エイボンの書」で魔道士エイボンが記載している。

以降の展開

クトゥルフ神話TRPGにおいて

謎の神すぎて扱いづらいのか、基本ルールブックには載っていない。サプリメントの『マレウス・モンストロルム』[1]や、関連事典『エンサイクロペディア・クトゥルフ』[2]にて取り上げられている。

『マレウス・モンストロルム』では、グレート・オールド・ワン(旧支配者)に位置付けられ、無定形の神であり、教団は性カルトであると説明される[1]

『エンサイクロペディア・クトゥルフ』では、謎の存在すぎて、旧支配者や外なる神へのカテゴリすらできていない[2]。グールの父ナグ/ナグーブについても言及しており、グールの父はナグーブでありナグは誤りではないか程度に記されている[3]

登場作品

HPLが代作した
その他
  • リン・カーター:奈落の底のもの(1980)
  • ロバート・M・プライス:弟子へのエイボンの第二の書簡、もしくはエイボンの黙示録(2001)
  • クトゥルフ神話TRPG『マレウス・モンストロルム』[1]
  • ダニエル・ハームズ:エンサイクロペディア・クトゥルフ英語版[2]

関連項目

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b c 『マレウス・モンストロルム』(邦訳2008年版)「ナグとイェブ」194-195ページ。
  2. ^ a b c 『エンサイクロペディア・クトゥルフ』(第2版邦訳2007年版)「ナグとイェブ」192ページ、「ナグとイェブの黒き連祷」192ページ。
  3. ^ 『エンサイクロペディア・クトゥルフ』(第2版邦訳2007年版)「ナグ」191ページ、「ナグーブ」192ページ。




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ナグとイェブ」の関連用語

ナグとイェブのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ナグとイェブのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのナグとイェブ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS