アンヒビアンバス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 14:10 UTC 版)
アンヒビアンバスとは国鉄が1962年に製造した鉄道線上も運行可能な道路-鉄道直通バスである。正式名称は043形特殊自動車。三菱ふそう製R480リヤエンジンバス用シャーシを改造したもの(R480改)にDB31A-62ディーゼルエンジンを搭載し、さらに中央出入り台式の富士重工業製モノコックボディを架装したバスを基本とする。 このため道路上では外観上ほぼ完全に一般のバスと同様で、鉄道線走行時に車体前後の下部にそれぞれ鉄道線用の2軸ボギー式台車を装着する構造である。 鉄道線用台車は溶接組み立て構造の軸ばね式台車で、枕ばね部に線路と平行な配置で重ね板ばねを置き、これを吊りリンクで台車枠から吊り下げて支持する、やや古風な設計となっている。 この台車は軸距1,200mmで内側寄りに減速機を装架しており、車体後端に置かれたエンジンからの動力はプロペラシャフトで一旦車体中央に導かれ、ここに置かれた補助変速機と称する鉄道・道路いずれかの駆動系への動力伝達経路を選択する機構を経由して、ユニバーサルジョイントとスプライン軸付きプロペラシャフトで進行方向前側の台車の第2軸、つまり内寄りの車軸を駆動する設計である。 このように極めて複雑な駆動系であり、また片押し式の空気ブレーキを搭載してそのための補助空気溜を台車枠に吊り下げるなど、ブレーキ系統も複雑な機構を備えていた。 この台車に車体を搭載するため、通常のバスとは異なる荷重負担が発生し、シャーシには大がかりな補強工事を実施する必要性が生じた。また、バスの車体幅は通常の国鉄旅客車両と比較して狭く、そのままではホームでの乗降には問題があったことから、客用扉には空気圧によって展開・格納される折りたたみ式ステップが搭載されていた。 このアンヒビアンバスの場合、台車の着脱には台車そのものの着脱に加え、駆動用プロペラシャフトのスプライン軸のはめ込み・抜き取りやブレーキ管の連結・解放など複雑な手順を要した。そのため実用に供するには問題が多く、実際に鉄道線上で営業運転されることは無かった。 なお、試験終了後は通常のバスとして使用されたという。
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