あわれ〔あはれ〕【哀れ】
読み方:あわれ
1 (「憐れ」とも書く)強い心の動き。特に悲哀・哀憐の感情。不憫(ふびん)と思う気持ち。「人々の—を誘った」「—をかける」「そぞろ—を催す」
「心なき身にも—は知られけり鴫(しぎ)立つ沢の秋の夕暮れ」〈新古今・秋上〉
4 どうすることもできないような心の動き。感慨。
「子ゆゑにこそ、万(よろづ)の—は思ひ知らるれ」〈徒然・一四二〉
[形動][文][ナリ]感動を起こさせる状況、しみじみ心を打つもののさまを広く表す。現在では、多く悲哀・哀憐の感情に限定される。
1 (「憐れ」とも書く)かわいそうに思われるさま。気の毒だ。惨めだ。「その姿はいかにも—であった」
2 しみじみともの悲しく感じるさま。はかなく、また、さびしく思われるさま。「夕暮れは、なんとなく—に思われてしかたがない」
4 しみじみと心に染みて愛着を感じるさま。いとしいさま。かわいいさま。
5 しみじみとした愛情があるさま。優しいさま。
「見る人も、いと—に忘るまじきさまにのみ語らふめれど」〈かげろふ・上〉
「霊山(りゃうぜん)は釈迦仏の御すみかなるが—なるなり」〈枕・二〇八〉
[派生] あわれがる[動ラ五]あわれげ[形動]あわれさ[名]
[感]
1 ものに感動したときに発する語。感嘆賞美の場合にも哀傷の場合にも用いる。ああ。
「いで我が駒早く行きこせ待乳山(まつちやま)—待乳山」〈催馬楽・我が駒〉
[補説] 本来、自然に発する感動の声に基づく感動詞として上代から用いられているが、平安時代以後、感動の声を発せさせられるような状況をいう形容動詞用法や、さらに、そのような状況のときの感情、心のありさまを表す名詞用法が生じて広く用いられた。近世以後は主として悲哀・哀憐の感情を表すのに限定される。なお、中世ごろ「あっぱれ」を派生している。
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