アミン・マアルーフとは? わかりやすく解説

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アミン・マアルーフ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/17 05:59 UTC 版)

アミン・マアルーフ
Amin Maalouf
2009年
誕生 (1949-02-25) 1949年2月25日(76歳)
レバノンベイルート
職業 作家ジャーナリスト
ジャンル 小説・ノンフィクション
主な受賞歴 ゴンクール賞(1993)
アストゥリアス皇太子賞(2010)
朴景利文学賞(2022)
ウィキポータル 文学
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アミン・マアルーフアラビア語أمين معلوف, Amīn Maʿlūf, アミーン・マアルーフ、Amin Maalouf、1949年2月25日 - )はレバノン出身、フランスパリ在住の作家・ジャーナリスト。彼がフランス語で書いた著作は多くの言語に翻訳されており、小説『Rock of Tanios』(Le Roche de Tanios 、タニオスの岩)で1993年ゴンクール賞を受賞した。

来歴

アミン・マアルーフは1949年ベイルートで四人きょうだいの二番目の子供として生まれた。

父ルシュディー・マアルーフ(アラビア語رشدي معلوف, Rushdī Maʿlūf)[1]の実家、母オデット(アラビア語أوديت, 口語発音:Ōdēt, オーデート)こと[2]アデル・アル=グセイン(アラビア語:أديل الغصين, 口語寄り発音:Adēl al-Ghuṣein, アデール・アル=グセイン)の父の実家はともにレバノン山間部の村アイン・アル=カブウ(アラビア語عين القبو, ʿAyn al-Qabw)で、二人は1945年にエジプトで結婚[3]

母アデル(オデット)の父はマロン派キリスト教徒(マロン典礼カトリック教会信徒)で、商業のため居住していたエジプトトルコ生まれの女性と結婚。エジプト革命により社会主義的政策・国有化が進められたことを受けレバノンに帰国した[4]

父ルシュディーは作家・ジャーナリスト・詩人・政治活動家で、エジプトではアル=ワタン紙編集者を務めた[4]。実家は元々メルキト派東方カトリック教会の共同体出身でルシュディーの祖父は聖職者だったが、その子であるルシュディーの父は親の方針や教会関係者らに反抗し長老派教会に改宗、プロテスタントとなった。

アミン・マアルーフはプロテスタントの父と熱心なカトリックの母という宗教的に相反する立場の両親のもと育った[3]。当時プロテスタント系の家庭は子供を英国系や米国系の学校に通わせるのが常だったが、カトリック教徒だった母の意向でフランス系・イエズス会系の学校コレージュ・ノートルダム(フランス語:Collège Notre Dame de Jamhour、アラビア語مدرسة سيدة الجمهور[5]へ入学。フランス語に熟達するきっかけともなった。

彼はベイルートにあるフランス系教育機関サン・ジョゼフ大学(フランス語:Université Saint-Joseph de Beyrouth、アラビア語جامعة القديس يوسف)で社会学を修め、ベイルートの日刊紙「アン=ナハール」(アラビア語النهار、An-Nahar)で編集者としての実績を積んだが、1975年レバノン内戦が勃発。爆発に巻き込まれる形で父ルシュディーを失った。

内戦の激化を受け翌年1976年パリに移住。当初はパリでもアラブ世界に関するジャーナリストとして活躍し多くの論文や著書を書いたが、後にフィクション創作に専念している。

マアルーフの小説は内戦や難民の経験が強く反映されている。主な登場人物は異なる国、言語、宗教の間を渡り歩く者や旅する者となっている。

2011年6月、アカデミー・フランセーズ席次29に選出された。

2019年6月、『Le naufrage des civilisations (文明の難破)』で今日賞を受賞した[6]

作品

小説

オペラ台本

  • L'amour de loin (Love from Afar)、 作曲:カイヤ・サーリアホ、 2001年
  • Adriana Mater、 作曲:カイヤ・サーリアホ、 2004年
  • La Passion de Simone、 作曲:カイヤ・サーリアホ、 2006年
  • Émilie、 作曲:カイヤ・サーリアホ、 2010年

随筆・評論

  • Les Croisades vues par les Arabes, éditions Jean-Claude Lattès, 1983.
    • 『アラブが見た十字軍』牟田口義郎・新川雅子訳
    リブロポート、1986年/ちくま学芸文庫、2001年。ISBN 978-4480086150
  • Les Identités meurtrières, Grasset, 1998.
  • Origines, Grasset, 2004.
  • Le Dérèglement du monde, Grasset, 2009.
  • Un fauteuil sur la Seine : Quatre siècles d'histoire de France, Grasset, 2016.
  • Le Naufrage des civilisations, Grasset, 2019 - 2019年今日賞受賞

脚注

  1. ^ ないしはルシュディー・アル=マアルーフ(アラビア語:رشدي المعلوف, Rushdī al-Maʿlūf)
  2. ^ ソースによるアデルではなくオデットと記載していることがある。
  3. ^ a b أمين معلوف.. أديب متعدد الثقافات” (アラビア語). الجزيرة نت. 2025年10月17日閲覧。
  4. ^ a b الجزء المصري من أمين معلوف” (アラビア語). aawsat.com. 2025年10月17日閲覧。
  5. ^ カルロス・ゴーン氏の母校としても知られる。
  6. ^ Amin Maalouf lauréat du prix Aujourd'hui”. FIGARO (2019年6月5日). 2019年6月26日閲覧。

外部リンク


前任
クロード・レヴィ=ストロース
アカデミー・フランセーズ
席次29

第19代:2011年 -
後任
-

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