アマニュウとは? わかりやすく解説

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あま‐にゅう【甘にゅう】

読み方:あまにゅう

セリ科多年草本州中部以北山地自生。高さ2〜3メートル三つ裂けていて、それぞれは卵状三角形をしている。夏、多数の白い小花集まって咲く。甘みがある。


アマニュウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/17 08:54 UTC 版)

アマニュウ
青森県尻屋崎 2017年7月
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : キキョウ類 Campanulids
: セリ目 Apiales
: セリ科 Apiaceae
: シシウド属 Angelica
: アマニュウ A. edulis
学名
Angelica edulis Miyabe ex Y.Yabe (1893)[1]
シノニム
和名
アマニュウ(甘にゅう)[3]

アマニュウ(甘にゅう、学名: Angelica edulis)は、セリ科シシウド属多年草[3][4][5]。別名、マルバアマニュウ[1]マルバエゾニュウ[1]

名称

和名アマニュウは、「甘にゅう」の意で[3][6]、本種は食用になり、この茎を食べると甘味があるのでいう[4][7]。「ニュウ」はアイヌ語[4]とされるが、正確には不明という[6]。別名のマルバエゾニュウは、「円葉蝦夷にゅう」の意で、同属のエゾニュウ A. ursina に似ているが、比べて葉が円いのでいう[4]

アイヌ語では本種の葉柄を「チスイェ」あるいは「チフイェ」とよぶ[8]アイヌ人は茎の皮をむき硬い繊維を取り除いて、生のまま食用とした。また茎を煮てから皮をむき煮物和え物酢の物などの食材としたり、乾燥させ、冬の保存食にもしたという[7]

種小名 edulis は、「食用の、食べられる」の意味[4]

分布と生育環境

日本特産で[5]北海道本州(中部地方以北および中国地方の伯耆大山)、四国(石鎚山)に分布し[7]、山地の谷沿いや山麓、林縁、草原に自生する[5][9]。本州では高原に多く、北海道では林縁や林道沿いで多く見られる[7]

形態・生態

多年生の草本[9]。大形で、は直立して高さ1 - 2メートル (m) になり[9]、ときに3 mに達し、中空で、上部で分枝する。互生し、1 - 2回3出羽状複葉[9]、頂小葉はさらに3中裂する。小葉はやや質が薄く、表面は鮮やかな緑色で光沢感があり、裏面の葉脈上に毛が生え、広卵形から菱状広卵形で、長さ幅ともに10 - 20センチメートル (cm) 、縁は鋭鋸歯になり[9]、基部は心形となる。茎の全部または下部につく葉柄の基部は多少ふくれた鞘状になる[3][4][5][7]。葉や茎に毛はなく、折ると白い乳液が出る[9]

花期は8月ごろ[9]。茎先や分枝した枝の先端に、径約20 cmに及ぶ大型の複散形花序をつけ[9]、白色の小型の5弁のを多数、密につける。複散形花序の下に総苞片は無く、小花序の下に細い小総苞片が数個ある。花柄は25-30個あり、小花柄は30-50個ある。花弁の先は内側に曲がる。雄蕊は5個あり、花弁より長く花外に突き出る。果実は長楕円形で、長さ6-7mmになり、分果の背隆条は3脈、側隆条はやや狭い翼が張り出す。油管は、分果の表面側の各背溝下に1個ずつ、分果が接しあう合生面に2個ある[3][4][5]

北海道や中部地方以北の本州に生える近縁種のエゾニュウ(学名: Angelica ursina)は、高さ2 - 3 mとさらに大形で、アマニュウより苦味が強いが食べられる[9]

利用

若芽や葉を摘み取って食用とする[9]。採取時期は、5 - 10月が適期とされる[9]。葉が展開しはじめた直立したころの葉柄は、皮をむいて生のまま、または茹でて食用にされる。若葉は生のままサラダ天ぷら、すき焼きの具にして食される[7][9]。塩ひとつまみ入れて茹でたものを、和え物酢の物などにする[9]

脚注

  1. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Angelica edulis Miyabe ex Y.Yabe アマニュウ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月8日閲覧。
  2. ^ Angelica edulis, The Plant List.
  3. ^ a b c d e 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.475
  4. ^ a b c d e f g 『新牧野日本植物圖鑑』p.518, p.1325
  5. ^ a b c d e 『改訂新版 日本の野生植物 5』p.261
  6. ^ a b 『山溪名前図鑑 野草の名前 夏』p.19
  7. ^ a b c d e f 『食べられる野生植物大事典(草本・木本・シダ)』p.217
  8. ^ 知里真志保著 分類アイヌ語辞典 植物編 §104 アマニュウ アイヌ民族博物館
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m 高橋秀男監修 2003, p. 168.

参考文献



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