アイス・ロード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/27 05:01 UTC 版)
アイス・ロード | |
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The Ice Road | |
監督 | ジョナサン・ヘンズリー |
脚本 | ジョナサン・ヘンズリー |
製作 | アル・コーレイ リー・ネルソン ユージン・マッソ シヴァニ・ラワット デヴィッド・ティシュ |
製作総指揮 | デヴィッド・ビューロウ コナー・フラナガン ジョナサン・ダナ ジュリー・ゴールドスタイン モニカ・レヴィンソン アダム・M・レボヴィッツ マイルズ・ネステル アンドリュー・C・ロビンソン キース・レイ・プットマン ジャレッド・D・アンダーウッド |
出演者 | リーアム・ニーソン ローレンス・フィッシュバーン ベンジャミン・ウォーカー アンバー・ミッドサンダー |
音楽 | マックス・アルジ |
撮影 | トム・スターン |
編集 | ダグラス・クライズ |
製作会社 | コード・エンターテインメント シヴハンス・ピクチャーズ エンヴィジョン・メディア・アーツ アイス・ロード・プロダクションズ |
配給 | ![]() ![]() |
公開 | ![]() ![]() |
上映時間 | 109分[1] |
製作国 | ![]() |
言語 | 英語 |
興行収入 | ![]() ![]() |
次作 | アイス・ロード:リベンジ |
『アイス・ロード』(The Ice Road)は2021年に配信されたアメリカ合衆国のアクションスリラー映画。脚本・監督はジョナサン・ヘンズリー、出演はリーアム・ニーソンとローレンス・フィッシュバーンなど。凍った湖面をトラックで激走する危険な仕事に挑むことになった5人の男女を描いている[4]。
プロット
カナダ北部マニトバ州のカトカ鉱山にてガス爆発が起き、26人の鉱山労働者が閉じ込められる崩落事故が発生した。救助のため、坑内の酸素が枯渇する30時間以内にアメリカの施設から岩盤に穴を穿つ「抗口装置」(ウェルヘッド)を運ぶ必要が生じる。そのためには凍結したウィニペグ湖を走る通称「アイス・ロード」を通過する必要があるのだが、既に春先で氷は緩み、30トンの大型トラックで輸送することは危険な任務であった。カトカ社より依頼を受けた熟練のトラック運送屋ジム・ゴールデンロッドは破格の成功報酬20万ドルの提示と、人脈を駆使して急ぎ人員を揃えようとする。
熟練のトラックドライバーのマイクは、腕の立つ整備士だがイラク戦争でPTSDによる失語症を患った弟ガーティと生活していた。家族想いだが気性の荒いマイクは、弟を馬鹿にする者を許さず、暴力沙汰を起こしては弟を連れて職を転々としていた。ゴールデンロッドによる募集を見たマイクは、成功報酬でケンワースの大型トラックを購入し、個人事業主になろうと弟と共に応募する。一方、アメリカ先住民で白人に強い敵意を抱くも、優れた女トラック運転手であるタントゥーも、元上司のゴールデンロッドに声を掛けられ、閉じ込められた労働者の中に兄コディーがいることも知って参加を決める。
ゴールデンロッドはトラック3台による同時輸送計画を立て、自身とマイク、タントゥーの3名を運転手として出発する。ガーティはマイクのトラックに同乗しており、また、タントゥーのトラックにもカトカ社から依頼を受けた保険会社の担当者トム・バルネイが同乗していた。順調な旅に見えたが2日目の昼、突如、ゴールデンロッドのトラックのエンジンが故障して立ち往生し、その対応中に氷が割れて彼はトラックと共に湖に沈む。バルネイは中止して引き返すことを提案するが、マイクとタントゥーは引き返す方が危険だとして、このまま任務を続行することを決める。バルネイは、マイクに近寄ると報酬を独り占めしたいタントゥーがエンジンに細工した可能性があると警告する。
実は鉱山事故は、カトカ社のゼネラルマネージャーで、鉱山の運営責任者であるシックルが営利目的で密かに警報装置を切るように命令していた人災であった。そのため、彼は救助によってそれが明るみになることを恐れていた。そこでシックルは「抗口装置」の輸送失敗による救助失敗というシナリオを立て、バルネイに命じて妨害を企てていた。ゴールデンロッドのエンジンに細工したのはバルネイであり、チームに疑心暗鬼の種をまこうとしていた。
やがてバルネイは本性を現し、マイクのトラックにダイナマイトを仕掛けて湖に落とし、タントゥーを拘束して彼女のトラックで走り去る。マイクとガーティは危機一髪で助かり、バルネイの後を追う。バルネイは最後の仕上げとして事故に見せかけてトラックごとタントゥーを崖に落とそうと企てるもマイクたちが追いつく。激しい攻防戦の末、マイクの奇策で抗口装置をあえて地面に落とすことでそれに巻き込まれてバルネイは死ぬ。その後、マイクは弟と負傷したタントゥーを載せ、残った1台で鉱山へと向かう。最後の難所である古い橋を渡るもこれが崩落し、トラックを守るためにガーティが亡くなる。
多くの犠牲を払いながらも制限時間ぎりぎりにマイクは鉱山へとたどり着く。急ぎ救助活動が始まり、何とか鉱員たちは助かる。真実を知ったカトカのCEOはシックルの解雇を命令し、彼は逮捕される。逮捕の間際、マイクは彼を殴りつける。
3ヶ月後、タントゥーはゴールデンロッドの工場で整備士として働いていた。そこにちょうど、報酬を元手にケンワースの大型トラックを購入して順風満帆な個人事業主に転身したマイクがやってくる。そのトラックのナンバープレートにはガーティがトラックに名付けようとしていた「TRK TRK TRK」(トラック・トラック・トラック)の文字が入っていた。
登場人物・キャスト
※括弧内は日本語吹替。
- マイク・マッキャン
- リーアム・ニーソン(谷昌樹)
- 熟練のトラックドライバー。腕はあるが気性が激しく、弟の件もあって転職が多い。
- ジム・ゴールデンロッド
- ローレンス・フィッシュバーン(玄田哲章)
- 運送会社の経営者。自身も熟練のトラックドライバー。カトカ社の依頼を受け、アイスロード運転手の募集を出す。
- トム・バルネイ
- ベンジャミン・ウォーカー(虎島貴明)
- 保険会社社員。カトカ社の依頼を受け、今回の任務の支払いを担当する。輸送チームへの参加を希望し、タントゥーの車両に乗る。
- タントゥー
- アンバー・ミッドサンダー(田村睦心)
- アメリカ先住民の若い女性。白人に強い敵意を抱き、事件を起こして警察署に収監されている。しかし、トラックドライバーとして腕は立つ。
- ガーティ・マッキャン
- マーカス・トーマス(松川裕輝)
- 整備士。マイクの弟。イラク戦争に従事し、PTSDから失語症を患っている。整備士としての腕前は高い。
- シックル
- マット・マッコイ
- カトカ社のゼネラルマネージャーでカトカ鉱山の運営責任者。
- ランバード
- ホルト・マッキャラニー(松川裕輝)
- カトカ鉱山の現場責任者。崩落に巻き込まれる。作業員たちのリーダーシップをとる。
- コディー
- マーティン・センズマイヤー(堀総士郎)
- カトカ鉱山の鉱員。タントゥーの異父兄。崩落に巻き込まれる。スカウト経験者で、外部とモールス信号でやり取りする。
- トマソン
- マット・サリンジャー
- カトカ社CEO。鉱山に閉じ込めれた従業員たちの身を案じる。
製作
2019年8月22日、ジョナサン・ヘンズリー監督の新作映画にリーアム・ニーソンが出演することになったと報じられた[6]。2020年2月、ローレンス・フィッシュバーンがキャスト入りすると共に、本作の主要撮影がカナダのウィニペグで始まった[7]。2021年3月29日、マックス・アルジが本作で使用される楽曲を手掛けるとの報道があった[8]。6月25日、本作のサウンドトラックとスコアアルバムが発売された[9][10]。
公開・マーケティング
2020年2月20日、本作の劇中写真が初めて公開された[11]。2021年3月1日、Netflixが本作の全米配信権を1800万ドルで購入したと報じられた[12]。5月18日、本作のオフィシャル・トレイラーが公開された[13]。
評価
本作に対する批評家の評価は平凡なものに留まっている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには71件のレビューがあり、批評家支持率は42%、平均点は10点満点で4.8点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「この作品に出演したからと言って、リーアム・ニーソンが一流のアクションスターであるとの評価が揺らぐことはない。しかし、『アイス・ロード』はここ数年のニーソン主演作と同じ欠点、つまり、ストーリーの展開が最初から最後まで予測できてしまうという欠点を有している。」となっている[14]。また、Metacriticには24件のレビューがあり、加重平均値は42/100となっている[15]。
テレビ放送
回 | 放送日 | 放送時間(JST) | 放送局 | 放送枠 | 備考 |
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1 | 2024年2月5日 | 月曜13:40 - 15:40 | テレビ東京 | 午後のロードショー | 関東ローカル 地上波初放送 |
出典
- ^ “アイス・ロード”. 映画.com. 2021年9月9日閲覧。
- ^ “The Ice Road” (英語). Box Office Mojo. 2022年8月28日閲覧。
- ^ 『キネマ旬報』 2022年3月下旬特別号 p.37。
- ^ “アイス・ロード”. WOWOW. 2022年8月28日閲覧。
- ^ “アイス・ロード (2021) 映画短評”. シネマトゥデイ. 2022年11月12日閲覧。
- ^ Fleming, Mike Jr (2019年8月22日). “Liam Neeson Set To Star In Jonathan Hensleigh-Directed ‘The Ice Road’ For Code Entertainment & Envision Media Arts” (英語). Deadline.com 2021年7月7日閲覧。
- ^ Fleming, Mike Jr (2020年2月11日). “Laurence Fishburne Takes ‘The Ice Road’ With Liam Neeson; Shivhans To Co-Fi With Code Entertainment” (英語). Deadline.com 2021年7月7日閲覧。
- ^ “Max Aruj Scoring Jonathan Hensleigh’s ‘The Ice Road’” (英語). Film Music Reporter. (2021年3月29日) 2021年7月7日閲覧。
- ^ “‘The Ice Road’ Soundtrack Album Announced” (英語). Film Music Reporter. (2021年5月26日) 2021年7月7日閲覧。
- ^ “‘The Ice Road’ Score Album Details” (英語). Film Music Reporter. (2021年6月18日) 2021年7月7日閲覧。
- ^ Wiseman, Andreas (2020年2月20日). “‘The Ice Road’: First Look At Liam Neeson In Action Rescue Mission Movie Currently Shooting In Canada – EFM” (英語). Deadline.com 2021年7月11日閲覧。
- ^ Wiseman, Andreas (2021年3月1日). “Netflix Swoops On Liam Neeson Action Pic ‘The Ice Road’ In Record $18M EFM Domestic Deal” (英語). Deadline.com 2021年7月11日閲覧。
- ^ Pearson, Ben (2021年5月18日). “‘The Ice Road’ Trailer: It’s Basically ‘Armageddon’ on Ice, Starring Liam Neeson” (英語). /Film 2021年7月11日閲覧。
- ^ “The Ice Road”. Rotten Tomatoes (英語). 2021年7月14日閲覧.
- ^ "The Ice Road" (英語). Metacritic. 2021年7月14日閲覧。
外部リンク
アイスロード
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アイスロード(英語: ice road)は、寒冷地において凍結した自然水面(河川や湖沼、もしくは海氷面)の上に作られる冬季限定の道路のこと。これによって、常設道路の存在しない孤立地域への陸送が一時的に可能になる。陸路がない場合に航空便として輸送される物資をより安価に運ぶことができるだけでなく、航空便では困難な大きい・重い貨物の輸送もできるようになる。
アイスロードは夏場のフェリーに対応する冬季の代替輸送手段であるが、フェリーとアイスロードは毎年数週間、並行して運用される。
機能

アイスロードは木や岩、その他の障害物のない平坦でスムーズな走行を可能にする。雪は除去され、湖を結ぶ短い陸路を連結して作ることもある。アイスロードに似たものとして、南極のウィルキンス飛行場のようなブルーアイスの滑走路や湖氷を利用した北極のドリス湖飛行場のように、極地では氷上滑走路(英語: blue ice runway)も一般的である。緊急着陸用の滑走路として結氷面を利用することもできる。
こうした道路は一般に、泥炭地であったり、その他の様々な理由で通年の道路の建設が困難な地域で建設される。冬季にはこうした障害はいくらか解消される。例えばカナダ・ノースウェスト準州のイヌヴィックとトゥクトヤクトゥクを結ぶ区間のように、アイスロードがあることによって1年のうち数ヶ月、ほぼ水平で迂回のほとんどない走行が実現される。
冬に水面が凍結すると、アースオーガーによって穴をあけて水を溢れさせ、路面を厚くすることでアイスロードがつくられる。表面を除雪し、氷点下(-50℃程度)の大気に直接触れされることでより速やかに氷が厚くなる。夏に氷が解けた後も、道路の影響を上空からブッシュプレーンの窓越しに見ることができる。氷が光を遮って植物や藻類の成長を妨げることで、湖底に直線状に草のない部分が残るのである。
夏季にはカーフェリーがしばしば使われる。春と秋にはたいてい、フェリーの運航には氷が多すぎ、アイスロードを作るには少なすぎる期間が存在する。
自動車走行

冬季には陸地より走行するのが容易であるとはいえ、水上の道路の利用はかなりの危険を伴う。トラックの重みで凍結面の下に波が立たないように、一般に速度は時速25kmに制限される。波が立つと道路に損傷を与えたり、海岸線から氷が剥離するなどして危険が及ぶ可能性があるためである。大きな湖では、気温差によって表面の氷が膨張・収縮し亀裂を生む氷丘脈が起こる危険もある。
アイスロードは通常大型トラック(牽引自動車など)の走行する場であるが、ピックアップトラックや小型自動車、スノーモービルなどの小さな自動車も見ることがある。
氷を主要な土木材として用いるには、特殊な建築技術が必要となる。例えば、湖岸などの段差を越える傾斜を作るために、湖の水を汲み出し雪と混ぜて氷泥を作り、傾斜面の形にし、その後強い冷気にさらして急激に凍らせる。摩耗して損傷した道路は、水を浅く溢れさせて凍結させ、新たな結氷面を作ることで修復する。
各地の道路
南極

マクマード南極点道路は全長約1,400kmにおよぶ道路で、沿岸部のアメリカのマクマード基地と南極点にあるアムンゼン・スコット基地を連絡する。この道は雪をならしクレバスを埋めることで作られたが、舗装はされていない。道路を示すために旗が立っている。
アメリカ合衆国南極プログラムは南半球の夏季に2本のアイスロードを保全している。1本はロス棚氷のペガサス滑走路へのアクセスを確保するもので、マクマード基地から滑走路までの距離は約22.5kmに及ぶ。もう1つの道路は海氷上のアイス・ランウェイに至る道で、長さは氷の安定性などの諸条件によって毎年変動する。こうした道はマクマード基地やスコット基地、アムンゼン・スコット基地への物資の補給に重要な役割を果たしている。
カナダ
史上最古のアイスロードは1930年代にカナダ北部に建設された。航空便では荷が重すぎ、非凍結時に標準規格の道路を造るには土壌がぬかるみすぎている地域において、トラクタートレインと呼ばれる重い荷物を牽引する採鉱用のキャタピラ車を利用するためである[1]。後にトラクターによる貨物輸送は北部では見られなくなり、整備されたアイスロードによるトラック輸送に取って代わられた。極北では、1950年代にグリムショー運輸のアル・ハミルトンが初めてアイスロードを設計し、のち1960年代にはバイヤーズ運輸のジョン・デニソンが、1980年代にはロビンソン・トラックがこれを改良した。
冬季道路やアイスロードは主にいくつかの州の北部にあるほか、人口の希薄な北部のユーコン準州やノースウェスト準州、ヌナブト準州でも見られる。ヌナブト準州には通年道路も数多くある一方で、ヌナブトとノースウェスト準州のティビット湖を結ぶ「ティビット・コントウォイト冬季道路」が北米他地域の道路網への唯一のアクセス手段となっている。

ノースウェスト準州の冬季道路は、トゥクトヤクトゥク冬季道路をはじめとして、様々な孤立集落や採鉱場を準州内の高速道路網に連絡している。ダイアヴィク鉱山はダイアヴィック空港とアイスロードでしかアクセス出来ないため、燃料や重機はアイスロードが形成される冬期にしか運搬出来ない。
冬季道路はカナダ各州の人口希薄な北部地域においても見ることができる。オンタリオ州のオールバニー川以北に位置する村落のほとんどは冬季道路の恩恵を受けている。州内で通年の高速道路が通じている北限の集落は599号線の終端に位置するピックルレイクであるが、北西オンタリオ地方の冬季道路のほとんどは、ここから北に延びる通年の砂利道である北西オンタリオ資源道路に結ばれている。北東オンタリオ地方では集落のいくつかはムースニーに結ばれており、この街は南部へ鉄道が通じているが道路でのアクセスは存在しない。
中国
ロシアと中国の間の輸送網は国境の街を結ぶアイスロードに大きく依存している。中露国境の冬季の気温は、1月の平均最低気温で-20℃~-25℃に達するため、アムール川やウスリー川のような国境の河川は10月末から11月末には十分凍結する。代表的なアイスロードの例としては、黒河市とブラゴヴェシチェンスクを結ぶものや、綏芬河市とポグラニチニを結ぶものが挙げられる。
エストニア

冬のアイスロード運営はエストニア道路管理局が管轄している。アイスロードは、道路全体の氷の厚さが少なくとも22cm以上のときに開通することになっている。ペイプシ湖のピーリッサール島に向かうアイスロードはほぼ毎年開通しており、バルト海上のヒーウマー島・ヴォルムシ島・ムフ島・キフヌ島各島とエストニア本土を結ぶ道路、およびサーレマー島とヒーウマー島間、ハープサルとノアローツィ間の道路は厳冬の年のみ開通する。2011年現在、ヨーロッパ最長のアイスロードは本土のロフクラとヒーウマー島のヘルテルマーを結ぶ26.5kmのものである[2]。
アイスロードの走行にかかる制限は以下のようになっている。

- 状況による重量制限(基本的に2t~2.5t)
- 同一方向へ走る車両は最低250mの間隔を取る
- 推奨走行速度は時速25km以下もしくは時速40~70km。時速25~40kmは氷の層に共鳴を引き起こす危険性があるので非推奨(自動車の速度と波速が同程度になると、波が大きくなり氷を損傷する恐れがある)
- 氷の割れ目で溺死する恐れがあるため、シートベルトの着用禁止、ドアはすぐに開けられる状況を保つ[3]
- 停車禁止
- 車両は3分ずつ間を取って入構する
- 昼間のみ走行可能
道路長は以下の通り。
- ヴィルツ(本土)―クイヴァストゥ(ムフ島)間 - 9.0km
- ロフクラ(本土)―ヘルテルマー(ヒーウマー島)間 - 26.5km
- ロフクラ(本土)―スヴィプ(ヴォルムシ島)間 - 10.2km
- タルクマ(ヒーウマー島)―トリーキ(サーレマー島) - 14.5km
- ハープサル―ノアローツィ間 - 3.2km
- ハープサル(本土)―キフヌ(キフヌ島)間 - 13.0km
フィンランド

フィンランド運輸局が冬季のアイスロードを管理している。これらの道路は開放時は公道と見なされる。最長のものはピエリネン湖上を横断する道で、全長7kmである[4]。道路の開通には、氷は少なくとも40cmの厚さが求められる。アイスロードにかかる規制は以下のとおりである。
- 3tの重量制限(氷の厚さに応じて引き上げ)
- 時速50kmの速度規制
- 同一方向へ走る車両は50m以上の間隔を取る
- 追い越し禁止
- 停車禁止
厳寒の年には、フィンランド本土からオーランド諸島、さらに諸島内の各所へ私営のアイスロードが建設される。こうした道路の利用は保険の適用範囲外である。
アイスロードの上で停車することは認められていないが、道路から脇にそれて走行し、車を停めて釣りに出掛けることは一般的である。冬にはアイスロードを全く経由せずに氷上を通ってアクセスできるコテージもある。
ノルウェー
タナ川の上には通例12月から4月にかけて2本のアイスロードがつくられる。走行には2tの重量制限があるが、その他の制限はほとんどない。ノルウェーの至る所に凍結した川を渡るアイスロードが無数に存在する。
ロシア
アイスロードの一例として、ラドガ湖を横切るダローガ・ジーズニ(命の道)がある。これは第二次世界大戦のレニングラード包囲戦において、冬の間レニングラードに至る唯一の交通手段となった。
レナ川上には冬季に何百キロもの長さのアイスロードが造られる。
ロシアと中国の間にはアムール川を渡って国境を越える地点が数ヶ所存在するが、冬にはアイスロードが、夏にはフェリーが用意されている[5][6]。
スウェーデン
スウェーデンの北部には多くのアイスロードがある。スウェーデン道路庁が大部分を管理しているが、私有のものも存在する。アイスロードは通常氷の厚さが20cmを超えると敷設される。交通制限には通例以下のようなものがある。
スウェーデンで最長のアイスロードは15kmで、ボスニア湾最北部のルレオ諸島にある。これはヒンデシェストラナ港に端を発し、ヒンデシュ島、ストール・ブランド島、ロング島を本土と接続している。ルレオのアイスロードは通例1月から4月にかけて稼働し、2~4tの重量制限がかけられる。ストゥール湖上にも数本のアイスロードがあり、開通時期や重量制限はルレオのものと同様である。スウェーデン最南のアイスロードはイェルマレン湖上、ヴィン島に渡るもので[7]、氷が薄いため開通しない年もある。
他のアイスロードと同様に、フェリーを運航するには氷が多すぎ、アイスロードを作るには少なすぎる期間が存在する。湖底や海底にパイプから圧縮空気を送ることである程度氷の形成を防ごうとする試みもあった。アイスロードはフェリー航路からある程度離れたところに設置する必要がある。スウェーデンにはフェリーやアイスロードに代わる迂回路として橋や湾岸を通る道路のうち、80kmを超えるものはない。ホルム島のような島嶼を結ぶ道にはいくつか例外があるが、ここでは砕氷能力の高いフェリーが用いられている。
アメリカ
合衆国大陸部・スペリオル湖上に、本土のウィスコンシン州ベイフィールドとマデリン島のラ・ポイントを結ぶアイスロードがある。道路は約3.2kmの長さで、夏場のフェリー航路に代わって年に数週間供用される。道路を建設するには氷が薄く、フェリーの航行には厚すぎる場合は、学童を島から本土へ送るのにホバークラフトが利用される[8]。ミシガン州のマキナック海峡では、マキノー島およびボイ・ブランク島と本土とを季節的にアイスロードが結んでいる。
アラスカ州のプルドーベイには、北極海を横断する40kmの長さのアイスロードがあり、時速16kmに制限されている。冬の数ヶ月、海上の油田開発のために利用される。プルドー湾から延びるアイスロードは他にもあり、アラスカ州ポイント・トムソンへ至るもので、ボーフォート海上に109kmにわたって延びている。このアイスロードは主にポイント・トムソンに物資を供給するピックアップトラックが利用している。
夏の間道路の存在しないクパルク油田とアルペン油田を結ぶアイスロードも存在する。この道路はコルヴィル川に沿ってナイーキュース集落にも通じている。道路はおよそ全長50kmで、アルペン油田の運営に欠かせない物資の供給や掘削機の輸送に利用されている。
メディアでの扱い
2003年にはダイアヴィク鉱山までのアイスロードを作るスタッフや貨物を運搬するトラック運転手に密着したドキュメンタリーがNHKで放送された[9]。
2008年の映画フローズン・リバーは、凍り付いたセントローレンス川を車で渡ってカナダからアメリカへ向かう不法移民の移送に携わる2人の女性を描いた物語である。
カナダとアラスカのアイスロードは、アイスロード・トラッカーズにて大々的に取り上げられた。
脚注
- ^ “Tractor Trains Move Freight in Far North”. Popular Mechanics 62 (4): 555. (1934).
- ^ “Estonia claims Europe's longest ice highway.”. The Independent. 2011年2月19日閲覧。
- ^ “Traffic Act | Liiklusseadus 2011”. エストニア道路管理局. 2016年3月4日閲覧。
- ^ “ピエリネン湖アイスロード”. 2018年4月8日閲覧。
- ^ “A New Russian Fear -- Losing Siberia To China” (英語). tribunedigital-orlandosentinel 2018年4月7日閲覧。
- ^ Lansdell, Henry (2014-04-17) (英語). Through Siberia. Cambridge University Press. ISBN 9781108071222
- ^ “Official message from Vägverket (Sweden) about the ice road in Hjälmaren 2004”. Vägverket. 2007年8月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月7日閲覧。
- ^ Saulny, Susan (2008年2月22日). “Across the bay, on a school bus wearing skis” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 2018年4月7日閲覧。
- ^ NHKドキュメンタリー - プレミアムカフェ 極北のアイスロード~カナダ・生命線に挑む男たち~
関連項目
- 氷の桟橋(英語: ice pier) - 南極で積み下ろしに用いる氷の構造物。
- アイスレース(英語: ice racing) - 氷上のコースを自動車などで競走するレース。
- 雪上道路(英語: snow road) - 圧雪して作る陸上の冬季道路。
外部リンク
- ノースウェスト準州交通省:アイスロードについて(2014年4月18日時点のアーカイブ)
- ノースウェスト準州交通省:ハイウェイ道路状況(2014年4月20日時点のアーカイブ)
- カナダのアイスロード大整備事業(Popular Mechanics, 2009年12月18日)
- 1959年ジョン・デニソンのアイスロード プリンス・オブ・ウェールズ北部ヘリテージセンター(2012年2月17日時点のアーカイブ)
アイスロード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 05:08 UTC 版)
六甲山頂付近の池畔にあった氷室に貯蔵された氷を運搬した道。後世、アイスロードと称せられるようになった。氷でできた道ではない。 六甲山ホテル - 六甲ケーブル下駅
※この「アイスロード」の解説は、「六甲山」の解説の一部です。
「アイスロード」を含む「六甲山」の記事については、「六甲山」の概要を参照ください。
- アイス・ロードのページへのリンク