その他の裁判例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/07 16:22 UTC 版)
犯罪組成物の没収の相当性につき、以下の裁判例がある。 不正に発給を受けた旅券を行使した被告人につき、当該旅券が外務省領事局旅券課に属するものであり被告人が何らの権利をも有しないこと、本件旅券はその没収の言渡の有無にかかわらず上記旅券課に引き継がれるものであることから、没収はできないとした事例(東京高判平成20年9月19日 東京高等裁判所(刑事)判決時報59巻1~12号81頁) 殺人罪等の前科の多い被告人につき、延べ11回の無免許運転・速度違反運転を行ったとして罰金40万円・普通乗用自動車を没収した量刑を相当とした事例(福岡高判昭和55年11月19日 判例時報997号168頁) 多数回にわたり自動車の無免許運転により罰金刑の処罰を受けたにもかかわらず、少しも反省することなく22回にわたり普通貨物自動車の無免許運転を繰り返した被告人につき、再犯の防止は執行猶予・保護観察付き懲役刑で十分可能であり没収すべき「保安処分上の必要性に乏しい」こと、被告人の妻が運転免許取得の意思を有していること、本件貨物自動車の財産的価値が約60万円であることなどに照らし、没収は量刑不当として破棄自判(主刑のみ維持)した事例(福岡高判昭和50年10月2日 刑事裁判月報7巻9・10号847頁) 犯罪供用物(犯罪に使用した道具)の没収の相当性につき、以下の裁判例がある。 電子メール送信によるストーカー行為を行った被告人が当該行為の用に供したパソコン2台の没収を、犯情および当該のパソコンの財産的価値が高くないこと(1台目は0円、2台目は3万2000円相当)事を理由に、相当であるとした事例(東京高判平成14年12月17日 判例時報1831号155頁) ソ連警備艇及び海上保安庁の巡視艇の出動状况等を探知し、その追尾を高速で振り切るために船体に無線機、レーダー及び高出力の船外機等を装備した特攻船と呼ばれる各漁船2隻を使用し、共犯者らを乗り組ませるなどして、固定式刺し綱により花咲がに等を採捕し、不法にかに固定式刺し網漁業を営んだ被告人からの当該特攻船の没収を、船舶船体等の転用可能性及び価額等を考慮しても相当であるとした事例(最一小判平成2年6月28日 刑集44巻4号396頁) 脅迫文書を書くのに使用した万年筆を没収した事例(現住建造物放火罪も認められた。山形地判昭和39年9月8日 下級裁判所刑事裁判例集6巻9・10号1008頁)
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