さい白川文字学のポイントは(さい)の提唱(#さいの提唱を参照)にある。古代人は、多くの時間とエネルギーを「邪気」を祓う呪術のために消費していた。白川の説はそこから始まる。古代中国における戦いはまず呪術による攻防として行われ、その呪術的な戦いは言葉によって展開した。そして、その言葉のもつ呪的な機能を定着し、永久化するために文字が作られた。呪術の攻撃と防禦は、文字の呪能を託された祝詞の器のに対して加えられる。よって、には様々な武具が防禦のために用意された。に鉞を加えた「吉」(呪能を守ること。詰めるが原義)、に盾を加えた「古」(呪能を長い間保持すること)、「古」をさらに厳重に守るために外囲を加えた「固」(呪能を守り固めること)などはその祝詞の呪能を保全するための防禦的方法である。一方、敵の防禦を攻撃して破るためにはを汚す文字が用いられる。「舎」(すてる)と「害」(そこなう)は、いずれも長い刃をもってを突き通す形であり、そのような方法で呪能は失われると考えられた。また、「沓」(けがす)は、蓋が少し開いた(曰(エツ))に水をかけて祝詞を汚すことで、これも呪能を奪う方法であった。『説文解字』以来の学者たちの誤解のもとは、このを口の単なる象形と解し、文字映像におけるその象徴的意味を把握しえなかった点にある。よって、この基本形であるの系列に属する数十の基本字と、またその関連字とはすべて解釈を改めなくてはならないのである。書写の効力
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「字統」の記事における「さい白川文字学のポイントは(さい)の提唱(#さいの提唱を参照)にある。古代人は、多くの時間とエネルギーを「邪気」を祓う呪術のために消費していた。白川の説はそこから始まる。古代中国における戦いはまず呪術による攻防として行われ、その呪術的な戦いは言葉によって展開した。そして、その言葉のもつ呪的な機能を定着し、永久化するために文字が作られた。呪術の攻撃と防禦は、文字の呪能を託された祝詞の器のに対して加えられる。よって、には様々な武具が防禦のために用意された。に鉞を加えた「吉」(呪能を守ること。詰めるが原義)、に盾を加えた「古」(呪能を長い間保持すること)、「古」をさらに厳重に守るために外囲を加えた「固」(呪能を守り固めること)などはその祝詞の呪能を保全するための防禦的方法である。一方、敵の防禦を攻撃して破るためにはを汚す文字が用いられる。「舎」(すてる)と「害」(そこなう)は、いずれも長い刃をもってを突き通す形であり、そのような方法で呪能は失われると考えられた。また、「沓」(けがす)は、蓋が少し開いた(曰(エツ))に水をかけて祝詞を汚すことで、これも呪能を奪う方法であった。『説文解字』以来の学者たちの誤解のもとは、このを口の単なる象形と解し、文字映像におけるその象徴的意味を把握しえなかった点にある。よって、この基本形であるの系列に属する数十の基本字と、またその関連字とはすべて解釈を改めなくてはならないのである。書写の効力」の解説
白川はトレーシングペーパーで甲骨文の書き写しをした。「カメラやコピーではいけない。甲骨文にトレーシングペーパーを載せ、上からなぞっていくことに意味がある。手で覚え、肉体化されたものは、いわば未分の全体を含む。手で写して新しく得た資料は、すでにある資料と感じあい、重畳し、互いに意味づけをしてゆく。そういう過程のなかで、私が写しつづけた文字は、皆自らの素性を明らかにしてきた。(趣意)」と、トレーシングペーパーでなぞるうちに古代人がどのような思いで甲骨文を書いたかがわかったという。
※この「さい白川文字学のポイントは(さい)の提唱(#さいの提唱を参照)にある。古代人は、多くの時間とエネルギーを「邪気」を祓う呪術のために消費していた。白川の説はそこから始まる。古代中国における戦いはまず呪術による攻防として行われ、その呪術的な戦いは言葉によって展開した。そして、その言葉のもつ呪的な機能を定着し、永久化するために文字が作られた。呪術の攻撃と防禦は、文字の呪能を託された祝詞の器のに対して加えられる。よって、には様々な武具が防禦のために用意された。に鉞を加えた「吉」(呪能を守ること。詰めるが原義)、に盾を加えた「古」(呪能を長い間保持すること)、「古」をさらに厳重に守るために外囲を加えた「固」(呪能を守り固めること)などはその祝詞の呪能を保全するための防禦的方法である。一方、敵の防禦を攻撃して破るためにはを汚す文字が用いられる。「舎」(すてる)と「害」(そこなう)は、いずれも長い刃をもってを突き通す形であり、そのような方法で呪能は失われると考えられた。また、「沓」(けがす)は、蓋が少し開いた(曰(エツ))に水をかけて祝詞を汚すことで、これも呪能を奪う方法であった。『説文解字』以来の学者たちの誤解のもとは、このを口の単なる象形と解し、文字映像におけるその象徴的意味を把握しえなかった点にある。よって、この基本形であるの系列に属する数十の基本字と、またその関連字とはすべて解釈を改めなくてはならないのである。書写の効力」の解説は、「字統」の解説の一部です。
「さい白川文字学のポイントは(さい)の提唱(#さいの提唱を参照)にある。古代人は、多くの時間とエネルギーを「邪気」を祓う呪術のために消費していた。白川の説はそこから始まる。古代中国における戦いはまず呪術による攻防として行われ、その呪術的な戦いは言葉によって展開した。そして、その言葉のもつ呪的な機能を定着し、永久化するために文字が作られた。呪術の攻撃と防禦は、文字の呪能を託された祝詞の器のに対して加えられる。よって、には様々な武具が防禦のために用意された。に鉞を加えた「吉」(呪能を守ること。詰めるが原義)、に盾を加えた「古」(呪能を長い間保持すること)、「古」をさらに厳重に守るために外囲を加えた「固」(呪能を守り固めること)などはその祝詞の呪能を保全するための防禦的方法である。一方、敵の防禦を攻撃して破るためにはを汚す文字が用いられる。「舎」(すてる)と「害」(そこなう)は、いずれも長い刃をもってを突き通す形であり、そのような方法で呪能は失われると考えられた。また、「沓」(けがす)は、蓋が少し開いた(曰(エツ))に水をかけて祝詞を汚すことで、これも呪能を奪う方法であった。『説文解字』以来の学者たちの誤解のもとは、このを口の単なる象形と解し、文字映像におけるその象徴的意味を把握しえなかった点にある。よって、この基本形であるの系列に属する数十の基本字と、またその関連字とはすべて解釈を改めなくてはならないのである。書写の効力」を含む「字統」の記事については、「字統」の概要を参照ください。
- さい白川文字学のポイントはの提唱にある。古代人は、多くの時間とエネルギーを「邪気」を祓う呪術のために消費していた。白川の説はそこから始まる。古代中国における戦いはまず呪術による攻防として行われ、その呪術的な戦いは言葉によって展開した。そして、その言葉のもつ呪的な機能を定着し、永久化するために文字が作られた。呪術の攻撃と防禦は、文字の呪能を託された祝詞の器のに対して加えられる。よって、には様々な武具が防禦のために用意された。に鉞を加えた「吉」、に盾を加えた「古」、「古」をさらに厳重に守るために外囲を加えた「固」などはその祝詞の呪能を保全するための防禦的方法である。一方、敵の防禦を攻撃して破るためにはを汚す文字が用いられる。「舎」と「害」は、いずれも長い刃をもってを突き通す形であり、そのような方法で呪能は失われると考えられた。また、「沓」は、蓋が少し開いた)に水をかけて祝詞を汚すことで、これも呪能を奪う方法であった。『説文解字』以来の学者たちの誤解のもとは、このを口の単なる象形と解し、文字映像におけるその象徴的意味を把握しえなかった点にある。よって、この基本形であるの系列に属する数十の基本字と、またその関連字とはすべて解釈を改めなくてはならないのである。書写の効力のページへのリンク