『カール・マルクスの歴史理論:その擁護』とは? わかりやすく解説

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『カール・マルクスの歴史理論:その擁護』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/24 06:17 UTC 版)

ジェラルド・コーエン」の記事における「『カール・マルクスの歴史理論:その擁護』」の解説

コーエン1978年著作『カール・マルクスの歴史理論:その擁護』は、マルクス主義学説である史的唯物論ラディカル再解釈である。コーエン現代の分析哲学技法用いてリベラル派や「ブルジョアジー」の社会理論言葉で、マルクス歴史理論構築した。この著作は、英米分析哲学社会科学ツールとして用いてマルクス主義調査し再構築ようとする学派、後に「分析的マルクス主義」として知られるようになった潮流始まりであった考えられている。 コーエン理論は、結論マルクス主義議論としては極めてオーソドクスなものであったが、彼が用いた用語や前提方法は、マルクス主義批判者たちのものだったコーエン理論は、現在哲学用いられる論理分析言語分析を使うとともに現在の社会科学でよく知られている方法論的個人主義ホモ・エコノミクス見られるような諸個人客観的合理性(objective rationality)、あるいは完全合理性(unbounded rationality)を、議論前提ツールとして用いている。 分析的マルクス主義時に合理選択マルクス主義」(Rational Choice Marxism)とも呼ばれるが、これに対して次のような反論を行う者がいる。 合理選択マルクス主義意味するところは、すべての経済的政治的行動理論は、どんな個人行動によって説明されなければならないというのみならず、ある良く知られた「個人」、つまり自己の利害に基づき効用最大化するホモ・エコノミクスという個人行動によって説明されなければならないということである。ホモ・エコノミクスは「次善の策」としてしか集合行動をとることができない。したがってこの方法でマルクス主義再構築することはほぼ間違いなく不可能である。 実のところ分析的マルクス主義者は上記通りアプローチ採用しているのである分析的マルクス主義多くそれ以前の「マルクス主義」を真に隔てるものは、マルクス主義に残る「弁証法的」あるいは「全体論的方法拒絶するか否かという点にある。つまり、分析的マルクス主義者は、階級や他のどんな存在も、そうした存在作り出したのは個人行動結果であるとして考えるべきであって階級その他の存在自体が行動すると受け取るべきでない考える。分析的マルクス主義者は、合理的人間ホモ・エコノミクスという新古典派経済学前提同意していないが(彼らが時にはこの前提をツールとして用いることはあっても、現実描写するのには用いない)、にもかかわらず主流派方法論には同意する傾向がある。こうした技法用いる人たちが説明のために用いる、人間の本性についての方法論的仮説と、人間本質についての理論そのものとを区別することを怠れば、混乱してしまうだろう分析的マルクス主義合理選択マルクス主義は、(かつてマルクス同時代理論に対してそうしたのと同じように)ブルジョアジー理論に対してブルジョワジー理論それ自体の用語を用いて挑戦する人間合理性は、資本主義批判する際に、とてもよい出発点与えてくれる可能性があるが、社会的公正概念考え直すにも足場与えてくれる。多く分析的マルクス主義者と同様、コーエンもまた最近著作で、公正の概念について論じている。

※この「『カール・マルクスの歴史理論:その擁護』」の解説は、「ジェラルド・コーエン」の解説の一部です。
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