『アースキン・メイ』の改訂と現代政治
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「アースキン・メイ (初代ファーンバラ男爵)」の記事における「『アースキン・メイ』の改訂と現代政治」の解説
21世紀の庶民院委員会秘書官ポール・エヴァンス(Paul Evans)らによると、メイの存命中に出版された第9版までは議員の注目するところである議員の権力と特権(powers and privileges)に関する内容が大半だったが、以降は「万人向けのガイドブックから法学の教科書」に移り、特に第14版(1946年)が顕著だったという。 「アースキン・メイ」(Erskine May)の通称は現代でも使用されており、イギリス議会のウェブサイトでも「議事運営手続きの聖書」(the Bible of parliamentary procedure)との呼称で言及している。イギリス庶民院議長(英語版)は裁定においてアースキン・メイを引用することが多く、庶民院での議論でも引用される。 またメイの日記を20世紀後半に編纂したマッケイによると、イギリスにおける影響としては議事規則が不文律である慣習から法典化された規則に変わる傾向をはじめたことが挙げられる。一方、21世紀の庶民院日誌書記官マーク・ハットン(Mark Hutton)もイギリスの憲法が非成典憲法であるとし、『アースキン・メイ』がイギリスの憲法の一部であるとしたが、『アースキン・メイ』は「手続きの聖書」(procedural bible)とは言えないとした。また、ハットンは「議会は多くのルールがあるものの、ルール志向(rules-based)の組織ではなく、慣習と先例に基づき運営されている。議事規則(standing orders)、決議、成文法(statute)で記述されているルールは慣習への注釈あるいは改正にすぎない」とも述べている。 また、議会内部だけでなく一般メディアにも「アースキン・メイ」の表現が用いられることがある。例えばEU離脱(Brexit)でイギリス議会が紛糾していた2018年、日刊紙タイムズのコラムニストであるフィリップ・コリンズ(Philip Collins)は「テレサ・メイ首相より『アースキン・メイ』の方が役に立つ時期に差し掛かっている」と同姓のMayつながりで当時の政局を皮肉っている。統制の取れなくなった議会を正常化させるには、議事規則に則るべきとの主張である。この批判は他メディアにも引用された。
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