He 111 He 111の概要

He 111

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2010/04/02 11:08 UTC 版)

He 111H。ルフトバッフェのマークが見える

He 111E
編隊飛行を行うHe 111(1940年
編隊飛行を行うHe 111
コックピットの視界が広いのが見て取れる
ポーランドへの電撃戦で爆弾投下を行うHe 111
中華民国の中國航空公司のハインケルHe-111

ハインケル He 111第二次世界大戦前から大戦終了までドイツの航空機メーカーハインケルが製造し、ドイツ空軍が使用していたレシプロ双発爆撃機。大戦を通じて使用された主力機で、使い勝手の良さから多くの派生機が誕生した。

目次

開発経緯

ドイツヴェルサイユ条約の規制のため、戦闘機などの開発を民間機の名目でしており、He 111も民間用輸送機として開発が進められており、民間用にC型が開発された。このC型を元に軍用機も研究、開発が進められた。

こうして開発された機体は当初、重量過多により巡航速度が予定の数値を大きく下回り、「期待はずれの落第機」の烙印を押されたが、その後DB600Aエンジンを搭載した機体が開発され、この機が実戦配備された。本機は楕円翼をもち、爆弾を胴体内に垂直に搭載する独特な爆弾倉を装備していた。

また、ドイツ空軍の「爆撃機の高速化」のコンセプトにも基づいており、当時の爆撃機としては高速であった。

実戦

1937年のスペイン内戦で第一線機としてデビューし、1939年のポーランド侵攻や1940年のフランス戦など、大戦当初は主力機として活躍したが、爆弾の大型化に伴い速度が低下し、また防御力も低かったため、バトル・オブ・ブリテンでは大損害を被った。

その後は東部戦線を除いて昼間爆撃任務のほとんどはJu 88が行うようになり、He 111は夜間爆撃機、ミサイル母機や偵察機雷撃機として活躍した。東部戦線でも1943年頃からHe 111の爆撃任務は夜間に限定されるようになった。

また、1942年にはスターリングラード攻防戦で包囲された友軍への空中補給任務を行い、大戦末期にはほとんど輸送機として任務に就いた他、中華民国に輸出された機体が輸送機として使用された。

仕様 (H-6)

出典: Jane's Fighting Aircraft of World War II[1]

諸元

  • 乗員: 5名(パイロット、航法兼爆撃手、機首銃手、腹部銃手、尾部銃手
  • 全長: 16.4 m (54 ft 6 in)
  • 全高: 3.9 m (13 ft 9 in)
  • 全幅:
  • 翼幅: 22.5 m(74 ft 3 in)
  • 翼面積: 86.5 m2 (942 ft2
  • 空虚重量: 7,720 kg (17,000 lb)
  • 運用時重量: 12,030 kg (26,500 lb)
  • 最大離陸重量: 14,075 kg (31,000 lb)
  • 動力: ユモ 211 F-1 液冷V型12気筒エンジン、986 kW (1,300 hp) × 2

性能

  • 最大速度: 400 km/h (250 mph)
  • 航続距離: 2,800 km (1,521 海里, 1,750 マイル)
  • 実用上昇限度: 8,390 m (27,500 ft)
  • 上昇率: 5,185 m/min (17,000 ft/s)
  • 翼面荷重: 137 kg/m2 (28.1 lb/ft2
  • 馬力荷重(プロペラ): .082 kW/kg (.049 hp/lb)

武装

  • 固定武装:MG15または7.92mmMG81機関銃 7門
  • 搭載爆弾:2000kg(4,400 lb)胴体内搭載 もしくは 外部2000kg及び胴体内500kg(1,100 lb)搭載
使用されている単位の解説はウィキプロジェクト 航空/物理単位をご覧ください。



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  1. ^ Bridgman, Leonard, ed. "The Heinkel He 111 H". Jane's Fighting Aircraft of World War II. London: Studio, 1946. 167. ISBN 1-85170-493-0


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ハインケル He111

(He 111 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/18 00:51 UTC 版)

He 111Heinkel He 111)は、第二次世界大戦前から大戦終了まで、ドイツの航空機メーカーハインケルが製造し、ドイツ空軍が使用していたレシプロ双発爆撃機


注釈

  1. ^ 本機の主翼配置は低翼式のため、爆弾倉の位置する主翼間の胴体下面は主翼の主桁が左右に貫通していることから、爆弾は主桁を避ける形で搭載せざるを得ず、このような構造の爆弾倉となった。
  2. ^ 連合軍は、中島飛行機がエンジンを空冷のものに換装した上でHe 111を「九八式重爆撃機」として国産化したという誤った情報を信じており、コードネームとして「Bess(ベス)」の名前を与えている [3]

出典

  1. ^ Cruz Air Enthusiast September/October 1998, p. 35.
  2. ^ Nowarra 1980, p. 233
  3. ^ 秋本実『日本陸軍試作機大鑑』酣燈社、2008年、231頁。ISBN 978-4-87357-233-8 
  4. ^ Bridgman, Leonard, ed. "The Heinkel He 111 H". Jane's Fighting Aircraft of World War II. London: Studio, 1946. 167. ISBN 1-85170-493-0


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