BMW・3シリーズ BMW・3シリーズの概要

BMW・3シリーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/11 01:05 UTC 版)

歴代3シリーズ

BMWの中核を担う主力モデルであり、アメリカ市場においてもスモールセダンのベストセラーモデルとして人気を博しており年間10万台以上販売される。日本市場において3シリーズはDセグメントにおける輸入車最量販モデルである。

概要

欧州における分類でDセグメント(3シリーズ・コンパクトはCセグメント)に属する、後輪駆動(FR)(一部モデルに四輪駆動(4WD))の乗用車である。3シリーズは1975年の初代(E21)登場時から現在に至るまで、BMWの最多量販車種であり続けている。

前身は、1500シリーズ1961年発表)からはじまるいわゆる「ノイエクラッセ」の発展版、02シリーズ1966年発表)である。

初代 E21(1975年 - 1983年)

BMW・3シリーズ(初代)
E21
セダン 前期型(1975年 - 1979年)
セダン 後期型(1979年 - 1983年)
概要
販売期間 1975年 - 1983年
ボディ
ボディタイプ 2ドアセダン
2ドアカブリオレ
駆動方式 FR
パワートレイン
エンジン 1,573cc 直列4気筒SOHC
1,766cc 直列4気筒SOHC
1,990cc 直列4気筒SOHC
1,990cc 直列6気筒SOHC
2,315cc 直列6気筒SOHC
変速機 3速/4速AT
5速MT
サスペンション
サス前 マクファーソン・ストラット式
サス後 セミトレーリングアーム式
車両寸法
ホイールベース 2,565mm
全長 4,355mm
全幅 1,610mm
全高 1,380mm
車両重量 1,010kg - 1,180kg
系譜
先代 BMW・02シリーズ
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02シリーズのボクシーなボディを発展させ曲面を生かした優美なデザインを持ち、ノイエクラッセから続く伝統のM10系エンジンを搭載する。軽量ボディから繰り出される軽快で吹け上がりの良いエンジンレスポンスと俊敏なハンドリング特性をもった2ドアセダン。サスペンション形式は変わらず、前輪がマクファーソン・ストラット式、後輪がセミトレーリングアーム式サスペンション式である。外観上の特徴でもあったボディサイドのキャラクターラインから開く逆アリゲーター式ボンネットも2002より引き継いでいる。

1975年登場時は、全グレードに直列4気筒エンジンを搭載し、キャブレター仕様の316318320とインジェクション仕様の320iが用意された。エクステリアはベーシックモデルの316と318は2灯式ヘッドライトを装備するのに対し、上級モデルの320と320iは4灯式ヘッドライトを装備する。

1977年には直列6気筒エンジンを搭載した320/6323iが追加された。

1979年にはマイナーチェンジを実施。フロントのロアーパネルおよびエアスポイラー形状、サイドミラーのデザインが変更された。先代02シリーズの最廉価モデル1502(3シリーズ登場後も、最廉価モデルとして引き続き生産・販売されていた)の後釜として、315が追加された(316搭載の1,573cc直列4気筒エンジンをデチューンした最廉価モデル)。

初代3シリーズはオイルショックの影響もあって、2002ターボのような高性能スポーツセダンは販売されなかった(一方でツーリングカーレース上ではターボモデル 320i Turboが活躍した)。バウアによるカブリオレモデル(タルガトップ)は引き続き設定され「トップ カブリオレ (Top Cabriolet:TC)」として販売されていた。

搭載エンジン一覧
グレード 製造年 エンジン 排気量 最高出力 備考
315 1979年 - 1983年 直列4気筒SOHC 1,573cc 75馬力DIN
316 90馬力(DIN)
318
318A
1,766cc 98馬力(DIN)
320
320A
-1977年 1,990cc 109馬力(DIN)
320i 125馬力(DIN) 320のボッシュKジェトロニック仕様。
320/6
320/6A
1977年 - 1983年 直列6気筒SOHC 1,990cc 122馬力(DIN) 320/6AはAT搭載車。6気筒、M60(旧型)系エンジン搭載。
323i 2,315cc 143馬力(DIN) 6気筒、M60(旧型)系エンジン搭載。BOSCHKジェトロニック仕様
セダン 後期型 4灯式ヘッドライト(1979年 - 1983年)

日本での販売

日本へは初めバルコムオートトレイディングによって正規輸入され、1981年昭和56年)からはBMWの日本法人として新たに設立されたBMWジャパンに移管された。しかしながら、販売網の未整備や、限定的な導入車種などから並行輸入も多く行われ、315から323iまでが並行輸入車として日本で販売された。

当初の正規輸入モデルは、トップモデルの320iおよび320iAで、これらはアメリカ仕様の320iを基に、外装をヨーロッパ仕様に戻したものであった。ごく初期に輸入されたモデルではフェンダーミラーに置き換えられていたものの、やがてドアミラーのまま販売されるようになった。

1980年昭和55年)にはマイナーチェンジを受け、318iと318iAが輸入されるようになった。翌年からはBMWジャパンによる輸入業務に移管されたものの、1983年昭和58年)のモデルチェンジまで価格以外の大きな変更は行われなかった。

日本への正規輸入車グレード一覧
グレード 製造年 エンジン 排気量 最高出力 備考
320i
320iA
-1980年 直列4気筒SOHCエンジン 1,990cc 105馬力(DIN) 変速機は4速MTおよび3速AT
318i
318iA
1980年 - 1,766cc 100馬力(DIN)

2代目 E30(1982年 - 1994年)

BMW・3シリーズ(第2世代)
E30
セダン 前期型 4ドアモデル(1983年 - 1987年)
セダン 後期型 4ドアモデル(1987年 - 1991年)
概要
販売期間 1982年 - 1994年
ボディ
ボディタイプ 2ドアセダン
4ドアセダン
2ドアカブリオレ
ステーションワゴン
スポーツセダン
駆動方式 FR / 4WD
パワートレイン
エンジン 1.6L - 2.0L 直列4気筒
2.0L - 3.2L 直列6気筒
2.4L 直列6気筒ディーゼル
2.4L 直列6気筒ターボディーゼル
変速機 3速/4速AT
4速/5速MT
サスペンション
サス前 マクファーソン・ストラット
サス後 セミトレーリングアーム式
車両寸法
ホイールベース 2,565mm - 2,570mm
全長 4,325mm - 4,360mm
全幅 1,645mm - 1,680mm
全高 1,365mm - 1,380mm
車両重量 990kg - 1,360kg
テンプレートを表示

初代モデルより車体寸法が拡大され、より滑らかで全体的に丸みを帯びたデザインとなった。デザイナーは第2世代BMW・7シリーズ(E32)や第2世代・第3世代5シリーズ(E28、E34)等を手掛けたクラウス・ルーテ。初代3シリーズではグレードによりヘッドライトが2灯式、4灯式(上級モデル)となっていたが、第2世代3シリーズからは全グレードに4灯式ヘッドライトが搭載された。サスペンションは、前輪がストラット、後輪がセミトレーリングアーム式であった。

第2世代3シリーズは2ドアセダン、4ドアセダン、カブリオレステーションワゴンスポーツセダンと多岐に渡るラインナップが設定され、作りの良い軽量化された車体から繰り出される吹け上がりの良いエンジンレスポンスとスポーティなハンドリング特性で世界的な人気を博した。

モデル展開は1982年に2ドアセダンがデビューし、コーチビルダーバウア社によるトップカブリオレ(タルガトップ)モデルが追加された。グレードは直列4気筒エンジンを搭載する「315」、「316」、「318i」、直列6気筒エンジンを搭載する「320i」、「323i」。ベストセラーとなる4ドアセダンのデビューは1983年で、ほぼ同時期に登場したメルセデス・ベンツの小型セダン190Eと人気を分け合った。

1985年には小変更が行われ、フロントロアーパネルのデザインが変更された。また、323iが廃止されて325iに代わったほか、ETAエンジン搭載の325eとBMW初のフルタイム4WDである325iXが追加された。また、カブリオレは従前のバウア社製のものに加えて、バウア社と共同開発による自社製フルカブリオレモデルが追加された。1985年には他にも、グループAレースへのホモロゲーション取得のために開発された高性能スポーツセダン、M3が登場した。

1987年にはマイナーチェンジが行われ、エリプソイド(楕円体)ヘッドライトと呼ばれる車幅灯内蔵型の前照灯が搭載されたほか、テールライトの意匠が変わり、バンパーについては鉄製バンパー(をゴムブッシュで覆ったもの)から樹脂製バンパー(にゴムブッシュを貼り付けたもの)に変わった。カブリオレについては従来型のデザインが継続され、3年遅れで後期型へマイナーチェンジした。318iはエンジンが新設計のものに置き換えられ性能が向上した。

1989年にはステーションワゴンであるツーリングモデルが追加されたが、この名称は2002ハッチバックモデルに由来したものであった。また、同時に4気筒DOHCエンジンを搭載したスポーツセダン、318isが追加された。

1990年に3シリーズは、第3世代E36型3シリーズへフルモデルチェンジしたが、カブリオレとツーリングについては従来型のまま併売された。両車とも第3世代のカブリオレ・ツーリングモデルが登場する1993年、1994年まで販売された。

搭載エンジン一覧
グレード 製造年 エンジン 排気量 最高出力 備考
4気筒系
315 - 1987年 直列4気筒SOHC 1,573cc 75馬力DIN 2ドアセダンのみ
316 - 1987年 1,766cc 90馬力(DIN)
316i 1987年 - 1,595cc 102馬力(DIN)
318i
318iA
- 1987年 1,766cc 105馬力(DIN) BOSCHLジェトロニック仕様。
318i
318iA
1987年 - 1,795cc 113馬力(DIN) BOSCHLジェトロニック+DME仕様。
318is 1989年 - 1990年 直列4気筒DOHC 1,795cc 136馬力(DIN) 2ドアセダンのみ
320is 1988年 1,990cc 192馬力(DIN) イタリアのみ導入
6気筒系
320i
320iA
直列6気筒SOHC 1,990cc 129馬力DIN BOSCHLジェトロニック+DME仕様。
323i
323iA
- 1987年 2,315cc 139馬力(DIN) BOSCHLジェトロニック+DME仕様。
325i 2,493cc 170馬力(DIN) BOSCHLジェトロニック+DME仕様。
325e - 1987年 2,693cc 125馬力(DIN) e:低回転省燃費型イータエンジン搭載車
325iX 2,493cc 170馬力(DIN) BMW初の市販四輪駆動車
333i 3,210cc 197馬力(DIN) 南アフリカのみ導入
324d 1986年 - 2,443cc 86馬力(DIN) ディーゼルエンジンモデル。4ドアセダンのみ
324td 1988年 - 直列6気筒SOHCターボ 2,443cc 115馬力(DIN) ターボディーゼルエンジンモデル。4ドアセダンのみ

日本での販売

セダン 前期型 2ドアモデル(1982年 - 1987年)
ツーリング(1989年 - 1994年)

バブル景気や販売網の整備など好条件が重なり、BMWジャパンの設立以来最大の人気車種となった。販売台数の多さから、メルセデス・ベンツ 190Eの「小ベンツ」「赤坂サニー」と並んで「六本木カローラ」などと皮肉をもって呼ばれることもあった。

正規輸入車の他、並行輸入も盛んに行われ、左ハンドルの欧州仕様のほか、南アフリカ共和国で生産された右ハンドル車も並行輸入業者によって日本で販売された。また、プラザ合意以降の大幅な円高や、日本と同等の排気ガス規制の存在による日本の車検適応の容易さから北米からの並行輸入も多く行われていた。

北米仕様車は衝撃吸収機構を持った大型バンパー(いわゆる5マイルバンパー)が装備されていることが外観の特徴であった。マイナーチェンジを行った1988年以降もこの5マイルバンパーが装備されており、欧州仕様と同じ小型の樹脂製に変わるのは1989年以降であった。また、日本仕様車では1996年平成8年)まで装備されなかったハイマウントストップランプもこの時代から装備されていた。

正規輸入は1983年昭和58年)よりBMWジャパンによって開始され、初めは2ドアで左ハンドルの318i、318iAと、バウア社製TCモデルの318iAカブリオーレが発売された。2ドアセダンモデルでは、専用サスペンションなどで足回りを固めた「スポーツ・パッケージ」と、スライディングルーフなどの高級装備を加えた「エクスクルーシブ・パッケージ」が選べた。

翌年には4ドアの325iAが追加されたが、これには高出力のライト・シックスではなく、528eと同じ高トルク型のETAエンジンが搭載されていた。1985年昭和60年)には318iAの4ドアが追加されたほか、318系には右ハンドルが設定された。1986年昭和61年)には325iAに2ドアモデルが追加された。

1987年昭和62年)に大幅なラインナップの変更があり、ライト・シックスの正規輸入が開始された。これは、欧州でもようやく北米/日本並みの排気ガス規制が導入されたことに伴い、全エンジンに触媒付のものが開発されたことによった。ETAエンジンの325iAが廃止され、ライト・シックスの320i(2ドア)と320iA、325iA(2/4ドア)が発売された。また、325iCA(自社製カブリオーレ)と325iXA、M3も追加された。さらに、320i/iAと325iAの2ドアにはM社製サスペンションやスポーツシート、エアロパーツなどを装備した「スポーツ・バージョン」が設定された。

1988年昭和63年)にはセダンがマイナーチェンジされ、318iについてはエンジンが換装された。翌年にはスポーツバージョンに代って、前述のパーツの他、専用のツートーンカラーが用意された「Mテクニック・バージョン」が2ドアの6気筒モデルに設定された。また、320iカブリオレが追加され、後に325iカブリオレは廃止された。

1991年平成3年)に第3世代モデルであるE36が発売されると、320iカブリオレがマイナーチェンジ、325iツーリングが導入され「クラシック・3シリーズ」として販売が継続された。

カブリオレ 前期型(1985年 - 1990年)
日本への正規輸入車一覧
グレード 製造年 エンジン 排気量 最高出力 変速機 備考
318i 1983年 - 1986年(2ドア) 直列4気筒SOHC 1,766cc 100馬力 5速MT 左ハンドルのみ
318iA 1983年 - 1987年(2ドア)
1985 - 1987年(4ドア)
3速ATまたは4速AT(1985年から) 1985年より右ハンドルが加わる。1987年は右ハンドルのみ。
318iAカブリオレ 1983年 - 1986年 3速ATまたは4速AT(1985年から)
320i 1987年 - 1991年(2ドア) 直列6気筒SOHC 1,990cc 129馬力 5速MT 左ハンドルのみ
320iA 1987年 - 1991年(2ドア、4ドア) 4速AT(1988年までプログラムセレクター付) 左右ハンドル選択可
320iAカブリオレ 1989年 - 1993年 4速AT 左ハンドルのみ
325iA 1984年 - 1986年(4ドア)
1986年(2ドア)
2,693cc 120馬力 25系は一貫して左ハンドルのみ
325iA 1987年 - 1991年(2ドア、4ドア) 2,493cc 170馬力 4速AT(プログラムセレクター付)
325iXA 1987年 - 1991年(4ドア) タイヤサイズの違いからオーバーフェンダーとそれに一体してデザインされたサイドスカートを持つ。
325iAカブリオレ 1987年 - 1989年
325iAツーリング 1991年 - 1993年







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