除法 実数の除法

除法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/02/24 14:10 UTC 版)

実数の除法

実数は有理数の極限として表され、それによって有理数の演算から実数の演算が矛盾なく定義される。すなわち、任意の実数 x, y (y ≠ 0) に対し xnx, yny (n → ∞) を満たす有理数の列 {xn}nN, {yn}nN(例えば、x, y の小数表示を第 n 桁までで打ち切ったものを xn, yn とするような数列)が与えられたとき

x/y := \lim_{n\to\infty}x_n/y_n

と定めると、この値は極限値が x, y である限りにおいて数列のとり方によらずに一定の値をとる。これを実数の商として定めるのである。

複素数の除法

実数の除法を用いれば複素数の除法が、被除数が 0 の場合を除いた任意の 2 つの複素数について定義できる。 2 つの複素数 z, w について、w共役複素数 w を用いれば、複素数の除法 z/w は次のように計算できる(ただし除数 w0 でないとする)。

\frac{z}{w} = \frac{z}{w}\frac{\overline{w}}{\overline{w}} = \frac{z\overline{w}}{\left|w\right|^2}.

また、複素数 z, w の実部と虚部を 4 つの実数 Re z, Im z, Re w, Im w を用いて z = Re z + i Im z, w = Re w + i Im w と表せば、複素数の除法 z/w は次のように表せる。

\frac{z}{w} 
= \frac{\operatorname{Re}z + i\operatorname{Im}z}{\operatorname{Re}w + i\operatorname{Im}w} 
= \frac{\operatorname{Re}z\operatorname{Re}w + \operatorname{Im}z\operatorname{Im}w}{(\operatorname{Re}w)^2 + (\operatorname{Im}w)^2} 
+ i\,\frac{\operatorname{Re}z\operatorname{Im}w - \operatorname{Im}z\operatorname{Re}w}{(\operatorname{Re}w)^2 + (\operatorname{Im}w)^2}
.

極形式では

\frac{z}{w}=\frac{|z|e^{i\arg z}}{|w|e^{i\arg w}}=\frac{|z|}{|w|}e^{i(\arg z-\arg w)}

と書ける。やはり |w| = 0 つまり w = 0 のところでは定義できない。

0で割ること

代数的には、除法は乗法の逆の演算として定義される。つまり ab で割るという除法は

a \div b = x \iff a = b \times x

を満たす唯一つの x を与える演算でなければならない。ここで、唯一つというのは簡約律

bx = by \Rightarrow x=y

が成立するということを意味する。この簡約律が成立しないということは、bx = by という条件だけからは x = y という情報を得たことにはならないということであり、そのような条件下で強いて除法を定義したとしても益が無いのである。

実数の乗法において、簡約が不能な一つの特徴的な例として b = 0 である場合、つまり「0 で割る」という操作を挙げることができる。実際、b = 0 であるとき a = bx によって除法 a ÷ b を定めようとすると、もちろん a = 0 である場合に限られるが、いかなる x, y についても 0x = 0 = 0y が成立してしまって x の値は定まらない。無論、a ≠ 0 ならば a = 0x なる x は存在せず a ÷ b は定義不能である。つまり、実数の持つ代数的な構造と 0 による除算は両立しない。

ユークリッド除法と除算アルゴリズム











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