階乗冪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/10 03:23 UTC 版)
数学、とくに離散数学の各分野における階乗冪(かいじょうべき、英: factorial power[1]) は、冪乗によく似た演算だが、階乗のように因子が 1 ずつずれていく。階乗冪には下降階乗冪 (falling factorial) [* 1]と上昇階乗冪 (rising factorial) [* 2]とがある。また、両方向へずらしながら積をとる類似の概念に、中心階乗冪 (central factorial) がある[2]。
注釈
- ^ 降冪、下方階乗冪とも。
- ^ 昇冪、上方階乗冪とも。
- ^ 特に (x)n のことを言い、上昇階乗冪を表す記号とする文献もあるので注意(この場合、下降階乗冪は (x − n + 1)n と書ける)。また、ポッホハマー自身はこれを二項係数を表すため用いた。詳細はポッホハマー記号の項目を参照。
- ^ このような記法では
- ^ 右辺は反射公式による。
- ^ x = 0 の場合、階乗冪は当然 0 であるがガンマ関数による表記は x = 0 の場合もカバーしている。また、x < n のときの自然数 x に対する下降階乗冪、および −x < n のときの負の整数 x に対する上昇階乗冪も 0 になるが、それもカバーしている。
- ^ ガンマ関数は 0 および負の整数で極を持つため、中辺の式では定義できない。
- ^ が、和分差分学における指数函数に相当する概念とは異なる。(結城浩『離散系バージョンの関数探し』)
- ^ ただし、非整数 α に対して
- ^ 羅: umbra は「日影」の意
出典
- ^ Knuth, The Art of Computer Programming, Vol. 1, 3rd ed., p. 50.
- ^ Weisstein, Eric W. "Central Factorial". mathworld.wolfram.com (英語).
- ^ Weisstein, Eric W. "Pochhammer Symbol". mathworld.wolfram.com (英語).
階乗冪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 08:10 UTC 版)
詳細は「階乗冪」を参照 自然数 n, k に対して、n の k-順列の総数 nk は n から始めて上から k 個の連続する整数の積を取る(ある意味で不完全な階乗とも呼べる)階乗の類似物であった。これを下降階乗冪と呼ぶ。その反対に n から始めて下から k 個の連続する整数の積をとったもの nk を上昇階乗冪といい、これら二つを総称して階乗冪と呼ぶ。ただし一般に自然数に限らず(実数や複素数などに値をとる)x を変数として x n _ = ∏ k = 0 n − 1 ( x − k ) , x n ¯ = ∏ k = 0 n − 1 ( x + k ) {\displaystyle {\begin{aligned}x^{\underline {n}}&=\prod _{k=0}^{n-1}(x-k),\\x^{\overline {n}}&=\prod _{k=0}^{n-1}(x+k)\end{aligned}}} を考えることが多い。明らかに自然数 n に対して n k _ = n ! ( n − k ) ! , n k ¯ = ( n + k − 1 ) ! ( n − 1 ) ! , {\displaystyle n^{\underline {k}}={\frac {n!}{(n-k)!}},\quad n^{\overline {k}}={\frac {(n+k-1)!}{(n-1)!}},} n ! = n n _ = 1 n ¯ . {\displaystyle n!=n^{\underline {n}}=1^{\overline {n}}.} また一般に実数 x ≠ 0 に対して x 0 _ = x 0 ¯ = 1 {\displaystyle x^{\underline {0}}=x^{\overline {0}}=1} と定義する(空積も参照)が x = 0 のときもそうであるかは規約による(例えば上記の関係式 n! = nn は n = 0 のとき 1 = 0! = 00 で矛盾しない。0^0も参照)。
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階乗冪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/04 17:05 UTC 版)
階乗冪の階差は再び階乗冪となる。m を与えられた整数とし、一般項が k ⟨ m ⟩ = { k ( k − 1 ) ( k − 2 ) ⋯ ( k − m + 1 ) ( m > 0 ) 1 ( m = 0 ) 1 / k ( k + 1 ) ( k + 2 ) ⋯ ( k + | m | − 1 ) ( m < 0 ) {\displaystyle k^{\langle m\rangle }={\begin{cases}k(k-1)(k-2)\cdots (k-m+1)&(m>0)\\1&(m=0)\\1/k(k+1)(k+2)\cdots (k+|m|-1)&(m<0)\end{cases}}} で定義される数列 (k⟨m⟩)k を考えれば Δ k ⟨ m ⟩ Δ k = m k ⟨ m − 1 ⟩ {\displaystyle {\frac {\;\Delta k^{\langle m\rangle }\!\!\!\!\!}{\,\Delta k}}=mk^{\langle m-1\rangle }} が成り立つことは簡単な計算でわかる(分母は Δk ≡ 1 だから書いても書かなくても同じだが)。逆に m ≠ −1 のとき k = 1, 2, ..., n − 1 について加えると ∑ k = 1 n − 1 k ⟨ m ⟩ = 1 m + 1 ( n ⟨ m + 1 ⟩ − 1 ⟨ m + 1 ⟩ ) {\displaystyle \sum _{k=1}^{n-1}k^{\langle m\rangle }={\frac {1}{m+1}}(n^{\langle m+1\rangle }-1^{\langle m+1\rangle })} を得る。特に m ≥ 1 のとき k⟨m⟩ を展開することにより、冪和 Si(n) に関する関係式 ( n + 1 ) ⟨ m + 1 ⟩ m + 1 = S m ( n ) − m ( m − 1 ) 2 S m − 1 ( n ) + ⋯ + ( − 1 ) m − 1 ( m − 1 ) ! S 1 ( n ) {\displaystyle {\frac {(n+1)^{\langle m+1\rangle }}{m+1}}=S_{m}(n)-{\frac {m(m-1)}{2}}S_{m-1}(n)+\cdots +(-1)^{m-1}(m-1)!S_{1}(n)} が得られる。 「ファウルハーバーの公式」も参照
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