目玉おやじ 人物像

目玉おやじ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/21 04:06 UTC 版)

人物像

水木しげるロードに設置された目玉おやじのブロンズ像

鬼太郎父親眼球に体が付いた姿。身長9.9cm、体重33.25gと手のひらに載るサイズだが、非常に博学で知識面で鬼太郎たちをサポートすることが多い。原作アニメと共に鬼太郎同様、ほぼ全話に登場している。アニメでは第1・3作の幽霊電車の回のみ例外的に未登場だった(一部の回では登場しても出番が全くない場合がある)。

かつて地上を支配していた種族である幽霊族の生き残りであり、鬼太郎誕生以前は、不治の病である「溶ける病」を患い、ミイラ男のような風貌をしていた(罹病前の風貌が原作において描写された事はなく、アニメ第6作14話にて初めて描写された(後述))。身籠った妻とひっそり暮らしていたが、生活費を得るために売った血液が患者を幽霊化させる事件を引き起こし、調査に訪れた血液銀行の銀行員・水木に身の上を打ち明け、会社への報告の引き伸ばしを願い出た後に、妻ともども病死。鬼太郎を案じて、自らの遺体の左の眼球に魂を宿らせて生き返り、眼球に小さな身体と手足が生えた現在の姿に変わったため、「目玉おやじ」と呼ばれるようになる。なお、実写映画版では目玉おやじとなった時期が江戸時代と変更された(原作では戦後[要曖昧さ回避]。但し、久しぶりに会った相手に「数百年ぶりだな、目玉」と姿の変化に驚く様子もなく言われる場面もある)。仲間妖怪の多くが鬼太郎の誕生以前から旧知の仲だが、みんな総じて「目玉おやじ」や「おやじ殿(砂かけ婆)」「おやじさん(猫娘)」等としか呼ばず、自身も本編で一度も名乗らないため[注釈 1]、本名は不明である。

趣味は茶碗風呂。自宅で浴槽として使われる茶碗は鬼太郎の食器と兼用である(第4作1話では長湯しすぎて鬼太郎に「そろそろご飯食べたい」と文句を言われている)。アニメ第3作以降は茶碗以外の容器や浸かる湯のバリエーションが増え[注釈 2]、温泉に浸かることや人の家にお邪魔したときに飲むように出されたお茶に浸かることもある(第4作4話など)。茶碗風呂に入る理由は、きわめて清潔好き・を隠すためなど、いくつか語っている[注釈 3]

鬼太郎誕生まで世界中を放浪していたため、世界中の妖怪について博学。ほぼ全ての妖怪の種類、性格を知っている。閻魔大王とも旧知の仲であり、親子で大王直々に依頼をされる事もある(第4作91話「夜の怪!百鬼夜行の鬼」など)。他にインカの旧文明人や、悪魔などにも知り合いがいる。なお、目玉おやじに限らない事だが、普段どのように罰を受けていない妖怪が地獄と現世を行き来しているのかはエピソードによってまちまちである(渡歩可能な秘密の地下道―アニメ第6作では黄泉比良坂―、死人の魂、霊界列車など)。

鬼太郎同様に生命力が高く、踏み潰されて紙のように薄くなっても、目玉部分を潰されても、天ぷらにされて大やけどをしても、しばらくすると元通りになる。原作『鬼太郎国盗り物語』では鬼太郎共々、飲まず食わずで10年間もの間活動できることが明らかになっている[1]。 原作『妖怪獣』で右眼を潰された鬼太郎の左眼に入り、眼の代わりを務めたり、原作『雨ふり天狗』でも指鉄砲で失明した雨ふり天狗の右眼に移植されるなど、眼球としての機能もそのまま残している(彼の四肢胴体は、もともと視神経である)。 まぶた(「黒目部を覆う蓋」のようなもの)があり、水木しげるは「人と同じで眠いときや考え事で目をつぶる」とし、睡眠時にまぶたを閉じているシーンがある[2]

は非常に小さいが、唇を突き出したような形で眼球の前下方にあり、飛行機の車輪のように出したり引っ込めたりできる[3]。ただし、原作やアニメでは曖昧(『目目連』の原作およびアニメ第2、3作では、黒目の中央から息を吹きかけるシーンがある)にされている。アニメ第4作までは食事シーンの描写が滅多にない[注釈 4]が、好物はサクランボや梅で、朝食には朝露を飲む[4]。アニメ5作では食事シーンは頻繁に見られ、「魚の目玉のスープ」や「高木洋菓子屋のシュークリーム」が好物で、飲食中のシーンも描かれた(黒眼の下あたりが口のような描写。頬=黒目の両斜め下や腹を膨らます演出がなされる)。また同5作目ではくしゃみをして鼻水(または)を噴き出すシーンもあるので気管支も持っていると考えられる。

基本的に裸だが、浴衣白衣などを着ることもある。また、イギリスの小鬼(アニメ第5作では白山坊)から貰ったシルクハットや、サンタクロースから貰ったこの世にただ一つしかない靴など衣類も所有している[5]。なお、アニメ第5作の第4エンディング「夏の魔物」の映像では、芸術家スタイル(カラフルな上着を着てアフロヘアーのかつらと赤ベレー帽を被り、絵筆を担いだ姿)で登場した。

目玉親父を用いた商品もあり、新選組メイドクリオネなどに扮した日本各地のご当地商品としてキーホルダーストラップなどに採用されたり、「目玉おやじPCカメラ」(株式会社ゲート)が発売されている。ニコンの銀塩コンパクトカメラ「ニコンミニ」ことAF600のイメージキャラクターとして起用されたこともある。また他のキャラクターと共に缶ジュースにもなった(「目玉のおやじ汁」や「ねずみ男汁」株式会社エイコム。この場合の「汁」はドリンクと読む)[6]。また、コンタクトレンズのイメージキャラクター(セイコーコンタクトレンズ株式会社)に起用されたり、目薬の商品名(「目玉おやじ」の目薬:寺島薬局)ともなった。 また、1994年4月21日に放送された「TMNのオールナイトニッポン・終了スペシャル」(ニッポン放送)では、木根尚登への質問役として出演した。

アニメ版のエンドロール表記が、第1作、第2作では「父親」、第3作では「目玉」、第4作以降は「目玉おやじ」となっており(第4作劇場版『妖怪特急! まぼろしの汽車』では「目玉のおやじ」と表記)、鬼太郎からの呼称は原作では「おとうさん」(貸本初期では「おとっつあん」)、映像作品や(水木以外による)派生漫画では「父さん」。仲間妖怪からは「目玉」「おやじ」、若い妖怪からは「おやじさん」(猫娘からも同様だが、彼女は将来の義父の意味合いで「お父さん」「お父様」と呼ぶことがある)、人間の子供からは「目玉のおやじさん」と呼ばれる。また、『地上絵の秘密』では「世界の目玉」なる異名で海外の知り合いから呼ばれ、『大ボラ鬼太郎』で「解決黒頭巾」と名乗って開業したねずみ男に協力する際は「黒頭巾の顧問・不思議博士」と名乗った。 「水木しげるの古代出雲」など、水木が晩年に描いた史伝や伝説、民話、神話などを扱った作品にも登場し、作中で作者の水木と共に解説役を務めている。


注釈

  1. ^ 「わしは鬼太郎の父親じゃ」「わしは目玉おやじじゃ」などとしか自称しない。
  2. ^ ワンカップ風呂、湯飲み風呂、皿風呂、鍋風呂、カキ氷風呂、イチゴパックを使った炭酸水プール、砂風呂、泡風呂、風呂、甘酒風呂、柚子風呂、紅茶風呂(お気に入りは猫娘が持ってきたアールグレイ)、コーヒー風呂、トウモロコシ茶風呂、玄米茶風呂、ほうじ茶風呂などがある。
  3. ^ 『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』では生前の姿で温泉に浸かる場面もあり、この頃から風呂好きだったと描写されている。
  4. ^ 担当声優の田の中は「食べたところを見たことがない、一度たくさん食べてるところを見たい」と語っており、第5作で叶っている。
  5. ^ 原作初出時で次回に当たる『赤舌』終盤で現れ「わしが妖怪病院に行っている間に…」との台詞から、この時まで入院していた模様。
  6. ^ 目玉おやじの話癖で長引きそうなので、この時はねこ娘が途中で切り上げさせた。
  7. ^ 避難しつつ協力した枕返しは自分の身を守ることに精一杯の状態であったため、その姿を確認したかは定かになっていない。
  8. ^ 本作では鬼太郎も目玉おやじの元の体について、どんな容姿だったかは14話まで聞かされておらず、仲間の妖怪たちは鬼太郎が生まれる何百年も前から目玉おやじと旧知の仲なので、砂かけばばあをはじめ大半の者が当時の姿を知っているが、鬼太郎と同世代のねこ娘は、単に見たことが無いだけでなく目玉おやじに昔は元々の体が存在していた事すら14話で聞かされるまで知らなかった。
  9. ^ それでも現代の放送倫理を考慮し、原作よりは抑えた表現になっている。例、貸本版「あいつは二回も脳まくえんやってんだから」→マガジン版「あいつぁ頭がおかしいんだ」→墓場アニメ版「あいつぁおつむがモケケのケだ」等。
  10. ^ 島田は子泣きじじいとぬりかべの二役を改めて担当することとなった。
  11. ^ クレジットは「田の中勇」と表記され、大竹の名前はゲストに表記されている。

出典

  1. ^ 水木しげる『鬼太郎国盗り物語(1)』 角川書店角川文庫〉 2007年、119頁。ISBN 4-041-92920-2
  2. ^ フジテレビトリビア普及委員会『トリビアの泉〜へぇの本〜 1』講談社、2003年。 
  3. ^ 小学館『鬼太郎大百科』で水木しげるが描き下ろした体内図解イラストや鬼太郎茶屋にあるキャラクター紹介パネルより。
  4. ^ 水木しげる 『水木しげる 鬼太郎大百科』 小学館、2004年、58頁。ISBN 4-092-20322-5
  5. ^ 『水木しげる 鬼太郎大百科』 36頁。
  6. ^ ライブドアニュース、2005年5月27日0時4分「ファンキー通信」”. 2016年10月26日閲覧。
  7. ^ 水木しげる 『電子書籍番 鬼太郎大全集 14』 水木プロダクション、94頁。
  8. ^ 『電子書籍番 鬼太郎大全集 14』 247頁。
  9. ^ 『水木しげる 鬼太郎大百科』 39頁。
  10. ^ a b c d e ゲゲゲの鬼太郎 DVD-BOX1 2007TVシリーズ SPECIAL BOOKLET 11ページ
  11. ^ a b c d e f g h i j k 田神健一・奥津圭介・中村亜津沙編 『アニメ版 ゲゲゲの鬼太郎 完全読本』 講談社、2006年、16-17頁。ISBN 4-062-13742-9
  12. ^ 第6期2話
  13. ^ アニメ6期13話
  14. ^ a b 新作「ゲゲゲの鬼太郎」“二代目”目玉おやじ役に野沢雅子 アニメ化50周年記念,デイリースポーツ,2018年1月19日
  15. ^ ゲゲゲかわら版”. 『ゲゲゲの鬼太郎』のスタッフによる公式ブログ. 東映アニメーション. 2013年8月31日閲覧。
  16. ^ 『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』ジバニャン役に黒田崇矢さん、ねずみ男役に大塚明夫さん決定! 待望の本予告映像が解禁- アニメイトタイムズ(株式会社アニメイトラボ)” (2017年10月27日). 2017年10月27日閲覧。
  17. ^ “「「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」鬼太郎の父役に関俊彦!キャスト14人発表、不穏な予告編も”. コミックナタリー (ナターシャ). (2023年9月6日). https://natalie.mu/comic/news/539793 2023年9月6日閲覧。 
  18. ^ 『アサヒグラフ別冊 美術特集 西洋編7 ルドン』、朝日新聞社






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