【Su-24】(すほーいにじゅうよん)
旧ソビエト/ロシアのスホーイ設計局で開発された戦闘攻撃機。
NATOコードはFencer(フェンサー)。
MiG-27やSu-17の後継として開発が始まり、1970年5月に原型機が初飛行した。
可変翼の採用や並列複座式のコックピットなど、外観上のデザインはF-111の影響を受けている。
しかし、電子機器は旧式なため西側のF-111やトーネードより攻撃能力は劣っている。
主翼は可変翼機構を採用し、後退角は離着陸には16度、巡航時は35度、超音速飛行や低空遷音速飛行時は69度にセットされる。
エンジンはサチュルン/リューリカ製のAL-21F-3Aターボジェットを搭載している。
武装には、固定武装にGSh-6-23 23mm機関砲を装備する他、主翼下片側4箇所と胴体下5箇所のハードポイントには対艦/対レーダーミサイルや爆弾などを搭載できる。
輸出型も開発されており、旧ソ連衛星国の他、アフリカ諸国やイラクなどの中東諸国で採用されている。
スペックデータ
乗員 | 2名 |
全長 | 22.67m(Su-24) 22.59m(Su-24MK) |
全高 | 5.92m(Su-24) 6.19m(Su-24MK) |
全幅 | 17.64m(後退角16度)/10.37m(後退角69度) |
主翼面積 | 55.2㎡(後退角16度)/51.0㎡(後退角69度) |
空虚重量 | 21,150kg(Su-24)/22,300kg(Su-24MK) |
最大離陸重量 | 39,700kg |
エンジン | サチュルン/リューリカ AL-21ターボジェット(推力75.0kN/109.8kN(A/B使用時))×2基 |
燃料搭載量 | 11,700リットル(機体内) |
最大速度 | マッハ1.35 |
フェリー航続距離 | 1,349nm(機内燃料のみ)/2,304nm(空中給油1回) |
実用上昇限度 | 17,500m |
海面上昇率 | 9,000m/min |
戦闘行動半径 | 565nm(Hi-Lo-Hi、兵装3,000kg時) 512nm(Lo-Lo-Lo、兵装2,500kg時) 174nm(Lo-Lo-Lo、兵装8,000kg時) |
固定武装 | GSh-6-23 30mm機関砲×1門 |
兵装 | 翼下に下記兵装を最大8,800kgまで搭載可能。 各種ミサイル類: R-60(AA-8「エイフィッド」)AAM R-73(AA-11「アーチャー」)AAM Kh-23(AS-7「ケリー」)AGM Kh-25ML/MR(AS-10「カレン」)AGM Kh-25MP(AS-12「ケグラー」)AGM Kh-31A/P(AS-17「クリプトン」)AGM Kh-29(AS-14「ケッジ」)AGM Kh-58(AS-11「キルター」)AGM Kh-59(AS-13「キングボルト)AGM Kh-59M(AS-18「カズー」)AGM Kh-35(AS-20「カヤック」)ASM 爆弾類: FAB-250/-500/-1000/-1500/-3000通常爆弾 KAB-500/-1500レーザー誘導爆弾 TN-1000/-1200戦術核爆弾 ロケット弾ポッド類: S-5/S-8/S-13 その他: 偵察ポッド 増槽 |
派生型
- T6-1
試作初号機。主翼はSu-15のようなダブルデルタ翼を採用していた。
- T6-2
可変翼に設計変更された試作原型機。
- Su-24"フェンサーA~C"
初期生産型。NATOコードでは形状の相違点でフェンサーA~C型と区別され、1973年に配備されたものを「フェンサーB」、1981年に配備されたものを「フェンサーC」としている。
なお、「フェンサーC」は機首プローブやエアインテイク、固定翼部前縁、垂直尾翼上端両側にレーダー警戒装置のアンテナが付けられている。
- Su-24M"フェンサーD"
近代化改修型。
前部胴体を延長し、新たにPNS-24M航法/攻撃システムを搭載したほか、機首部には地形追随レーダーが搭載され、空中給油能力も付与された。
- Su-24MK"フェンサーD"
M型の輸出型。
- Su-24MR"フェンサーE"
偵察機型。機関砲や胴体下のハードポイントを外し、機首にBKR-1側視レーダーを搭載したほか、電子偵察器材や「ジマ」赤外線監視器材、「アイスト-M」TVセンサーなど各種偵察器材を搭載している。
また、カメラにはAFA A-100斜めカメラやAFA AP-402Mパノラミック・カメラも装備可能である。
- Su-24MP"フェンサーF"
Su-24MRと並行開発された電子戦機型。
機首下面に大型のブレードアンテナが付けられ、左右エアインテイク下面にも通信妨害用アンテナを設置、胴体中心線ハードポイントにはSP5-5「ファソル」電子戦ポッドを携行する。
- Su-24M2
アップグレード型。Su-34に搭載される一部の電子機器を導入し、GPSなどを追加すると見られる。
Su-24 (航空機)
(Su-24 から転送)
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ロシア空軍のSu-24M
注釈
- ^ 飛行試験では低高度での自動飛行・爆撃時に使用される照準および航法装置・各種兵装の試験が行われており、T6-2IやT6-3Iの飛行試験でもたらされた安定性・操縦性などの評価を加えて、量産型では多くの改修が行われるとともに製造工程での簡略化が図られた。
- ^ 16度は離着陸時、35度は巡航時、69度は超音速飛行や低空遷音速時に使用され、45度では主翼に効率的な揚抗比が得られるようになり、空戦機動が向上する。
- ^ 試作型では胴体とエンジンの空気取入れ口の間の境界層制御のエア・ブリード・ランプと胴体中央部を通る多数の空気ダクトで冷却空気を取入れていたが、量産型ではこれをやめている。これにより胴体内の燃料搭載スペースが増大するとともに機体重量が軽くなっている。
出典
- ^ "Military aircraft prices." aeronautics.ru. Retrieved: 5 March 2011.
- ^ “スホーイSu-24爆撃機についての9の事実”. RUSSIA BEYOND (2015年11月29日). 2023年8月9日閲覧。
- ^ 「トルコ軍、ロシアSu24機撃墜 シリア北部に墜落か[リンク切れ]」朝日新聞(2015年11月24日)
- ^ 「露戦闘機、米駆逐艦に異常接近繰り返す 9mの超低空飛行も」AFP(2016年4月14日)2022年8月30日閲覧
- ^ [1]
- ^ 石川潤一「戦術偵察機&偵察ポッド 最新情報」『航空ファン』通巻810号(2020年6月号)文林堂 pp.55 – 60
- ^ “Airplanes - Military Aircraft - Su-24 - Historical background”. Sukhoi Company (JSC). 2014年11月14日閲覧。
- ^ “The Film Catalogue Mission "Sky"” (English). 2023年6月18日閲覧。
- 1 Su-24 (航空機)とは
- 2 Su-24 (航空機)の概要
- 3 開発
- 4 性能と特徴
- 5 運用・実戦
- 6 仕様(Su-24M)
- 7 参考文献
Su-24(Су-24)
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「Su-24 (航空機)」の記事における「Su-24(Су-24)」の解説
前期量産型。細かな改良により3種類に分類され、最初に確認された試作型のT6-7がフェンサーA、1975年に実戦配備が開始された本格的な量産型がフェンサーB、1981年より搭載されている電子機器を変更して、機首の周辺に複数のセンサーが取付けられ、エンジン空気取入れ口部、固定翼部前縁、垂直尾翼上端の両側にレーダー警戒装置のアンテナが装備された三角形の張り出しが取付けられたタイプをフェンサーCと区別される。
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Su-24
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「Su-19 (航空機)」の記事における「Su-24」の解説
1970年代後半にSu-24が西側に察知された時に、Su-17の次の飛行機だからSu-19だろうと推測されたことがあった。
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Su-24
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「凱歌の号砲 エアランドフォース」の記事における「Su-24」の解説
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