可変翼とは? わかりやすく解説

可変翼

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/03 06:53 UTC 版)

可変翼(かへんよく)とは、飛行機において、その翼を、航空力学的な特性から見て翼平面形が異なるタイプに属すると言えるほどに飛行中に変形させられる[注 1]機構を持った翼のことで、特に主翼について言う[注 2]。後退角を変化させるものが多いが、翼端を折り下げてアスペクト比の変化を狙ったものもある。可変翼を有する機を可変翼機という。英語ではswing-wingなどという他、直訳すると「可変形状翼」となるVariable Geometry wingという表現もあり、VG翼・VG翼機などともいう。可変翼機は低速から高速まで、低い空気抵抗と適切な揚力を得ることができるが、機構が複雑であることによってその効果以上に設計から製造、メンテナンスに至るまで高価になることから、実験機以外で実運用に供されたモデルは、ほぼ軍用機のみである[注 3]


注釈

  1. ^ 操縦舵面や全遊動翼、またフラップやスポイラー等の、軽微な変形と特性の一時的な変化を目的としたものは含まない。
  2. ^ 主翼以外の例として、Tu-144 (航空機)のカナードがあるが、同機(の引き込み式カナード)について可変翼(機)とする言及はあまり見られない。
  3. ^ 例外として、ビーチクラフト スターシップがある。

出典

  1. ^ Tucker, Vance A. (1987). “Gliding Birds: The Effect of Variable Wing Span”. J. Exp. Biol. (Company of Biologists) 133: pp. 33-58. http://jeb.biologists.org/cgi/content/abstract/133/1/33. 


「可変翼」の続きの解説一覧

可変翼

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 01:13 UTC 版)

中型ゾイド」の記事における「可変翼」の解説

背部追加された装備

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可変翼

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 01:36 UTC 版)

F-14 (戦闘機)」の記事における「可変翼」の解説

翼を68°に後退させたF-14A 主翼大きく開いているF-14B F-14の大きな特徴一つとして飛行中速度によって主翼後退角変え翼幅翼面積・翼の平面形を変化させて、常に最適な揚抗比主翼形状得られる可変翼を装備しており、可変翼は後退角20度から68度の範囲で動く。 可変翼はF-111でも採用していたが、F-111では巡航飛行時に操縦士手動角度変更するのに対し、F-14ではマッハ・プログラム・コンピュータにより角度自動制御を可能としている。この自動制御速度対応した最適化だけに留まらず加速時には後退角大きくして抵抗減らしてマッハ2.34の最大速度飛行することができ、旋回時には後退角小さく翼幅広げて旋回半径小さくしたりもする。F-4(J型)との比較では、加速性能45%、旋回半径40%、旋回率で64%向上している。この値は推力重量比翼面荷重比較からの計算値を上回っており、その分可変後退翼による性能向上といえる後退モード切替スイッチスロットルレバー側面にあり、自動AUTOモードにしておくと、マッハ後退プログラムMSP:Mach Sweep Programmer)と呼ばれる自動可変システムにより、飛行速度気圧高度変化検知して、主翼後退角を常に最適な位置設定することが可能であり、マッハ0.4までの20度から線形後退し14,000ft以下の低空では0.6付近で約25度となり、そこから変化急になり1.0付近68度となる。20,000ft以上では0.7付近で約22度となり、1.0付近68度となる。また、爆撃BOMBモードでは、主翼後退角55度に設定され正確な爆撃可能にしている。なお、MSP故障した際には、最大制限の下で手動により自由に後退角変更するともできるまた、非常用レバー使用することにより、20度、55度、68度、75度に設定ができる。ただし、75度の後退角では主翼尾翼重なる事になり、この状態で飛行した場合主翼尾翼干渉悪影響もたらすため、これを使えるのは降着装置荷重かかっている時のみに限られている。そのため75度は後退角設定ではなく、他機種主翼折りたたみ機構に相当する空母上で収納スペース節約し取扱い容易にするため」のモードである。 可変翼の主翼機体胴体との結合には、胴体中央部に、チタン真空中電子ビーム溶接使用して組立てられた、中央部タンク主翼取付け部分がある主翼中央部とで構成されている箱型構造部があり、主翼取付け部分ピボット軸(旋回軸)にボール・ベアリングを介して取付けられており、箱型構造部に取付けられ油圧スクリュー・ジャッキにより、主翼後縁一端押した引いたりすることにより主翼可動させる。チタン採用した理由には、強度確保重量軽減を図るためであり、F-111採用されていた鋼製ピボット軸において、ひび割れ多発していたためである。しかし、素材工作技術両面では製造コスト上昇要因となった可変翼機速度に応じて最適揚抗比を得ることができるものの、主翼後退による空力中心移動可動機構複雑さや、可動部品、特に軸の強度確保を必要とするなどの面から、工数など諸コストの上昇を招く事が問題視された。また、重量増加エネルギー機動性的には大きな問題であり、可変翼による性能向上効果相殺される事となる。F-14に若干遅れて欧州機のトーネード戦闘機にも採用されているが、それ以降採用途絶えている。 当初F-14ではもう一つの可変翼として主翼付け根のグローブベーンを展開するようになっていた。これはマッハ1.4以上になると主翼付け根前縁から展開される小翼で、超音速飛行揚力中心後退するのを打ち消す狙いがあった。マッハ1.0-1.4では手動操作でき、また、空戦モードにしておくと空戦フラップ連動して迎角マッハ数に応じて作動したさらには後退角55度の爆撃モードでは全開となった。しかし、飛行特性にほとんど影響与えないことがわかり、A型機の運用当時では無効化され、B型およびD型機では搭載兵器との干渉をなくすために廃止されている。 戦闘爆撃機F-111には可変翼部分にもパイロン設けられ後退角変化に応じてパイロン一定方向に向くように連動したが、本機には可変翼部分にはパイロン設けられなかった。これによって機構F-111比べ簡易化したものの、後に本機攻撃爆撃能力付加する際に、大きな欠点となった

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可変翼

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 03:25 UTC 版)

F-111 (航空機)」の記事における「可変翼」の解説

前述通り実用機として初の可変翼を採用している。これはCASコントロール増強システム)の導入によって可能になった。可変翼は主翼後退角変える事によって飛行特性まで変わってしまうため、F-111以前試作された航空機においては、操縦性著し問題があった。 CASによってコンピューターによる補正加える事により、安定した操縦可能にしている。F-111主翼16度 - 72.5度(ただし前縁後退角、以下同)まで、速度に応じて任意に可動させることができる。主翼下には片側4箇所ハードポイント重量強化点、パイロン取り付けられる場所)があり、各種兵装搭載が可能であるが外側2箇所ずつのハードポイント主翼固定されており後退角26度以上でパイロンごと切り離す必要があったため実際に使用しづらかった。内側2つずつのハードポイント後退角に応じてパイロン角度変化するようになっていたが、一番内側ハードポイント後退角54度以上で胴体接触してしまうた後退角それ以上にする場合はやはりパイロンごと切り離す必要がある。つまりすべての角度において使用可能なハードポイント内側か2つ目のみであり実際に使用する場合もそこを中心に使用されていた。これらの理由から主翼後退角可動させるレバー26度と54度で一旦止まるようになっているまた、後退角26度以上でフラップ使用できなくなり45度上でロール制御使用するスポイラー内側ロックされ47度以上で外側ロックされる。そして、それ以上後退角では、ロール制御水平尾翼が行うことになるため、これらの点を境に飛行性能著しく変わる。しかし、ハードポイント場合違いレバー止まらない上、上述CAS導入によりパイロット飛行性能変化気づかない事になる。そのために後退角45度以上にしたことにパイロットが気づかず墜落しそうになったという事例がある。これは危険なマンマシンインタフェース(あるいはユーザインタフェースデザイン一例とされる

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