ディーエヌエー‐しゅうふく〔‐シウフク〕【DNA修復】
DNA修復
英訳・(英)同義/類義語:repair, DNA repair
化学物質、放射線などによりDNAの塩基が変化したり鎖が切れたりする損傷部位を発見し、修復するための機構。rec遺伝子群が関与する。
DNAの修復
遺伝や核酸に関する反応や現象など: | Cot1/2値 CpG島 C値パラドックス DNAの修復 DNAの化学構造 DNAの基本転写因子 DNAの校正機構 |
DNA修復
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/27 05:14 UTC 版)
DNA修復(DNAしゅうふく、英: DNA repair)とは、生物細胞において行われている、様々な原因で発生するDNA分子の損傷を修復するプロセスのことである。DNA分子の損傷は、細胞の持つ遺伝情報の変化あるいは損失をもたらすだけでなく、その構造を劇的に変化させることでそこにコード化されている遺伝情報の読み取りに重大な影響を与えることがあり、DNA修復は細胞が生存しつづけるために必要な、重要なプロセスである。生物細胞にはDNA修復を行う機構が備わっており、これらをDNA修復機構、あるいはDNA修復系と呼ぶ。
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DNA修復
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/19 22:22 UTC 版)
Chk1はDNA修復機構を媒介することが示されており、PCNA(英語版)、FANCE(英語版)、Rad51、TLK(tousled like kinase)などの修復因子を活性化する。Chk1はDNA複製時と修復時に複製フォークの安定化を促進するが、その基礎となる相互作用の解明にはさらなる研究が必要である。
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DNA修復
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/11 14:41 UTC 版)
「TAR DNA結合タンパク質43」の記事における「DNA修復」の解説
TDP-43タンパク質は、非相同末端結合 (NHEJ) 酵素経路の鍵となる要素であり、多能性幹細胞から分化した運動神経のDNA二本鎖切断 (DSBs)を修復する。TDP-43は迅速に切断部位に集まり、XRCC4DNAリガーゼを集めるための足場として働く。TDP-43が枯渇したヒト多能性幹細胞分化運動神経では、ALS患者の脊髄検体において時々見られるのと同様に、有意なDSBの累積とNHEJレベルの低下がみられた。
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DNA修復
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A型ラミンは、非相同末端結合と相同組換えの過程においてDNA二本鎖切断修復に重要な役割を果たすタンパク質のレベルを維持することで、遺伝的安定性を促進する。ラミンA (LMNA遺伝子) の変異は、劇的な早老の症状を示すハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群を引き起こす。プレラミンAの成熟に欠陥があるマウスの細胞では、DNA損傷と染色体異常が増加し、DNA損傷試薬に対する感受性が高くなる。A型ラミンに欠陥がある時にDNA損傷を適切に修復できないことは、早老の一部の側面の原因となっていると考えられる。
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DNA修復
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 15:49 UTC 版)
KAT5はDNA修復に重要な酵素であり、ATMキナーゼの調節を介して正常な細胞機能を回復させる。ATMはDNA修復に関与するタンパク質をリン酸化して活性化する。しかし、ATMが機能するためには、KAT5によるアセチル化が必要である。KAT5の欠損によってATMのプロテインキナーゼ活性は抑制され、細胞のDNA修復能力は低下する。 KAT5はDNA修復のより後の段階においても、TRRAP(英語版)のコファクターとして機能する。TRRAPは二本鎖DNAの損傷部位近傍のクロマチンに結合し、リモデリングを促進する。KAT5はこの認識を補助する。
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DNA修復
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 02:25 UTC 版)
ヒトHeLa細胞に対するUVB照射は、トポイソメラーゼIとDNAとの間の共有結合型複合体の形成を特異的に促進する。トポイソメラーゼIは、UVB照射や他の要因によるDNA損傷を除去する過程である、ヌクレオチド除去修復に直接的に関与しているようである。
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DNA修復
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/02 07:23 UTC 版)
「ヒストンメチルトランスフェラーゼ」の記事における「DNA修復」の解説
ヒストンのリジンのメチル化は、DNA二本鎖切断の修復経路の選択に重要な役割を果たしている。例えば、H3K36のトリメチル化は相同組換え修復に必要であり、一方H4K20のジメチル化は非相同末端結合経路による修復のために53BP1(英語版)をリクルートする。
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DNA修復
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 15:58 UTC 版)
SIRT6はクロマチン結合タンパク質であり、哺乳類細胞においてDNA損傷に対する正常な塩基除去修復や二本鎖切断修復に必要とされる。Sirt6が欠乏したマウスでは、老化と関係した変性過程と重複する異常が観察される。18種の齧歯類に対する研究では、その種の寿命とSirt6酵素の効率との相関関係が示されている。 SIRT6は非相同末端結合や相同組換え過程によってDNA二本鎖切断の修復を促進する。SIRT6はクロマチンの損傷部位で修復タンパク質DNA-PKcsを安定化する。 正常なヒト線維芽細胞では、複製を行うことで複製老化へ進行するにつれて相同組換え修復の能力は低下する。しかしながら、middle-aged(PD52–53)やpre-senescent(PD60–62)状態の細胞でのSIRT6の過剰発現は、相同組換え修復を強力に刺激する。この効果はPARP1(英語版)に対するモノADPリボシル化活性に依存している。SIRT6は老化ヒト線維芽細胞での塩基除去修復もPARP1依存的に回復する。
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DNA修復
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 16:29 UTC 版)
「c-Jun N末端キナーゼ」の記事における「DNA修復」の解説
真核生物のDNAのクロマチンへのパッケージングは、DNAに基づく過程の中で、酵素を作用部位へリクルートする必要がある全ての過程にとって障壁となっている。一例として、DNA二本鎖切断の修復にはクロマチンのリモデリングが必要である。クロマチン構造の緩和はDNA損傷部位で迅速に行われるが、その最初期の段階ではJNKによるSIRT6のセリン10番残基のリン酸化が行われ、この段階は二本鎖切断の効率的な修復に必要である。SIRT6のセリン10番のリン酸化はSIRT6の損傷部位への移動を促進し、SIRT6はPARP1を損傷部位へリクルートしてモノADPリボシル化する。PARP1の損傷部位への蓄積は損傷後1.6秒以内に最大蓄積量の半量に達する。PARP1による反応産物であるポリADPリボース鎖にはクロマチンリモデリング因子であるALC1が迅速に結合し、おそらくALC1の作用によって10秒以内にクロマチンの緩和は最大値の半値に達する。その結果DNA修復酵素MRE11のリクルートが可能となり、13秒以内にDNA修復が開始される。 転写共役ヌクレオチド除去修復(TC-NER)の過程におけるDNAの紫外線反応産物の除去は、JNKによるDGCR8(英語版)のセリン153番のリン酸化に依存している。通常DGCR8はmiRNAの生合成に機能していることが知られているが、DGCR8依存的な光反応産物の除去に際してmiRNA生成活性は必要ではない。ヌクレオチド除去修復は過酸化水素によるDNAの酸化損傷の修復にも必要であり、DGCR8が枯渇した細胞では過酸化水素に対する感受性が高くなる。
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