多能性細胞
別名:万能細胞、多能性幹細胞
英語:pluripotent cell、pluripotent stem cell
生体の様々な組織に分化する能力(分化万能性)を潜在的に持つ細胞。具体的には、内胚葉、中胚葉、外胚葉の全てに分化可能である細胞を指す。
「多能性」や「万能性」の語は、「全能性」とは区別されて用いられている。「全能性」を持つ細胞は受精卵および胞子であり、それらの細胞は真に全ての組織に分化し、生物の個体を形成することが可能である。一方、多能性細胞は胎盤などの胚体外組織に分化することができないことから、単独で個体となる能力(個体構築能)は持っていない。
動物の発生初期には、胚の一部の細胞が多能性を持っており、それを取り出して培養した細胞は「胚性幹細胞(ES細胞)」として知られている。また、分化を終えて成熟した体細胞から、遺伝子導入などによって多能性細胞を人工的に創製することができることも明らかにされており、その細胞は「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」と命名されている。
2014年1月の「Nature」誌の論文で、特定の外的刺激により体細胞が初期化され、「刺激惹起性多能性獲得細胞(STAP細胞)」という多能性細胞になることが発表された。それと同時に、STAP細胞が胎盤や卵黄膜などの胚体外組織にも分化可能だとした別の論文も「Nature」誌上で発表され、STAP細胞が全能性を持つ可能性も示唆されたが、2014年3月現在、それらの発表内容の真偽については疑問を呈する意見もある。
関連サイト:
Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency - Nature
たのうせい‐かんさいぼう〔‐カンサイバウ〕【多能性幹細胞】
読み方:たのうせいかんさいぼう
⇒万能細胞
幹細胞
(多能性幹細胞 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/20 16:37 UTC 版)
幹細胞(かんさいぼう、stem cell)は、分裂して自分と同じ細胞を作る(Self-renewal)能力(自己複製能)と、別の種類の細胞に分化する能力を持ち、際限なく増殖できる細胞と定義されている[1]。発生における細胞系譜の幹 (stem) になることから名付けられた。幹細胞から生じた二つの娘細胞のうち、少なくとも一方が同じ幹細胞でありつづけることによって分化細胞を供給することができる。この点で分化した細胞と異なっており、発生の過程や組織・器官の維持において細胞を供給する役割を担っている。
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- ^ a b Alberts, Bruce; Johnson, Alexander; Lewis, Julian; Raff, Martin; Roberts, Keith; Walter, Peter、「専門化した組織、幹細胞と組織の再生」 『細胞の分子生物学』 (5th版) ニュートンプレス、2010年。
- ^ a b Scott F. Gilbert 『ギルバート発生生物学』、阿形清和、高橋淑子 メディカル・サイエンス・インターナショナル、2015年。ISBN 978-4-89592-805-2。
- ^ 岩波の生物学辞典第五版では、「(発生の)多能性」の訳語が「Pluripotency」であるとされている。
- ^ “ライフサイエンス辞書オンラインサービス”. 2014年2月28日閲覧。
- ^ Jukes, J; Moth, S; Post, J; van Blitterswijk, C; Karperien, M; de Boer, J (2008), “Stem cells”, Tissue Engineering (1st ed.), Academic Press, pp. 3, ISBN 978-0-12-370869-4
- ^ “学術用語の日本語と英語の対応”. 2014年2月28日閲覧。
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- ^ Lee CM (2016-12). “Fifty years of research and development of cosmeceuticals: a contemporary review”. Journal of cosmetic dermatology 15 (4): 527–539. doi:10.1111/jocd.12261. PMID 27496663.
- ^ Lee, Hee Jung; Lee, Eo Gin; Kang, Sangjin; et al (2014). “Efficacy of Microneedling Plus Human Stem Cell Conditioned Medium for Skin Rejuvenation: A Randomized, Controlled, Blinded Split-Face Study”. Annals of Dermatology 26 (5): 584. doi:10.5021/ad.2014.26.5.584. PMC: 4198585. PMID 25324650 .
- ^ Prakoeswa, Cita Rosita Sigit; Pratiwi, Febrina Dewi; Herwanto, Nanny; et al (2018). “The effects of amniotic membrane stem cell-conditioned medium on photoaging”. Journal of Dermatological Treatment 30 (5): 478–482. doi:10.1080/09546634.2018.1530438. PMID 30265171.
「多能性幹細胞」の例文・使い方・用例・文例
多能性幹細胞と同じ種類の言葉
幹細胞に関連する言葉 | 間葉系幹細胞(かんようけいかんさいぼう) 末梢血幹細胞(まっしょうけつかんさいぼう) 造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう) がん幹細胞 多能性幹細胞(たのうせいかんさいぼう) |
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