被曝
放射線被曝
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 00:13 UTC 版)
「コンピュータ断層撮影」の記事における「放射線被曝」の解説
医用画像における実効線量対象臓器検査実効線量(大人)環境放射線の等価時間頭部CT 単純CT 2 mSv 8カ月 造影剤を使用 4 mSv 16カ月 胸部 胸部CT 7 mSv 2年 肺がん検診のための胸部CT 1.5 mSv 6カ月 胸部単純X線撮影 0.1 mSv 10日 心臓 冠状動脈CT血管造影 12 mSv 4年 冠状動脈CT、カルシウム走査 3 mSv 1年 腹部 腹部・骨盤CT 10 mSv 3年 腹部・骨盤CT、低線量プロトコル 3 mSv 1年 腹部・骨盤CT、造影剤あり 20 mSv 7年 CT結腸検査 6 mSv 2年 静脈内腎盂造影 3 mSv 1年 上部消化管造影 6 mSv 2年 下部消化管造影 8 mSv 3年 脊椎 脊椎単純X線撮影 1.5 mSv 6カ月 脊椎CT 6 mSv 2年 四肢 四肢単純X線撮影 0.001 mSv 3時間 下肢CT血管造影 0.3 - 1.6 mSv 5週間 - 6カ月 歯科X線撮影 0.005 mSv 1日 骨密度測定(DEXA法) 0.001 mSv 3時間 PET-CT 25 mSv 8年 マンモグラフィー 0.4 mSv 7週間 CTによる被曝線量は各種放射線検査のうちで、多い方に属する。被曝量は検査部位や検査方法、機器の性能や設定によって異なるが、検査によっては1回で数十mSv - 100mSvを超えるX線被曝を受けることもある。ただし血管撮影をはじめとするX線透視下に行う各種手技(IVR)に比較すればCTの被曝量は総じて少なく、また放射線治療目的で使用される線量と比較すると、数十 - 数百分の1にとどまる。一般的に、放射線による健康被害のうち、確定的影響(ある閾値を超えれば誰にでも起き、逆にある閾値未満では決して起こらない影響)とされる急性期の放射線障害がCTで起こる可能性は皆無である(つまり白血球減少・脱毛・吐き気などが数週間のうちに起こる可能性はない)。CTで問題となるのは、数か月から数十年後に初めて顕在化してくる発ガンリスクの増加、あるいは子孫への遺伝的影響である。これらは確率的影響と呼ばれ、どんなに少量の被曝であってもリスクはゼロにはならず、少量の被曝なりに少量のリスクが存在するものと“仮定”されている(直線しきい値無し仮説)。従って放射線検査は必要最小限のみ行い無駄な被曝をしないようとどめることが原則である。 CT被曝による具体的な健康被害を統計的に見積もることは難しい。最低でも数年にわたる追跡が必要になるし、CTを受ける人は通常既に癌であるなど何らかの症状がある。健康な成人をCTを施行する/しない群に分けて追跡するのは倫理的問題もあり、またCTを施行するほど無症状の早期悪性腫瘍は余分に見つかるので、見かけ上の癌発生率は高まる。 ベリントンとダービーはイギリス、アメリカ合衆国、日本など14か国の発癌の0.6%から3.2%がCTなど診断用放射線によるものと評価している。しかしこれらは日本の原子爆弾被爆者追跡結果との対照で推定されていることや、直線しきい値無し仮説を採用しているため、これらに依拠した評価に疑問を呈する声もあり、専門家の間でも意見が分かれている。また、特に若年者で放射線感受性の高い部位(生殖器や乳房など)の撮影を繰り返す場合は影響を受けやすい。 なお妊婦の場合は発癌以外に胎児奇形発生が問題となりうるが、国際放射線防護委員会は100ミリGy(=100ミリSv)以下の胎児被曝では統計上有意となる奇形増加がないと結論づけていて、骨盤部を直接CTで撮影した場合でも、胎児がこの量の被曝を受けることはまずないとされている。
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放射線被曝
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 23:37 UTC 版)
詳細は「被曝」を参照 放射性物質が発見されたときには、放射線被曝が人体にどのような損傷を与えるかが知られていなかったために、キュリー夫妻のような初期の研究者は放射線障害に苦しんだり、白血病などで健康を害することが多々あった。 放射線のうち、アルファ線とベータ線に関しては特別な技術を用いなくても容易に遮蔽することができるが、ガンマ線、X線、中性子線は物質を透過する能力が高いため、できるだけ生態系に影響を与えない配慮が求められている。その具体的な方法は、放射線が十分に減衰するだけの間隔と遮蔽を取ることである。 放射性物質を体内に取り込んでしまった場合には間隔と遮蔽を取ることが不可能なので、内部被曝はすべての放射線が影響を及ぼす。また体内に取り込まれた放射性物質は元素の種類により、特定の組織・臓器に沈着する。例えばセシウム137は筋肉・全身に、ヨウ素131は甲状腺に、ストロンチウム90は骨に沈着する。プルトニウム238、239および240が放出するアルファ線は放射線荷重係数が大きく人体への影響も甚大である。 原子力発電所の周辺公衆の被曝基準(1mSv)は、具体的には「発電用軽水型原子炉施設の安全評価に関する審査指針」(平成2年8月30日原子力安全委員会決定)に定められており、これは「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」(昭和53年通商産業省令第77号)第2条第9号「核燃料物質及び核燃料物質によって汚染された物による放射線の被ばく管理並びに放射性廃棄物の廃棄に関する説明書」に示された評価について、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(昭和32年法律第166号)第23条第1項に基づく経済産業大臣への許可申請及び第24条第2項の原子力安全委員会の聴取において審査される。 また、放射壊変に伴ってニュートリノなどの素粒子が放射されるが、これらは物質をほぼ無限に透過する性質があるものの物質に対しての影響が実質的にないため、この種の問題の際は無視してよいものとされる。
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