大気圏突入
別名:大気圏再突入
宇宙空間から天体の大気圏へと進入すること。単に「大気圏突入」という場合は地球の大気圏への突入を指すことが多い。
地上から打ち上げた宇宙船や探査機が、地球の大気圏内に突入する場合、学術的には「大気圏再突入」の語が用いられる。なお、宇宙の彼方から飛来する隕石などに対しては「再突入」の表現は用いられない。
地球に向かって大気圏突入を行う宇宙船や探査機は、音速の数十倍に上る速度で大気と衝突する。そのとき、大気が側面などに逃れられず、前方に押しつぶされ、熱を持つようになる(断熱圧縮)。
大気圏突入時の断熱圧縮による熱は千度を超え、十分な耐熱処理が施されていなければ、大抵のものは燃え尽きる。人工衛星や探査機の場合はスペースデブリと化すことを避ける目的で意図的に大気圏に落とされる場合がある。小惑星探査機「はやぶさ」の機体などはこの目的で大気圏へ突入を行っている。
関連サイト:
地球の大気圏(たいきけん)に突入した宇宙船は高温になりますが、この熱はどうして発生するのですか - JAXA宇宙ステーションキッズ
大気圏再突入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/18 06:32 UTC 版)
大気圏再突入(たいきけんさいとつにゅう、英語: atmospheric re-entry)とは、宇宙船や大陸間弾道ミサイルなどの物体が、天体の大気圏から宇宙空間に出てから大気圏に再度進入すること。単に再突入(さいとつにゅう、英語: re-entry)ともいう。
注釈
出典
- ^ 柴田実 (2003年2月1日). “「再」はふたたびか”. ことばウラ・オモテ. NHK放送文化研究所. 2021年5月9日閲覧。
- ^ a b JAXA. “「はやぶさ」とは 再突入カプセルと空力加熱”. 2016年1月31日閲覧。
- ^ “地球の大気圏に突入した宇宙船は、たいへん厳しい熱に曝されます。この熱はどうして発生するのでしょうか | JAXA 有人宇宙技術部門”. humans-in-space.jaxa.jp. 2024年3月18日閲覧。
- ^ サターンの燃え殻 大西洋上に落下『中国新聞』昭和50年1月13日朝刊15面
- ^ “空と宇宙の境目はどこですか?”. ファン!ファン!JAXA!. 2024年2月19日閲覧。 “NASAではスペースシャトルが地球帰還時に高度を下げてきて高度120kmに達すると大気圏再突入(Entry Interface: EI)と呼んでいます。これは、大気による機体の加熱が始まるあたりです。”
- ^ 膨張型大気圏再突入実験装置(IRVE)NASA
- ^ '新型の大気圏再突入実験装置を打ち上げ'(sorae.jp)
- ^ “「こうのとり」7号機(HTV7)ミッション”. ISAS/JAXA (2018年11月11日). 2018年11月12日閲覧。
- ^ 塚本直樹 (2019年6月14日). “MOMO4号機は宇宙で紙飛行機を飛ばす クラウドファンディング開始”. sorae.jp 2019年6月17日閲覧。
- ^ “「傘」開き大気圏突入=小型衛星の実験成功-東大など”. 時事通信 (2017年6月23日). 2017年6月24日閲覧。[リンク切れ]
- 1 大気圏再突入とは
- 2 大気圏再突入の概要
- 3 人工衛星
- 4 無人宇宙探査機
- 5 各国
- 6 フィクション
大気圏再突入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/07 08:24 UTC 版)
スカイラブの落下は国際的なメディアの関心事となり、Tシャツや帽子が売られ落下の時間や場所が賭けの対象となり、毎晩のニュース番組で取り上げられた。サンフランシスコ・エグザミナー紙は同社のオフィスに最初にスカイラブの破片を持ってきた者に1万ドルの賞金を出すと申し出、ライバル社のサンフランシスコ・クロニクルは同紙の購読者で身体や財産に損害を負った者に20万ドルを出すと言った。NASAはラブの破片が人体に当たる確率は152分の1で、それを世界の人口40億人 (当時) で掛けると、誰か特定の人間を直撃する確率は6,000億分の1であると試算した。人口10万人以上の都市に落下する確率は7分の1で、残骸が落ちた国や、あるいは救助を求める者のところに向かわせるための特別チームが待機した。 私たちは、スカイラブはこの地球上のどこかにあるものと推測します。 スカイラブ管制官チャールス・S・ハーラン (Charles S Harlan) 再突入の数時間前、地上管制は人口密集地帯に落下する危険性を最小限に抑えるべくスカイラブの姿勢を調整した。管制は再突入が1979年7月11日16:37 (UTC) ごろ、ケープタウンの南南西1,300キロメートルで開始するよう狙いを定め:371、空軍は突入の状況を監視できるよう極秘の追跡システムからのデータを提供した。だがNASAの計算に4%のミスがあったため、分解は予想したほど早く始まらず、残骸は西オーストラリア州パースの南西に落下した:371。発見された場所はエスペランスとローリンナ (Rawlinna) の中間で、南緯31度から34度、東経122度から126度、バラドニア (Balladonia) の周辺半径130から150キロメートルの地点であった。住民や航空機のパイロットは大きな残骸が大気圏内で分解したとき、色とりどりの花火のような数十もの光跡が空を横切るのを目撃した。地方公共団体のシュライン・オブ・エスペランス (Shrine of Esperance) は、NASAに対し冗談で400ドルの罰金を科した。この罰金は30年間払われることはなかったが、2009年4月にアメリカの路側放送の司会者スコット・バーレイ (Scott Barley) が彼の朝の番組の視聴者から寄付を募り、NASAの代理として支払われた。 17歳のスタン・ソーントン (Stan Thornton) はエスペランスの彼の自宅で24個の破片を発見し、フィラデルフィアのあるビジネスマンがスタンと彼の両親およびガールフレンドを、エグザミナー紙の賞金を受け取るサンフランシスコまで飛行機で送り届けた:371。1979年度のミス・ユニバースは、主催者にとっては全くの偶然だったが、この数日後の7月20日にパースで開催されることになっており、大会当日には大きな残骸がステージの上に展示された。破片を分析した結果、スカイラブは予想よりもはるかに低い上空10マイルに達するまで分解していなかったことが判明した。 スカイラブの後、NASAはスペースシャトルで宇宙に運ばれ地球に回収される、再使用型の軌道作業室スペースラブに傾注することになった。アメリカの次期宇宙ステーション計画フリーダムは1993年に国際宇宙ステーション計画に統合され、1998年に建設が開始された。シャトル・ミール計画も別に進行し、アメリカの出資により1990年代にスペクトル、プリローダ、ミール・ドッキングモジュールの各区画が建設された。
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大気圏再突入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 01:00 UTC 版)
「はやぶさ (探査機)」の記事における「大気圏再突入」の解説
6月13日22時51分頃惑星間軌道から直接12km/sの相対軌道速度で、はやぶさ本体およびカプセルは大気圏再突入した。流星のように輝きながら無数の破片に分解し、燃え尽きていくはやぶさ本体と、一筋の光の尾を曳いて飛び続ける再突入カプセルは、南オーストラリア州においては数十秒間にわたり地上から肉眼でも観測され、満月の倍の明るさに相当するマイナス13等級の輝きを発し、人の影が地面に映るほどの明るさとなった。事前の予想では、大気圏再突入時の光跡は最大でマイナス5等級程度と報道されていたが、後の記者会見では、この予想ははやぶさ本体を含まない、再突入カプセル単体の明るさを指した予想であったと訂正された。 22時56分、カプセルからの電波信号(ビーコン)が受信され、パラシュートが開いたことが確認された。カプセルは23時8分頃に着陸したと推定される。着陸予想地点の周囲に展開した方向探測班がビーコンの方向から落下位置を推定し、発熱による赤外線を頼りにヘリコプターによる捜索が行われ、13日23時56分、再突入直前の予想地点から1 kmほどのウーメラの北西約200 kmで目視により発見された。 現地の砂漠一帯は先住民アボリジニーの聖地でもあるため、14日午前にアボリジニーの代表がヘリで現場を視察し、了解を得た後、宇宙機構のチームがカプセル回収に向かった。カプセルに付いている火薬などの危険物が安全な状態かどうかを調べた後、カプセル回収作業を開始し、約4時間後に回収を完了し、専用のコンテナで現地の拠点施設まで移送された。また、探索されていたヒートシールドも14日14時頃に発見され、翌日に回収された。 なおこれ以前にも日本の宇宙機が自力で大気圏再突入に耐えた例はいくつかあるが、回収まで予定通りに成功したのは2003年に回収されたUSERS回収カプセル以来7年ぶり2度目。旧ISASが打ち上げた衛星・探査機としては初の回収成功となった(失敗後に偶然回収されたEXPRESSを除く)。大気圏再突入時の最大減速率は50G程度で、再突入から約150秒後には秒速数十メートルまでの減速が行われた。 NASAはJAXAなどと共同で、観測用航空機「DC-8」から19台のカメラで「はやぶさ」の大気圏再突入を撮影した。はやぶさは惑星間航行をしていたので、歴史上2番目の速度で大気圏再突入が行われ、カプセルは1万 - 2万度の高温にさらされた。NASAの支援としてはこのほかに、ディープスペースネットワークによるはやぶさの追跡支援、エイムズ研究センターの大型加熱風洞を用いた再突入カプセルの耐熱シールド試験があった。
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大気圏再突入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/14 06:58 UTC 版)
2005年12月15日に運用を終了する際に、軌道高度を約350×500kmにまで下げた。その後も徐々に高度が下がり、2011年9月24日に制御不能のまま大気圏再突入した。 衛星の落下地点は突入の直前まで絞り込むことができなかった。落下予測地域は北緯57度から南緯57度で、北はイギリスから南は南米の南端まで含まれていた。衛星の部品はほとんどが突入時に燃え尽きるが、科学者たちは26個の破片(計532kg)は燃え尽きずに落下すると想定し、NASAは1個の破片が誰か1人の人間に当たる可能性は3200分の1と予測した。また、特定の人間に当たる確率は21兆分の1と試算された。 9月27日、UARSは9月24日午前4時1分(グリニッジ標準時)に、南緯14.1度、西経170.2度の太平洋上で大気圏に突入したという調査結果が発表された。付近に陸地はなく、破片による被害はもとより確実な目撃証拠も報告されていない。
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大気圏再突入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 10:06 UTC 版)
「マーキュリー・アトラス6号」の記事における「大気圏再突入」の解説
通常、逆推進ロケット噴射後に逆推進ロケット装置を切り離してから大気圏再突入を行うのだが、装置を固定している金具が耐熱シールドの脱落を防いでくれることを期待して、切り離さずに大気圏再突入を行うことになった。 ジョン・グレンは後に、「大気圏再突入時の熱がピークに達した頃に逆推進ロケット装置が外れたと感じたが、火の玉になった破片が次々と窓の外を横切るのを見て、耐熱シールドが粉々になっているのではないかと不安になった」と語っている。彼が見た破片は逆推進ロケットが再突入時の熱で破壊されたものであった。 後の調査で耐熱シールドには異常はなく、セグメント51のセンサー故障が原因である事が判明した。
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