くちのえらぶ‐じま【口永良部島】
口永良部島(鹿児島県)
657m 北緯30度26分36秒 東経130度13分02秒 (古岳) (世界測地系)
概 要
長径(西北西~ 東南東)12km、最大幅5km のひょうたん形の島。古い火山体である西部の 番屋ケ峰と現在まで活動を続けている島の中央部から東部を構成する新岳・古岳・野池山 などの火山体からなる。最近の1 万年間の噴火は古岳・新岳で発生している。 古岳南西~ 南東山麓には複数の安山岩質溶岩流が確認できるが、その噴出年代ははっき りしていない。この溶岩流を覆う火砕サージ堆積物は、古岳山頂火口を囲む火砕丘に連続 しており、小林ほか(2002)では、この堆積物中の木炭から約200 年前の放射年代測定値を 得ている。このことから、古岳火口では数百年前まで火砕流を伴う噴火が発生していたと 考えられる。 新岳は古岳の北西に開いた崩壊火口内に成長し、新岳山頂部を構成する火砕丘は火山角 礫層からなり、火山弾や冷却節理を持つ岩塊を多く含む。また、複数火山灰層を確認でき ることから、古岳あるいは新岳で過去1000 年以内に複数回の爆発的なマグマ噴火があった と考えられる。島民159 名(平成16 年)。
最近1万年間の火山活動
最近1万年間の活動は、古岳・新岳で発生している。古岳火山南西~ 南東山麓には複数の 安山岩質溶岩流が発達するがその噴出年代ははっきりしていない。 新岳火山から流出する新岳溶岩はその古地磁気解析から11世紀あるいは9世紀に噴出し たと考えられている(下司・小林,2004)。
記録に残る火山活動
- 1931(昭和6)年 噴火
- 3 月から鳴動。4 月2 日に爆発(新岳の西側山腹)。土砂崩壊、負傷 者2 名、馬、山林田畑被害。5 月15 日にも爆発、降灰。硫黄流出、土地隆起。
- 1932(昭和7)年7 月23 日 噴煙増加、鳴動。
- 1933(昭和8)年12 月~ 1934(昭和9)年1 月 噴火
- 1933 年12 月24 日から翌1 月11 日に かけて数回噴火。七釜集落全焼、死者8 名、負傷者26 名、家屋全焼15 棟、牛馬や山 林耕地に大被害。
- 1945(昭和20)年11 月3 日 噴火: 新岳火口東外壁で割れ目爆発、噴石、降灰。
- 1976(昭和51)年4 月2 日 噴火
- 新岳山頂火口で爆発。山麓で爆発音が聞える。降灰が北 西約2km の向江浜、前田で約1cm 積もる。
- 1980(昭和55)年9 月28 日 噴火
- 水蒸気爆発。多数の爆裂火口が新岳の東側斜面に南北 800m のほぼ直線上の割れ目に沿って生じた(昭和20 年の割れ目と同じ場所)。
- 1982(昭和57)年10 月 噴気: 新岳火口北東に噴気孔4 ヶ所生成。
- 1996(平成8)年1~ 3 月 地震増加。
<「概要」、「最近1万年間の火山活動」、「記録に残る火山活動」については日本活火山総覧(第2版)(気象庁編、2005)およびその後の観測成果による。>
火山観測
気象庁では,新岳の周辺に地震計4点,GPS3点,新岳の西麓に空振計1点と監視カメラを設置し,口永良部島の火山活動の監視・観測を行っています。
測器種類 | 地点名 | 位置 | 設置高 | 観測開始日 | 備考 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
標高 | |||||||
地震計■ | KER1点 | 30 26.9 | 130 12.9 | 570 | 0 | 1999.9.11 | |
地震計■ | KER2点 | 30 27.1 | 130 13.0 | 580 | 0 | 2003.5.10 | |
地震計■ | KER3点 | 30 26.4 | 130 12.8 | 0 | 2004.2.23 | ||
地震計■ | KER4点 | 30 26.7 | 130 11.9 | 0 | 2004.2.21 | ||
空振計◆ | KER0点 | 30 27.8 | 130 11.4 | 3 | 5 | 1999.9.11 | 2001.9.19移設 |
GPS● | 新岳 | 30 26.7 | 130 12.6 | 2006.12.10 | |||
GPS● | 七釜 | 30 26.3 | 130 13.2 | 2006.12.10 | |||
GPS● | 田代 | 30 28.3 | 130 12.9 | 2006.12.10 | |||
監視カメラ | KER0点 | 30 27.8 | 130 11.4 | 2004.3.10 | |||
震度計◎ | KUCHIE点 | 30 27.9 | 130 11.6 |
世界測地系による
火山活動解説資料
気象庁が実施した火山観測データの解析結果や,火山活動の診断結果を掲載します。毎月1回,上旬に公表します。
口永良部島
読み方:クチノエラブジマ(kuchinoerabujima), クチエラブジマ(kuchierabujima)
別名 口之永良部島(クチノエラブジマ)
口永良部島
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/06 02:25 UTC 版)
口永良部島(くちのえらぶじま[1])は、屋久島の西方約12kmに位置する島で、鹿児島県熊毛郡屋久島町に属する。
注釈
- ^ 滑走路面積8,000m2、地上施設は2灯サーチライト1基のみ。
出典
- ^ a b 作者名. "口永良部島". 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2023年10月6日閲覧。
- ^ 『角川日本地名大辞典 46 鹿児島県』角川書店 p.978
- ^ 郵便番号検索(2015年5月30日閲覧)
- ^ “火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山”. 気象庁. 2016年2月25日閲覧。
- ^ a b c “口永良部島 集落の歴史”. 口永良部島ポータルサイト. 2023年10月6日閲覧。
- ^ a b 口永良部島 有史以降の火山活動 気象庁
- ^ 噴火した口永良部島 地学雑誌 Vol.43(1931) No.5 P304 doi:10.5026/jgeography.43.304
- ^ 口永良部島火山における地盤変動
- ^ 口永良部島の火山活動解説資料(平成26年8月) 気象庁(福岡管区気象台)
- ^ 5月29日に発生した口永良部島の爆発的噴火について 気象庁 (PDF)
- ^ a b 『角川日本地名大辞典 46 鹿児島県』角川書店 p.257
- ^ 野元新市 (2021年). “島津又七の硫黄鉱山事業についての考察”. 2023年2月18日閲覧。
- ^ 溶岩が落下、一集落全滅『大阪朝日新聞』昭和8年12月25日(『昭和ニュース事典第4巻 昭和8年-昭和9年』本編p51 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
- ^ 2007年(平成19年)4月16日総務省告示第245号『町の廃置分合 (平成19年総務省告示第245号)』。ウィキソースより閲覧。
- ^ 1951年(昭和26年)9月7日農林省告示第327号「漁港指定」
- ^ 「南海に全滅の孤島 一週間ぶりに救援船」『朝日新聞』昭和26年10月22日
- ^ 1955年(昭和30年)7月19日郵政省告示第814号「城上郵便局等に電話通話事務の取扱開始」(『官報』第8572号489ページ、1955年(昭和30年)7月29日による正誤反映後)
- ^ 台風17号豪雨禍 ふくれる濁流、堤防無力『朝日新聞』1976年(昭和51年)9月13日朝刊、13版、23面
- ^ 『官報』第15456号14ページ「植物防疫法施行規則の改正に関する公聴会開催に関する公示」、1978年(昭和53年)7月22日
- ^ 1978年(昭和53年)8月28日農林水産省令第5号「植物防疫法施行規則の一部を改正する省令」
- ^ 2007年(平成19年)3月30日環境省告示第22号「霧島屋久国立公園の公園区域を変更する件」
- ^ 2012年(平成24年)3月16日環境省告示第22号「霧島屋久国立公園の公園区域の変更及び霧島錦江湾国立公園に名称変更する件」
- ^ 2012年(平成24年)3月16日環境省告示第30号「屋久島国立公園を指定する件」
- ^ a b “屋久島・口永良部島ユネスコエコパークについて”. 屋久島・口永良部島ユネスコエコパーク. 2023年1月27日閲覧。
- ^ “口永良部島の歴史”. 口永良部島ポータルサイト. 2016年5月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月23日閲覧。
- ^ 出典は、各学校の公式サイトより。(2010年12月5日閲覧)
- ^ 生活誌 屋久島に生きて 上屋久町教育委員会 1984
- ^ 上屋久町郷土誌 1984
- ^ フェリー太陽 時刻表など - 屋久島町(2015年5月29日閲覧)
- ^ 経営健全化計画書 - 屋久島町(2010年12月5日閲覧)[リンク切れ]
- ^ 日本のカーフェリー -その揺籃から今日まで-(世界の艦船 別冊) p.285 - 海人社(2009年3月発行) JANコード 4910056040393
- ^ 出典によって数値が異なるがそのまま記述した。
- ^ “フェリー太陽II 宮之浦〜口永良部・島間航路 旅客船兼自動車渡船” (PDF). 屋久島町. 2021年3月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月23日閲覧。
- ^ “令和3年3月の「フェリー太陽」運航予定のお知らせ(修正版)” (PDF). 屋久島町. 2021年3月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月23日閲覧。
- ^ “新船フェリー太陽II、口永良部でお披露目 屋久島町営、26日就航”. 南日本新聞. (2021年3月20日). オリジナルの2021年3月24日時点におけるアーカイブ。 2021年3月24日閲覧。
- ^ “口永良部郵便局 (鹿児島県)”. 日本郵政. 2016年5月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月30日閲覧。, “口永良部島は こんな島です”. 口永良部島ポータルサイト. 2016年5月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月30日閲覧。など
- 1 口永良部島とは
- 2 口永良部島の概要
- 3 地勢
- 4 行政
- 5 交通
- 6 周辺自治体
口永良部島
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/12 15:07 UTC 版)
新旧2つの火山群が結合し成形された薩南火山群島最大の火山島(活火山ランクB、噴火警戒レベル2)である。 「口永良部島」も参照 永田岳から望む口永良部島 口永良部島の活火山の山々 本村集落
※この「口永良部島」の解説は、「屋久島国立公園」の解説の一部です。
「口永良部島」を含む「屋久島国立公園」の記事については、「屋久島国立公園」の概要を参照ください。
口永良部島と同じ種類の言葉
火山島に関連する言葉 | 八丈島 占守島 口永良部島 宝島 得撫島 |
固有名詞の分類
- 口永良部島のページへのリンク