おおすみとは? わかりやすく解説

艦艇(輸送艦「おおすみ」型)

4001「おおすみ」 4002「しもきた」 ■4003「くにさき
 
基準排水量
  8,900t
主要寸法
  178x25.8x17.0x6.0m
長さ、幅、深さ喫水
主機械
  ディーゼル2基 2軸
馬 力
  26,000PS(しもきた26,400PS)
速 力
  22kt
主要兵装
  高性能20ミリ機関砲×2
特殊装置
  輸送用エアクッション艇×2
定 員
  135名(「しもきた以降138名)

【おおすみ】(おおすみ)

  1. LST-4001 Osumi(2代)
    海上自衛隊初の大型輸送艦ジェーン海軍年鑑では「ドック型揚陸艦」と記述されている)。
    姉妹艦に「しもきた(LST-4002)」「くにさき(LST-4003)」がある。

    それまで海自保有していた「おおすみ(初代)」型・「あつみ」型・「みうら」型のように、直接海岸乗り上げるタイプ(ビーチング式)の輸送艦違い船内搭載したエアクッション型揚陸艇(LCAC)やヘリコプター利用して人員資材陸揚げする艦として設計された。
    そのため、航行速度大幅に改善することができ、一方ではより多く海岸部への資材人員揚陸可能になり、運用の幅を大い広げることができた。
    (ビーチング式揚陸艦接岸できる海岸地球上の全海岸線15程度と言われている)

    基準排水量は8,900tであるが、これは先進諸国の持つ揚陸艦としては標準的なもので、ようやく実用に堪え揚陸艦装備したといえる。 
    船内作られ330名分宿泊設備医療設備は、災害派遣などにも非常に有用である。

    一方でヘリコプター発着可能な全通甲板持っている(このことで就役当時メディアは「空母にも転用可能では?」と誤報していた)が、航空機格納庫整備機材持っておらず、ヘリ運用能力はない。
    揚陸作戦必要な指揮管制通信能力人員貧弱で、何より肝心LCAC敵前上陸前提作られていないため、ジェーン年鑑記述どおり「ドック型揚陸艦」とみるのが適切であろう
    全通甲板物資搭載ヘリコプター発着容易にするが、船体設計の自由を多少奪ってしまうため、先進諸国保有する同規模の揚陸艦比べた場合搭載能力がやや小さくなってしまったが、同艦が画期的な艦であることに変わりはない。

    現在は上記同型艦3隻で第1輸送隊護衛艦隊直轄)を編成している。

    【スペックデータ】

    同型艦
  2. LST-4001 Osumi(初代)
    1960年代アメリカ海軍から貸与されLST戦車揚陸艦)。
    米軍時代艦名は「ダゲット・カウンティ(LST-689)」。
    同時期に貸与された「しもきた(初代米軍旧名"ヒルズデール・カウンティ")」及び「しれとこ(米軍旧名"ナンスモンド・カウンティ")」と共に第1輸送隊編成1965年起きた伊豆大島大火救援活動1972年沖縄諸島返還に伴う日銀から沖縄への日本円現金輸送などの重要任務活躍した
    1974年国産輸送艦の「あつみ」型就役伴って自衛艦籍を抹消アメリカ返還後スクラップとして処分された。

  3. JCG Osumi(PLH-03)
    海上保安庁・「つがる」型巡視船2番船。1979年就役
    現在は第十管区鹿児島海上保安部所属している。

    【スペックデータ】

  4. 試験用人工衛星「おおすみ」。
    1970年2月東京大学宇宙航空研究所が「L-4Sロケット第5号機により打ち上げた日本初人工衛星
    名前は、発射地のあった鹿児島県大隅半島由来している。

    この成功により、日本ソ連ロシア)・アメリカ・フランスに続く世界4番目の人工衛星打ち上げとなったが、これらの国が弾道ミサイル開発からのスピンオフとして人工衛星発展したのに対し日本大学の研究機関主導により、純然たる民生技術として開発着手されたことに特徴がある。

    打ち上げから1415時間後、搭載され電池消耗により電波発信止まって運用終了
    その後スペースデブリとして33年衛星軌道にあったが、JAXA統合前の2003年8月北アフリカ上空(エジプト・リビアの国境付近)で大気圏突入して消滅した

    性能諸元

    軌道要素

    関連ペンシルロケット ミューロケット まいど1号

おおすみ

分類:人工衛星


名称:おおすみ
小分類:技術開発・試験衛星
開発機関・会社:宇宙科学研究所(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
運用機関会社:宇宙科学研究所(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
打ち上げ年月日:1970年2月11日
運用停止年月日:1970年2月12日
打ち上げ国名機関:日本/宇宙科学研究所(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
打ち上げロケット:L-4S
打ち上げ場所:鹿児島宇宙空間観測所(KSC)
国際表記番号:1970011A

おおすみは、人工衛星打ち上げ技術習得衛星についての工学的試験目的として打ち上げられ日本初人工衛星です。「おおすみ」の名前は打ち上げた鹿児島宇宙空間観測所のある大隅半島にちなんつけられました。
このおおすみの打ち上げ成功で、日本ソ連アメリカフランス次いで独力で衛星打ち上げた国になりました
おおすみは重力ターン方式打ち上げられました。重力ターン方式とは、打ち上げたロケット最終段階地球の重力落ち始め直前、すなわち地球表面との速度が0になります。このとき地表向かって水平にロケット点火すると、ロケット地面と平行に飛行するようになります。これによって人工衛星円軌道乗せる方法です。
この方法をとった背景には誘導制御装置装備したロケットミサイル転用への不安が世論にあったためです。

1.どんな形をして、どんな性能持っているの?
アイスクリームさかさまにたような形をしています。重量は24kgです。

2.どんな目的使用されるの?
おおすみは、人工衛星打上げ技術習得衛星についての工学的試験目的として打ち上げられました。

3.宇宙でどんなことをし、今はうなっているの?
日本初人工衛星として軌道に乗ったのち、種々のデータ送りました化学電池のみのため数日寿命考えられいましたが、燃焼熱がたまり、予想以上に電池温度上昇したため、推定15時間ほどで寿命つきました
その後も「おおすみ」は地球回り続けてきましたが、2003年8月2日アフリカ上空大気圏突入し燃えつきました

4.このほかに、同じシリーズでどんな機種があるの?
さくら、さくら2号a、さくら2号bあります

5.どのように地球を回るの?
高度5,140kmから350kmの上空を、傾斜角31度の楕円軌道回ります


読み方
おおすみ

おおすみ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/30 11:18 UTC 版)

おおすみは、1970年2月11日東京大学宇宙航空研究所(後の宇宙科学研究所)が鹿児島宇宙空間観測所からL-4Sロケット5号機により打ち上げた日本最初の人工衛星である。名称は打ち上げ基地があった大隅半島に由来する。開発・製造は日本電気が担当した。


注釈

  1. ^ 日本のロケットも開発当初は朝鮮戦争の兵器用に作られた推進剤や、戦時中に開発されていたミサイル兵器「桜花」や「重噴進弾」の推進剤の圧伸機を転用しており、これらの推進剤の規格(サイズ)に合わせてペンシルベビーカッパロケットが開発されたという経緯がある[3]。ただし推進剤もしくはその製造機材を流用したのみで、ロケット本体は新規に開発された技術である。
  2. ^ 後年になってインドも民生技術による人工衛星の打ち上げを達成しているが、こちらは後にミサイルへ転用されている[4]。ただし開発後の軍事転用の有無を問うのであれば、日本のロケット技術も日本国外では軍事転用されている
  3. ^ この時、第3段と第4段は慣性飛行を行っているので、そのままだと第3段の残留推力で第3段が第4段に衝突する。
  4. ^ この時、ロケットは燃焼していないので「誘導」ではなく「姿勢制御」である。

出典

  1. ^ 国産衛星 反響さまざま「純国産がうれしい」「ただ国威発揚だけ」『朝日新聞』1970年(昭和45年)2月12日夕刊 3版 10面
  2. ^ 日の丸衛星“おおすみ”地球を回る 世界第四の人工衛星国に 6周まで確認 電波弱まり追跡中止『読売新聞』1970年(昭和45年)2月12日夕刊 1面
  3. ^ 野本陽代「日本のロケット」NHK BOOKS (1993)、p72
  4. ^ 坂本明「最強 世界のミサイル・ロケット兵器図鑑」(2015)、p188[1]
  5. ^ 1960年4月14日第34回参議院内閣委員会第19号 社会党の矢嶋三義がロケット研究の軍事転用の可能性について懸念を表明
  6. ^ 1961年4月18日第38回衆議院科学技術振興対策特別委員会第11号 糸川英夫がラムダへ誘導装置を搭載することを示唆
  7. ^ 1965年2月17日第48回衆議院科学技術振興対策特別委員会第5号 社会党の田中武夫からラムダのIRBM転用可能性について質問


「おおすみ」の続きの解説一覧

おおすみ

出典:『Wiktionary』 (2021/08/16 00:22 UTC 版)

名詞

(おおすみ)

  1. 旧国名現在の鹿児島県東部古代における地域名

複合語


「おおすみ」の例文・使い方・用例・文例

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