加賀美家 老舗旅館「加賀美屋」
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「どんど晴れ」の記事における「加賀美家 老舗旅館「加賀美屋」」の解説
加賀美カツノ 演 - 草笛光子 七代目大女将。柾樹の祖母。加賀美屋の大女将として働いていたが、体調を崩したのをきっかけに、伸一のすすめている洋風ホテルへの改装計画を阻止するため、そして後述する理由もあって柾樹に後継者となることを要請した。旅館の伝統を守ることが一番大事と考えている。夏美と出会った当初は夏美のことを単に柾樹の婚約者としか見ていなかったが、蔵で夏美を座敷童と見間違えた事がきっかけで夏美のことを加賀美屋に幸運をもたらす座敷童ではないかと思い始め、夏美を女将として仕込むことに生きがいを感じている。柾樹に後を継いでほしいと要請したのは夏美を女将にするためでもある。夏美が起こした事件(客の斎藤翼がそば粉入りの饅頭を食べてアナフィラキシーショックを起こした)がきっかけとなって大女将引退を決意する。ただし、大女将引退後も加賀美家の家長として、また環の姑として加賀美屋への影響力を残している。 大女将引退時に加賀美屋の女将に受け継がれている空の玉手箱を環に託し、この意味を考えることを指示したものの「素養・立ち居振る舞いともに申し分ないが女将になるために重要なものが一つ欠けている。」として環を認めず、何かと口を出した。しかし、夏美を若女将にすることを報告したときの振る舞いを見て環を本当の意味で女将と認め、いまだ玉手箱の意味が分からない環に対して「あなたなら自分で答えを導き出すことができる。」と優しく励ました。 後継者から外された事で伸一が荒れる事を、環が柾樹を後継者に指名する前から予期しており、その対策に病に倒れた後も病床にあって苦慮してきた。そして加賀美家の面々と夏美を集め、加賀美家の家長としての立場からその対策を告げる。それは自身が持つ加賀美屋の株(加賀美屋の全株式の半分。加賀美屋は10年前に株式会社になっており、加賀美家の面々で株を持ち合っていた)を伸一に譲り渡すというものだった。あわせてカツノは初孫である伸一が柾樹や浩司同様孫としてかわいいといい、祖母として今まで伸一につらい思いをさせた事を詫びた。そして自身も大女将と祖母の立場との間で苦しんだので環も同じように苦しんで来たと伸一に告げて、伸一に環の気持ちを察するように諭した。このことで伸一は柾樹を後継者として認めた。 柾樹と夏美の結婚式を楽しみにしていたが、それを目前にして、前述の通り、病に倒れてしまう。柾樹と夏美の結婚式の当日に病状が悪化。環はそのことを隠して結婚式を進めた。平治の計らいにより政良とも再会することができ、カツノには思い残すことはなかった。カツノはいまだ玉手箱の意味がわからない環に対してその意味を話し始めた。それは何が起きても独りそれに耐え切る揺るぎない心。環がカツノの病状を隠し、環一人で耐えて柾樹と夏美の結婚式を進めたことにより、環はその事を理解したはずだとカツノは言い、まず環ではなく俊江を女将にしたのは俊江が政良の出て行った辛い状況に耐えて女将としてやっていく決意を固めたからだと説明した。カツノは次は夏美に玉手箱を受け渡すように示唆し、環もその決意を改めて固めた。最期は政良と平治(そして部屋の脇に控えていた時江)に見守られ、眠るように安らかに息を引き取った。 その後、夏美の前に現れ、カツノを亡くした悲しみから立ち直ることのできなかった夏美の前に平治の作った風鈴の音と共に幻影として現れ、「笑顔を忘れないで。今を乗り越えたら、もっとたくさんの人を幸せにできる。負けないで。笑顔で。」と言い残し、激励した。さらに秋山譲二の妨害に悩む環の前にも現れた。いずれの場合にも平治がそばにいたが、平治にはカツノの姿は見えていなかった。最終回ではさんさ踊りに参加した加賀美屋一同を見守っている。 加賀美環 演 - 宮本信子 九代目女将。柾樹の叔母。カツノの次男の久則の妻。宮城県仙台市出身。優秀な女将で従業員からも信頼されている。心のそこでは長男の伸一を後継者にしたがっており、夏美は煙たい存在なのだが、カツノから夏美の修行を任されていた。風水に凝っており、各所に○の中に環と書かれたシールを貼ったりしている。女将としての夏美の才能に嫉妬のようなものを感じていたのだが、本人はそのことにはっきりと気がついていなかった。あることが理由でカツノに女将修行を認めてもらえなかった過去がある。それは何が起きても独りそれに耐え切る揺るぎない心が未だ環にはなかったからであった。 カツノが引退してからは自分の色を出し始め、カツノの推す夏美に対して彩華を女将候補として立てたりしていた。だが彩華が加賀美屋を去ってからは夏美の実力を認めるようになった。柾樹が改革に乗り出した時は、柾樹が失敗して丸くなることを期待して改革を了承した。そのために板長の篠田の退職という事態を招いてしまった。だが篠田に対して頭を下げて説得する柾樹を見て柾樹の覚悟のほどを知り、同時に柾樹を後継者として認めるようになった。この時、長年の慣例を破り女人禁制の調理場に入ったことでも周囲を驚かせている。伸一に対する親心もあって、久則やカツノ以外の他の者にはその事を話せずにいたが、柾樹と夏美の結納の後に行われた会席の場で伸一が自分が後継者であると話して場の雰囲気を悪くしてしまったため、ついに伸一ではなく柾樹が後継者になることと夏美が若女将になることを公にする。環は女将としてこの選択が正しいと信じているが、母親としてはつらい選択であり、伸一に責められたときに涙を見せている。 夏美の結婚式の際カツノの病状が悪化するが、カツノが夏美の結婚式を最も楽しみにしていたことを知っているため、力尽きる前に結婚式を挙げようとカツノの病状を隠して結婚式を強行する。ほかの出席者には「病状は問題ないが床を離れられるほどではないので家で平治と祝っている」とごまかして周囲を納得させた。その事により、カツノは環が玉手箱の意味を会得した事を察した。 伸一に接近してきた秋山譲二に対しては初対面の時から胡散臭いところがあることを察知し、伸一に対しては女将として、そして母として秋山とは手を切るように言ってきた。しかし、秋山の正体に全く気づいていない伸一は秋山と手を組む事が加賀美屋にとっては最善の道だと信じて疑わず、環の言う事を聞こうとしなかった。苦悩する環は平治に対し、何か良くないことが起こりそうなのに何の手も打つことができず、カツノと違って自分には人の上に立つ女将は荷が重いのかも、と悩む胸中を打ち明けた。すると平治は、カツノもよく自分に対して愚痴を述べていた事を話し、自分でよければ何でも遠慮なく愚痴を言うように言った。さらに平治は、盛岡の町を見下ろしている岩手山みたいにどっしりと構え、事が起きるのを辛抱強く待ち、誰が何をしたかを見守るだけでいいのではないかと述べ、女将やカツノも普通の人間なんだと助言した。このことにより環は平治に対する苦手意識も解け、女将としてやっていく自信を取り戻した。その後も秋山の執拗な工作でくじけそうになったが、夏美や柾樹の協力により、無事これを乗り越える事に成功する。 常に和服を着ているカツノとは異なり、私生活では洋服を着ている。 加賀美久則 演 - 鈴木正幸 社長。環の夫、カツノの次男。長男である柾樹の父が出奔したため、社長に就任した。大女将の母・カツノと女将の妻・環に挟まれているが、男は裏方と割り切っている。女将の環も夫としての久則については大変惚れている様で、プライベートでは自分の愚痴を聞いてもらっている。柾樹の父が出奔する前は板前をしており、先代の板長から筋が良いと褒められた過去がある。板長の篠田が辞めて板場が混乱に陥った時はカツノの指示で久しぶりに板場に入り、その腕を披露した。腕は衰えておらず、彼の作った煮物は客にも浩司などの加賀美家の面々にも好評だった。 伸一に近づいた秋山譲二に対しては妻・環同様、当初から胡散臭いものを感じていた。そして秋山の正体を知り、さらに伸一が秋山に加賀美屋の株を全て渡してしまったと知った時にはご先祖様や亡くなった母・カツノに申し訳ないという気持ちから、伸一を「この男」と呼んで殴ろうとした。人の良い性格の彼も伸一の犯した失態を許す事はできなかったのである。 スペシャル版では社長を退いて、旅館経営を甥の柾樹や息子の伸一にまかせて、家事にはげんている。 加賀美伸一 演 - 東幹久 支配人。環の長男。学生時代、ホテル経営を学ぶためにロンドンに留学した経験を持つ。世間知らずで苦労知らずのキザなマザコン男で蝶ネクタイにサスペンダーをするなど身なりに対しては独特のこだわりを持つ。加賀美屋の後継者となるべく頑張っているため、夏美や柾樹のことを快く思っていなかった。 加賀美屋を洋風ホテルに改めるのが夢で、そのための改築計画を推進しており、祖母でもあるカツノには快く思われていない。このことからわかる通り、世間知らずで苦労知らずな上、加賀美屋の伝統と格式についての理解が足りないところがあり、平治のところへ茶釜を取りに行って弟子の聡の作品を持って帰ったり、旅行雑誌の調査員を看破することが出来ず、さらに「ホテルのような接客」を指示したりするなど、加賀美屋の後継者としては力不足の描写もみられる。また、伝統と格式を誤解して予約していない客を追い返し、裕二郎に「誰に対してもあのような態度をとるやつ」、柾樹に「サービス業に携わる者としてあるまじき行為」と酷評されている。こっそり加賀美屋に夏美の様子を見に来た啓吾達も予約がなかったことを理由に追い返されてしまい、カツノらが啓吾達に平謝りする事態を招いたこともあった。 母の環が女将に就任した事で自分の地位は安泰だと思っていたため、環が、夏美が若女将に就任する事と後継者は柾樹である事を公にした時は、後継者から外された事に落胆し、環に裏切られたと思って憤りを感じてしまった。そして自暴自棄になって毎晩飲み歩くようになり、秋山譲二に目をつけられる事となった。なお、この時点で柾樹が進めようとしていた経営改革については自身が周りのしがらみにとらわれているために反対の立場であり、その事も柾樹が後継者となった一因となっている。 荒れる伸一を見て恵美子、時江、そして環は心を痛めたが、どうすることもできなかった。カツノは自分が持つ加賀美屋の株を全て伸一に譲り渡すことにより、事態を打開しようと図った。このことで伸一は納得し、正式に正樹を後継者として認めた。だが、柾樹の経営者の才能に対する嫉妬を抑える事ができず、また飲み歩くなるようになった。その心の隙を秋山譲二に付け込まれ、ついには秋山譲二に自分が持っていた加賀美屋の株券を全て渡す契約を結んでしまう。また秋山譲二の項で後述する理由で秋山に心酔し、ビジネスパートナーとして秋山を迎え入れた。その事が加賀美屋を危機に陥れる事になるのだが、伸一は柾樹に秋山の正体を指摘されるまでその事に気づかなかった。秋山の正体を知った後はショックのあまり仕事も手につかない状態になるが、恵美子に励まされ、家族の皆に謝ってやり直す勇気を取り戻した。その後は改心した秋山と和解。この事件を通して人間として成長した。 最終回では柾樹へのわだかまりも完全に解け、柾樹とともに経営にいそしむ姿が見られた。平治の作った風鈴をつるす夏美に対して座敷童の姿を見、それを見た平治が「やっと見たな。」と環に語っている。 スペシャル版では、加賀美屋の副社長となり、商工会青年団の部長として地域の世話役となっている。 加賀美恵美子 演 - 雛形あきこ 伸一の妻。秋田の旅館の娘で女将に必要な習い事はすべて身に着けている。伸一からは女将になるように切望され環にも十分に女将の素質があるといわれた。ただ、優秀な女将のカツノと環を目の当たりにして、自分が女将には向いていないと思い、子供のことも考えて家事と育児に専念することを望んでいた。そのため環や伸一と緊張関係になり、離婚話まででた。しかし、彩華が登場したことで女将候補が夏美と彩華に絞られたため、女将候補から完全に外れる。 当初は女将になることを切望されていた恵美子だが、女将候補から外れたことで加賀美家の家事を恵美子が担当して環や時江などが旅館に専念する体制が確立する。そのため、環や伸一との緊張関係は消滅した。 女将候補としてはともかく嫁としてはカツノにも気に入られ、当たり障りがない程度にカツノに旅館の情報を流している。また、夫と違って夏美のことを応援し、伸一と夏美や柾樹の間を取り持っている。 伸一が後継者から外される事は全く予期していなかったようで、彼が後継者から外されてからは伸一を擁護する行動をとるようになる。だが秋山譲二に対しては胡散臭いものを感じていた。秋山の正体が明らかになってからは落ち込む伸一に対し、逃げたりしないで、妻として伸一を信じているから、と言って伸一を抱きしめて励ました。 スペシャルでも、家事と子育て優先は変わっておらず、舅・久則とのゆるやかな緊張関係が見られる。 加賀美健太 演 - 鈴木宗太郎 伸一の長男。 加賀美勇太 演 - 小室優太 伸一の次男。二人とも夏美になついている。一時期、恵美子が女将修行をした時にはさびしい思いをし、二人して家出騒ぎを起こす。そのため、恵美子の女将修行の件は延期された。二人とも家族思いであり、加賀美屋の株を譲渡してしまったという大失態を犯した父の伸一が土下座して侘び、母の恵美子(と時江)が一緒に謝るのを見て、自分達も「お父さんが悪い事をしたなら謝ります」と言って謝罪している。 スペシャルでは、母の料理に不平を述べ、祖父の料理に感心する光景が見られた。 加賀美浩司 演 - 蟹江一平 板前。環の次男、柾樹の同級生。高校卒業後、京都の老舗旅館で修行を積み、実家の加賀美屋へ戻ってからその板場にて篠田の下で働いてきた。柾樹とは仲が良く、次男の気楽さからか、母の環や兄の伸一とは違い、夏美や柾樹に好感を持っている。なお夏美に対しては、柾樹さえいなかったら、とも発言しており、好意以上の気持ちを抱いていたことが示唆されている。環が押す女将候補の原田彩華は交際相手でプロポーズもしたが、夏美と彩華の両方を応援することを誓っていた。彼は彩華が柾樹のことを子供の頃から好きだった事に気がついていたが、彩華を一途に思い、金策に困っていた彩華に自分の給料を全額渡していた。だがその恋もなかなか実らなかった。彩華が環に暇を願い出た夜の次の日の朝、浩司は誰もいない彩華のアパートで彩華が大切にしていたお皿(彩華が父親から譲られていたもの)と置手紙を見つけ、号泣。その後、浩司はお皿を大切に保管している。 彩華が働いていた頃は既に新作料理を披露するほどの腕前になっていたが、その後も浩司は料理の腕を上げており、板場の副長格になっていた。板長の篠田が辞めたことにより自動的に板長に就任するが、既に篠田は浩司の腕前を認めており、加賀美屋を辞めて立ち去る間際に浩司に自分の日本手ぬぐいを渡して後事を託していた。 柾樹が食材費改革を行ったために篠田がやめて板場が混乱したことから柾樹に腹を立てた。しかし、柾樹の選んだ業者からも今までと遜色のない質の魚を仕入れる事ができると確信してからは柾樹の改革に協力する事に決めた。その後、柾樹が家族との和を大切にするようになり、浩司に経営改革資料を見せたことから柾樹の真意を理解し、魚料理だけではなく前沢牛を料理に取り入れることを柾樹と共に検討するなど、改革に積極的に協力している。それゆえ、秋山譲二には胡散臭いものを感じており、目が覚めずに秋山に心酔する伸一に対して取っ組み合いの喧嘩も辞さない姿勢を見せている。ただそれは兄を思う気持ちの裏返しでもあり、秋山の正体を知って落ち込む伸一を心配したりもしている。 後に加賀美屋の危機を救うために戻ってきた彩華と加賀美屋乗っ取り事件解決後に交際を開始。最終回では結婚間近で、相変わらず彩華にデレデレしている様子が描かれた。 スペシャルでは実家の加賀美屋を離れ、独立した店を構えている。 加賀美俊江 演 - 中江有里 八代目女将。柾樹の母親。女将の激務のために体を壊し、他界している。カツノは環ではなく彼女が女将になることを望んでいた。
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