主桁
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潮見ふ頭側の側径間主桁は名港潮見ICのランプウェイが分合流することからカーブを描いている(画像左)。同様にICを控えることで他の主桁と比べて幅広である。画像手前側で約10 m広い。さらに負反力軽減のために鉄筋コンクリート床板を載荷している(画像右)。 3大橋に共通する薄型の変形六角形断面である。上下線を一体的にまとめた一箱桁で、上下分離の二箱桁としなかったのは塗装、点検等の維持管理面の容易さと、ねじれ剛度を高く取れること、および強度が増すことで桁高さを低く抑えられるからである。上下線一体であることから桁幅は標準部で37.5 m(フェアリング含む)である。桁下の航路空間は大型自動車運搬船の航行を考慮して40 mを確保、このため桁高さはT.P+46 mとなっている。 東大橋は中央径間に比べて側径間長が極端に短く、その比率は145 m+410 m+145 m(1:2.83:1)で、西大橋の176.5 m+405 m+176.5 m(1:2.31:1)、中央大橋の290 m+590 m+290 m(1:2:03:1)と比べてもその短さが際立っている。その結果、ケーブルの張り方は塔の左右で大きく異なる。それがもたらすものは、側径間内で桁を吊り上げる鉛直方向の力と死荷重のバランスが崩れる(鉛直方向に上向く力が主桁の重さに勝る)ことによる大きな桁曲げモーメントの発生である。これにより側径間の主桁は上に向かって跳ね上がる負反力が発生し、P-1、P-4橋脚と主桁を連結するペンデル支承の負荷が大きく、維持管理上好ましくないとされた。このため、ペンデル支承にかかる負荷を極力抑え込むためにカウンターウエイト(付加荷重)を載荷した。1500立方メートル(片側)のコンクリートを主桁のデッキプレート上に鉄筋コンクリート床板として東側径間が33 cm、西側径間が26 cmの厚みで上積みして負反力を軽減している。西側を薄くしたのは、インターチェンジのランプウェイが主桁に取り付くことで桁重量が増すことから、東側とのバランスを考慮して重量を減らすためである。 このコンクリート打設は側径間部であり、この付近には完成自動車のモータープールが近接することから、コンクリート打設中および打設後に発現するブリージング水の飛散防止策が必要となった。これについては、風によるひび割れ予防とも相まってブルーシートを被せることで対応した。打設は西側は名港潮見ICを使用して近接する高架橋にアジテーター(攪拌機)を設置して主桁に送り込むことができた。一方で東側は隣接する橋が未完成であったことで橋上の作業が出来なかったことから、新宝ふ頭にコンクリートポンプ車を配置のうえ、40 m上空の現場まで打ち上げることで対応した。 一方で中央径間部は名港中央大橋と同様の鋼床板を採用している。ここで問題となったのは、側径間のRC床板との接合部であった。諸々の検討の結果、鋼床板部とRC床板部をいきなり境界で分けるのではなく、なだらかな坂にしてRCに移行することとした。ただし、RCから鋼部に向かうにつれてコンクリートの厚みが薄くなることで、走行車両の荷重がかかった際に引っ張り荷重に対して鉄筋が十分な耐力を発揮出来ず、ひび割れが生じる恐れがあった。このため、鋼への移行部にはスチールファイバーを混入した鋼繊維補強コンクリートを打設している。 上記の通り、側径間側の内、P-1側は名港潮見ICが近接することから、P-1橋脚側がP-2主塔側と比べて約10 m幅広となっている。さらにP-1側が若干カーブするなど他の主桁とは形状が著しく異なる。 主桁架設は側径間側が陸上であるため、ベント併用による張り出し架設工法を採用し、全体に先駆けて側径間部を架設した。次に海上区間はフローティングクレーン(船に載ったクレーン)が使える所は複数ブロックを一体に組み上げた大ブロックで架設し、以降、中心部に向かって直下吊りクレーンにより1ブロック(幅37.5 m、長さ15 m)ごとに海上から吊り上げる張り出し架設工法により接合した。最終ブロックの併合は1996年8月10日に完了している。なお、ベントはその巨大さと非汎用性から他工事との使い回しが行なわれず、工事毎に新規製作のうえ、主桁設置後は廃棄されるのが通例だった。しかし、たまたま首都高速道路公団が鶴見つばさ橋のベント6基(この内2基は横浜ベイブリッジからの転用)の使用終了後に東大橋への転用使用について打診があり、日本道路公団はこの申し出を受けることにした。転用に当たっては改造で対応したが、それでも東京から名古屋までの輸送費と併せても、新規製作と比較して約3億円の経費節減となった。
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主桁
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斜張橋のため風による振動が特に心配されたことから風の抵抗を軽減できる薄型を採用した。そして自動車や風等によるねじり変形に抗する強度確保や塗装等メンテナンスの容易さから一体型の多室箱型とされ、両端に三角形状のフェアリング(Fairing:空気力低減のために整形すること、その部材)を取り付けた六角形が選択された。主桁両端にてケーブルを連結して吊り上げる2面吊り方式である。全幅は37.5 m、全高は3.5 mである。また、メイン航路に架橋されることから主桁も非常に高く、T.P+63 m、桁下空間は55 m(航路空間は47 m)である。 主塔高さもさることながら、中央大橋が他の2橋と大きく異なるのはその径間比である。側径間(P-1とP-2間、P-3とP-4間の径間)も航路となっていることから中央径間(P2とP3間)と並んで側径間も長く、その径間割は290 m+590 m+290 m(側径間と中央径間の比率は1:2)である。このレベルまで長いと側径間に自動車を載荷したあかつきには主桁が重量で沈み込むことで主塔が側径間側へ大きく変形する。さらに中央径間の主桁が盛り上がることで主桁も大きくたわむ。この変形を抑え込むために当初設計段階では中央径間中央に重量物を載荷することが検討された。この場合、重量増によって架設機材が大型化することに加え、下部工の負担が増すなど不利な要素が多く、ケーブル配置や張力を工夫することで対応することとして重量物は載荷なしとした。 主桁架設は金城ふ頭側が水中ベント(Bent : 橋脚を意味するが日本では仮支柱をベントと呼ぶ。ステージングともいう)併用による張り出し架設工法、潮見ふ頭側がバランスド張り出し架設工法(バランシング工法)を採用した。金城ふ頭側の場合、水中ベントを主塔近辺に設置のうえ、フローティングクレーン(船に載ったクレーン)によって主桁3ブロック(全長116 m - 150 m)を水中ベント上にまとめて載せた後にケーブルと連結させる。つまりケーブル連結までは水中ベントで主桁を支える。内港航路にはベントを設置できないことから、架設した主桁に架設クレーンを置き、台船に積まれた主桁単ブロックを架設クレーンで吊り上げて連結し、併せてケーブル架設も行うことで主桁は少しずつ中央部に向かって張り出されていく。一方、潮見ふ頭側では航路の関係上水中ベントを設置出来ないためにバランシング工法を採用した。P-3主塔両脇に斜ベントを設置してフローティングクレーンで主桁大ブロックを載せる。その後左右均等に単ブロックを継ぎ足し、左右のバランスを取りながら少しずつ主桁を伸ばしていく工法である。このバランスが崩れると一方に負荷がかかって主塔が曲がるなどの悪影響を及ぼす。こうしてP-2、P-3の両主塔から伸長した主桁は最後の単ブロックを吊り上げることで併合する。この際、主桁接合を容易化するため左右の主桁をそれぞれ陸側に移動(セットバック)して左右主桁の間隔を押し広げる。台船から吊り上げた主桁は水平に吊り上げてははまらないため、一方を下げて傾斜しながら吊り上げて所定高さで水平を回復、セットバックを開放して左右主桁を中央に寄せて併合した。1996年6月22日のことで、中央大橋が下部工を発注してから7年目のことであった。
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主桁
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主桁高さはカーフェリー「いしかり」を基準として決定された。(画像左)主桁は多室箱型で耐風安定性に配慮した偏平六角形。両端の角はフェアリング。(画像右) 桁高さの決定要因は大型船舶の通過に支障が出ないことである。西大橋では名古屋港と苫小牧西港を結ぶカーフェリー「いしかり」(マスト高さ36 m)が最大船舶と想定され、余裕高さ2 mを加えて桁下空間を38 mと決定した。 名古屋港に架かる本橋は海風の影響を受け、特に海面より高い位置にある主桁に対してはその影響による安全面が心配された。このため主桁断面形状の検討で風洞実験を行い、風による抵抗低減の意図から薄型の変形六角形他室箱型を採用した。これはケーブルの定着性も良いと見込まれたうえでの採用でもあった。主桁の外腹板に定着鋼管を直接割り込ませて溶接し、フェアリングを被せて該当箇所を隠蔽していることから、見かけ上はシンプルである。昨今は各地の橋で採用されている当該定着方式も、一期線計画当時は長大斜張橋における採用実績が皆無であったことから、定着部における応力が主桁に伝わる流れが未解明であった。そこで、大阪の豊里大橋建設に際して実施された模型実験による成果を一期線の定着部の実験で参考とした。 一期線の主桁は道路構造規格第二種第一級で設計されたことから幅員16 m(フェアリング含む)である。これに対し二期線は道路構造規格第一種第二級で設計されたことから19.4 mと一期線比で3.4 m拡大されている。一期線も二期線供用に併せて第一種第二級に規格変更するために高欄の取替えを行って道路幅を拡大した。取り替え後の高欄は、断面が100 mm縮小され、高欄取り付け位置も両側へ150 mm移動した。この結果、標準幅員は改良前の12.5 mから13.5 mに、北側路肩は1.25 mから1.75 mに、南側路肩は0.75 mから1.25 mに拡大された。ただし、車線は当初計画の3.5 m×3が維持され、二期線の3.5 m+3.75 m+3.5 mと比較すると第2走行車線が狭くなっている。なお、一期線に接続する陸上高架橋も幅員拡大が行なわれたが、こちらはコンクリート製高欄をカッターで切り落とした上で、新たに製作した拡幅用床板をボルト接合するという大がかりな工事となった。 一期線と二期線の主桁間隔は主桁中心線基準で50 mとなっている。風による干渉影響を抑えるには一期線と二期線の間隔が桁幅の2倍必要であることから50 mとされた。ただし、一期線設計段階では45 mであったが、道路規格変更による二期線の桁幅拡大によって両橋の間隔が変動したことで5 m拡大されるに至った。 一期線の高欄には航空機のフラップにも似た抑流板が据え付けられ海風による影響を抑制することとしたが、二期線完成により抑流板なしでも問題なしと判定されたことで撤去された。 主桁の架設方法はベント(Bent : 橋脚を意味するが日本では仮支柱をベントと呼ぶ。ステージングともいう)併用張り出し架設工法によった。水中ベント上に主桁6ブロックをフローティングクレーンで一括載荷し、ケーブル架設後、左右に1ブロックずつ張り出していった。左右から中心部に向けて伸長した主桁は1997年6月17日に最後のブロックを併合し、主桁は1つにつながった。3大橋がこの併合で1つにつながるとあって当日は多数の報道関係者が現場に詰めかけ、地元のトップニュースとして取り上げられた。なお、二期線のベントは費用圧縮のため中央大橋で使用されたものを小改造のうえ転用したものである。また、使用後は長崎県の大島大橋建設事業のために再度小改造のうえ転用された。 一期線完成時における主桁は主塔と同じ赤系濃彩色で塗装された。よってケーブルカラー(黒)以外は全て赤色であった。後年、3橋の完成を機に陸上部高架橋の塗装と統一することになり、青い空、海に連続した水平線として印象付ける意図から白に塗り替えられた。
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主桁
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主桁は揚力を発生する主翼の構造を支持する部品であり、これが折損すると飛行不能となり、飛行中であれば墜落する。従って、十分な強度が要求されるが、強度を求めて重く作ると飛行機全体の重量過多を招き、飛行が困難となる。また強度と同時に主翼の剛性も担う。初期の人力飛行機ではスプルース、バルサ、合板などの木材が用いられていたが、CFRPが入手しやすくなると木材に取って代わるようになった。一部では、ボックス構造にした木材を使用している団体もある。 ダイダロスを模した機体では主桁にはCFRPパイプが用いられる。主桁となるCFRPパイプは主翼で生じる曲げとねじりの両者の荷重を負担する。ダイダロスを含め、多くの場合CFRPパイプは繊維方向が揃った炭素繊維の層を重ねて構成されている。炭素繊維の繊維方向によって強度、剛性が異なるため、必要な強度、剛性を得るために積層構成が工夫される。長手方向に対して45°の繊維がパイプのねじりの荷重を受け持ち、0°の繊維がパイプの曲げの荷重を受け持つので、CFRPパイプの主桁はねじりを受け持つ±45°(あるいは±40°)の層を基礎として揚力による曲げが働く上下方向に0°の層を特に多く重ねた積層構成が採用される。 主桁は機体を飛行させるための全揚力を支える構造物であるため、比較的重い部品となる。そのため主桁を軽く作るために後述する張線を用いることがある。
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