巻雲とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 気象 > 気象 > > 巻雲の意味・解説 

けん‐うん【巻雲/絹雲】

読み方:けんうん

十種雲形雲級)の一。繊維状に散らばった白い雲。ふつう5〜13キロの高さに現れる氷晶集まり略号Ci筋雲(すじぐも)。→雲級


まき‐ぐも【巻(き)雲/×捲き雲】

読み方:まきぐも

けんうん(巻雲)


巻雲

読み方:ケンウンkenun), マキグモ(makigumo)

分類の一


巻雲

読み方:マキグモ(makigumo)

作者 西脇順三郎

初出 昭和22年

ジャンル


巻雲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/01 15:33 UTC 版)

巻雲
上空に広がった毛状巻雲
略記号 Ci
雲形記号 または
巻雲
高度 (中緯度地域で)5,000 - 13,000 m
階級 上層雲
特徴 薄く、細いすじ状
降水の有無 なし
テンプレートを表示

巻雲(けんうん)はの一種。刷毛で伸ばしたように、または繊維状の、細い雲が散らばった形の白い雲である[1][2]。細い雲片一つ一つがぼやけず輪郭がはっきりしていて、のような光沢をもつのが特徴[1][2]絹雲(けんうん、きぬぐも)と書かれることもある。俗称ですじ雲(すじぐも)[3][4]はね雲(はねぐも)[5]しらす雲(しらすぐも)とも呼ばれる。

名称

国際的な雲形の分類である十種雲形の1つで、ラテン語学術名はCirrus(シーラス)、略号はその頭2文字をとったCiである[1][2]。Cirrusはラテン語で巻き毛を意味する[1]。Cirrusの日本語への訳語としては「巻雲」が当初から用いられていた。しかし、の「ケン」という読みが常用漢字の表外音訓となっているという指摘などから、1965年に「絹雲」という字を当てることが決定[6]されてしばらく使用されていた。その後1988年に再び「巻雲」に戻ったが、その名残が残っている。

形状と出現環境

巻雲と飛行機
肋骨雲

形状は殊に多様である。まっすぐなものもあれば、羽根などに例えられるように曲がったものもある。また変化が速く、刻々と形を変えることがある[1]

白いすじが不規則に曲がっていたり(毛状雲)、頭の部分が鉤型に反り返っていたり(鉤状雲)、綿状のかたまりになっていたり(房状雲)と、バリエーションがある[1][7]。まっすぐに長く伸びたものは英語で"mare's tails"(牝馬の尾。訳語として「馬尾雲」を充てることがある)と呼ばれる[4]

上空は水蒸気量が少ないため多くは厚みの乏しい薄い雲である。しかし、厚みを持ち布切れのような形をした種もある(濃密雲[7][8]

風が比較的弱く乱れのある時にみられるのが、糸がもつれたような形のもつれ雲。一方、魚の骨あるいは肋骨のように、太い直線の雲の両側に直角に細い雲が並ぶのが肋骨雲である。肋骨雲は、雨が降る前に現れる場合もあるが、反対に雨の後に現れて消えていく場合もある[9][10]

もくもくと発達した積乱雲雲頂から生じる巻雲もある[1]。なお、最盛期を迎えた積乱雲は雲頂が毛羽立ち、すじ状や毛状の巻雲が付随するが、これを多毛雲と呼ぶ[11][8]

対流圏の上部に発生し、氷の粒(氷晶)でできている[1]。鉤状雲や房状雲にみられる尾を引いたように見える雲は、地上からは同じ高さに見えるが、氷晶が落下しながら蒸発することでできる。尾が長く伸びることがあり、上空で高さにより風速が異なると尾が曲がって見える[8]。上空の湿度が高いときは飛行機雲が長く残って巻雲となる。国際雲図帳2017年版では、10分間以上残る飛行機雲を巻雲(飛行機由来巻雲[注 1])としている。また飛行機雲の氷晶が成長移動して、引き延ばされたりすることがある(飛行機由来変異雲[注 1][13]。このとき、飛行機のエンジンの排気に含まれる塵が凝結核氷晶核となることで雲が生じている。

雲ができる高度は、高緯度地域では3 - 8 km、日本を含む中緯度地域で5 - 13 km、低緯度地域では6 - 18 km付近であるが、上層雲の中では最も高い高度に出現することが多い雲である。

中緯度地方では特にに多く見られる。ただし、頻度は違うが一年中見られる雲である[1]

ジェット巻雲

上空高く、対流圏上部の圏界面に近いところに吹いている非常に強い風、ジェット気流に沿って巻雲がみられることがある。ジェット雲[14]ジェット巻雲という。

ジェット巻雲の代表的な例としてシーラスストリークトランスバースラインがある。シーラスストリークはジェット気流の強風域の低緯度側に気流と平行な方向に並ぶ細長い筋状の巻雲である。トランスバースラインはジェット気流の強風域にそれと垂直な方向に並んで発生する波状の巻雲列である。トランスバースラインの発生する部分には乱気流が発生していることがしばしばある。シーラスストリークは直線的、トランスバースラインは縁が波打ったようになっていることから、雲画像だけでも判別可能である。

地上からジェット巻雲を見ると、東西に空を横切るように放射状に見える[14]

天気の変化と巻雲

温暖前線が近づくとまず巻雲が現れるが、まだしばらくは雨が降る心配はない

青空の広がった好天が転じて天気が崩れるとき、他の雲より先に、最初に現れることが多い。温暖前線低気圧台風が接近してくるとき最初に現れる[1][8]

濃い巻雲や多様な形の巻雲が広がるのは上空の湿度が高まっている証で、その後、雲が増えて巻層雲高層雲乱層雲と低い雲に変化していき、雨が降りだすことがある[1][15]。これは古くから知られており、すじ雲が空一面に広がると雨が近いといった言い伝え(気象伝承)がある。

温暖前線の場合、寒気と暖気の衝突する前線面が南(北半球の場合。厳密には低緯度側)や東(中緯度の場合。西の場合もある)にいくほど上空の高い地点になってくる。雲は前線面付近にできるため、最も高い高度にできる巻雲が最初に現れるのである。熱帯低気圧の場合、大気の上空で低気圧から周囲に湿暖気流が吹き出しているが、気流の末端部分に巻雲ができるためである。

ただ、巻雲が見られるような段階では、その後少なくとも数時間は晴天が続くと考えられ、すぐに雨が降る心配は少ない。ある統計によれば、巻雲が現れてから雨になるまでの時間は12時間から24時間程度だったという[15]

巻雲と情景

夕焼けと巻雲

厚みのある夏の雲がなくなって青空に白い巻雲が広がる様は、「秋の訪れ」を表すものとされる[16]

また多様な形は、絹、毛、しっぽ、鳥、魚の骨、のろしなど様々なものに形容される[1][7][9][4]

青空を表現するときには、すじ雲の存在が空の高さを感じさせやすくする[4]。(参考:美術の技法

朝焼け・夕焼けの空では、薄い巻雲は日の傾きに従って黄色ピンク色赤色と次々に色を変化させる。また最も高い雲であるため、日の出のとき他の雲より早く、また日没のとき他の雲より遅く色づき、低い雲が黒くなってからもしばらくは明るく色づいて見える[1][8]

派生する雲形

国際雲図帳2017年版の解説によると、巻雲に現れることがある種・変種・副変種は以下の通り[17][18]

脚注

注釈

  1. ^ a b 雲の和名ワーキンググループによる提案名[12]
  2. ^ 日本語訳未確定。 波頭雲 はとううんなどの案がある。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 『雲・空』pp.18-29.
  2. ^ a b c 『気象観測の手引き』p.51.
  3. ^ 『雲・空』p.19.
  4. ^ a b c d 『雲・空』pp.158-159.
  5. ^ 『雲・空』pp.26-27.
  6. ^ 「天気」1965年3・4号
  7. ^ a b c 『雲・空』pp.112-115.
  8. ^ a b c d e 巻雲」、バイオウェザー お天気豆知識、2007年3月、2018年7月5日閲覧
  9. ^ a b 『雲・空』pp.128-129.
  10. ^ 雲を見よう!空の不思議を知ろう -雲と空の観察と学習ガイドブック-” (pdf). 地学編(14). 石川県教育センター. p. 13,14 (2007年). 2023年2月27日閲覧。
  11. ^ 『雲・空』pp.127.
  12. ^ わぴちゃん(岩槻秀明) (2022年5月3日). “special clouds”. あおぞら☆めいと. 2023年2月23日閲覧。
  13. ^ Cirrus (Ci) > Explanatory remarks and special clouds”. International Cloud Atlas(国際雲図帳). WMO (2017年). 2023年2月23日閲覧。
  14. ^ a b 『雲・空』p.154.
  15. ^ a b 『雲・空』p.152.
  16. ^ 『雲・空』p.18.
  17. ^ 『雲・空』p.12.
  18. ^ Cloud classification summary”. International Cloud Atlas(国際雲図帳). WMO (2017年). 2023年2月22日閲覧。

参考文献

外部リンク


巻雲(まきぐも)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 09:53 UTC 版)

陣内流柔術武闘伝 真島クンすっとばす!!」の記事における「巻雲(まきぐも)」の解説

真後ろ相手に対して蹴り入れる。

※この「巻雲(まきぐも)」の解説は、「陣内流柔術武闘伝 真島クンすっとばす!!」の解説の一部です。
「巻雲(まきぐも)」を含む「陣内流柔術武闘伝 真島クンすっとばす!!」の記事については、「陣内流柔術武闘伝 真島クンすっとばす!!」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「巻雲」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

巻雲

出典:『Wiktionary』 (2021/08/15 11:42 UTC 版)

和語の漢字表記

まきぐも けんうん

  1. 氷晶からなる詳細まきぐも参照

「巻雲」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



巻雲と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「巻雲」の関連用語

巻雲のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



巻雲のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの巻雲 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの陣内流柔術武闘伝 真島クンすっとばす!! (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryの巻雲 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS