国際法委員会 国際法委員会の概要

国際法委員会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/14 20:17 UTC 版)

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国際法委員会
概要 補助機関
略称 ILC
状況 活動中
決議 国際連合総会決議 A/RES/174 (II)
活動開始 1947年11月21日(設立)
活動地域 主にジュネーヴ
公式サイト http://www.un.org/law/ilc/
母体組織 国際連合総会
Portal:国際連合
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国際法の諸問題を審議し、多数国間条約の草案を起草することを活動の中心としており、今まで、条約法に関するウィーン条約など、国連の重要な条約の起草を行ってきた。

沿革

国際連合憲章は、総会が「国際法の漸進的発達と法典化を奨励すること」などの目的のために研究を発議し、勧告をすることとしている(13条1項)。

これを受けて、国連総会は、第1回通常会期第2部開会中の1946年12月11日に採択した決議において、国連憲章に定められた使命を達成するための手続を検討すべく、「国際法の漸進的発達と法典化のための委員会」、別名「17人委員会」を設立した (A/RES/94 (I))。同委員会は、1947年5月12日から同年6月17日までの間に30回の会合を開き、国際法委員会の設置を勧告する報告書を提出した。その中では、国際法委員会は政府代表ではなく個人資格の国際法専門家で構成されるとの方針が多数に支持された[1]

これを受けて、国連総会は、第2回通常会期中の1947年11月21日に採択した決議において、国際法委員会を設立するとともに、第6委員会で準備された26条から成る国際法委員会規程を制定した (A/RES/174 (II))[2]

規程に従い、国際法委員会の最初の選挙が1948年11月3日に行われ、第1回会期は1949年4月12日に開会した。

組織

国際法委員会は、総会が5年の任期で選ぶ34人の委員で構成される。日本からは、これまで、横田喜三郎元国際法教授(1957-61年)、鶴岡千仭元国連大使(1961-81年)、小木曽本雄元駐タイ大使(1982-91年)、山田中正元駐インド大使(1992-2009年)が委員を務めた。2009年5月、山田委員の辞任に伴う選挙で村瀬信也上智大学教授が選出された[3]

役員
会期ごとに、構成員の中から、議長、第1・第2副議長、起草委員会の委員長、及び一般報告者 (General Rapporteur) が選ばれる。これらの5委員によりビューロー (Bureau) が構成され、会期の予定や組織的事項について決定する。また、これらビューローの構成員に加えて前会期の議長や特別報告者 (Special Rapporteur) らを加えて拡大ビューロー (Enlarged Bureau) が設けられている。また、1970年代以降、会期ごとに立案グループ (Planning Group) が設けられており、委員会のプログラムと作業方法について検討することとされている[4]
本会議
本会議 (plenary) では、主に特別報告者、ワーキンググループ、起草委員会、立案グループの報告を審査する。また、起草委員会への条文案の諮問や、条文案の承認を行う。会期末には、本会議で国連総会に対する年次報告書を審査し、採択する。本会議は原則として公開で行われる[5]
特別報告者
特別報告者は、国際法委員会から任命を受けて、当該事項についての報告書を作成し、本会議での審査に参加し、起草委員会での作業に加わり、また草案に対する注釈を作成するなど、様々な重要な役割を担っている[6]
ワーキンググループ
国際法委員会では、トピックごとにワーキンググループ(小委員会、スタディグループ、諮問グループとも呼ばれる)が設けられてきた。国際法委員会の下に設立される場合と、立案グループによって設立される場合があり、特別報告者を任命する前の予備的な作業、同任命後の方針決定を行うほか、緊急時には案件全体を取り扱う。ワーキンググループで議論された草案は、直接本会議に送付される場合と、起草委員会の審査を受ける場合がある[7]
起草委員会
国際法委員会では、第1回会期から、会期ごとに起草委員会を設置している。起草委員会は、多様な法体系の価値観を踏まえながら、広く受け入れられる条文の起草を目指す。起草委員会の答申した条文案は、国際法委員会で全会一致で承認されることが多いが、修正を加えられたり、再度起草委員会に付託されたりすることもある[8]

会期

国際法委員会の会期は、原則としてジュネーヴで開かれる。ただし、第1回会期(1949年)はニューヨーク国際連合本部で、第6回会期(1954年)はパリユネスコ本部で、第17回会期第2部(1966年1月)はモナコで、第50回会期(1998年)はニューヨークで行われた。当初、規程12条によりニューヨークの国連本部で開催することとされていたが、事務総長と協議の上、翌年(1950年)からジュネーヴに場所を移すこととした。1955年、総会で規程12条が改正されて国際連合ジュネーブ事務局で行うこととされた[9]

会期の長さは、規程には特に定めがなく、1973年までは10週間が通常であった。1973年、総会は、翌74年の第26回会期について12週間とすることを承認し、その後も12週間が通常となった(ただし第38回会期(1986年)は予算上の理由により10週間)。近年は、会期を第1部と第2部に分けて行うことも多い[10]




  1. ^ ILC: Introduction.
  2. ^ 174 (II). Establishment of an International Law Commission (PDF)”. United Nations. 2011年5月16日閲覧。
  3. ^ 村瀬信也・上智大学教授の国連国際法委員会委員当選”. 外務省 (2009年5月7日). 2011年6月9日閲覧。
  4. ^ ILC: Introduction.
  5. ^ ILC: Introduction.
  6. ^ ILC: Introduction.
  7. ^ ILC: Introduction.
  8. ^ ILC: Introduction.
  9. ^ ILC: Introduction.
  10. ^ ILC: Introduction.
  11. ^ 国際連合広報局 (2009: 410)。
  12. ^ ILC: Introduction.
  13. ^ ILC: Introduction.
  14. ^ 中谷和弘、植木俊哉、河野真理子、森田章夫、山本良『国際法』有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2006年、86頁。ISBN 4-641-12277-6
  15. ^ 国際連合広報局 (2009: 411)。
  16. ^ 国際連合広報局 (2009: 411-12)。


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