ブドウ 生産

ブドウ

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生産

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世界

2004年のブドウの総生産量は6,657万トンであり、バナナ(1億394万トン)、かんきつ類(1億273万トン)に次いで生産量が多い果物である。1980年代前半までは世界で最も生産量の多い果物であったが、生産量は20世紀中盤からほぼ横ばいで、20世紀に入り生産量の急増したバナナやかんきつ類に抜かれ、さらに同じく生産量の急増しつつある4位のリンゴ(6,192万トン、2004年)に追いつかれつつある。国際連合食糧農業機関(FAO)によると、世界のブドウ園の総面積は75,866平方キロメートルにのぼる。世界のブドウ生産量のうち71%がワイン生産用、27%が生食用に使用され、残りの2%はレーズン生産用である。世界最大のブドウ生産国は中国であり、ついでイタリア、アメリカ、スペイン、フランスと続く。

ワイン用ブドウの栽培面積
面積 (km²)
スペイン 11,750
フランス 8,640
イタリア 8,270
トルコ 8,120
アメリカ合衆国 4,150
イラン 2,860
 ルーマニア 2,480
ポルトガル 2,160
アルゼンチン 2,080
 チリ 1,840
オーストラリア 1,642
アルメニア 1,459
レバノン 1,122
世界のブドウ主要生産国[18]
順位 年次生産量(トン
2021 2020 2019 2018 2017
1 中国 11,200,000 14,314,100 14,195,400 13,666,800 13,082,900
2 イタリア 8,149,400 8,222,360 7,900,120 8,513,640 7,169,745
3 スペイン 6,086,920 6,817,770 5,745,450 6,983,260 5,387,403
4 アメリカ合衆国 5,488,470 5,479,400 6,314,915 6,890,980 6,698,520
5 フランス 5,073,580 5,884,230 5,489,650 6,267,790 5,011,054
6 トルコ 3,670,000 4,208,908 4,100,000 3,933,000 4,200,000
7 インド 3,358,000 3,181,000 3,041,000 2,920,000 2,922,000
8  チリ 2,581,108 2,434,664 2,714,691 2,828,021 2,383,095
9 アルゼンチン 2,241,420 2,055,746 2,519,886 2,573,311 1,965,206
10 南アフリカ共和国 2,000,297 2,008,242 1,883,869 1,901,736 2,032,582
世界計 58,521,410 58,292,101 58,500,118 67,067,128 78,034,332

日本

2020年度における品種ごとの作付面積[19]
順位 品種 作付面積 (ha)
1 巨峰 3,189.2
2 シャインマスカット 2,280.7
3 ピオーネ 1,910.1
4 デラウェア 1,808.2
5 甲州 486.7
6 キャンベルアーリー 424.3
7 マスカットベリーA 362.7
8 ナイアガラ 287.2
9 スチューベン 285.4
10 藤稔 203.2

2021年の日本のブドウ生産量は16万5,100トンであり[20]、果物ではウンシュウミカン、リンゴ、ナシ(ニホンナシ)、カキに次いで5位の生産量である。昭和時代の末期には30万トンを記録していたが、以後は年々微減する傾向にある。栽培面積も同様に、昭和54年、55年の3万300ヘクタールを頂点として減少傾向にある。県別では山梨県が最大の産地で、2021年には40,600トンの生産があり、国内生産量の25%を占めた[20]。以下、2位の長野県が28,800トン(17%)、3位の岡山県が15,100トン(9%)、4位の山形県が14,600トン(9%)、5位の福岡県が6,910トン(4%)となっている[20]。日本は南西諸島を除くほぼ全域がブドウの適地であるため、北海道から九州までの広い範囲においてブドウが生産されている。世界ではワイン生産用が7割を占め非常に多いのに比べ、日本では生食用が9割近くを占め、ワインやブドウジュース菓子などの加工用は1割弱に過ぎない[21]。また、輸出は全くないが、年間10,000tあまりが輸入されている。

品種的には、日本で最も栽培されている品種は巨峰であり、2020年度には3,189ヘクタールで栽培されていた。ついでシャインマスカットピオーネデラウェア甲州と続く[19]。昭和45年頃にはデラウェアが栽培総面積の36%を占め、次いでキャンベル・アーリーが26%、甲州10%であったが、昭和40年代後半より巨峰の栽培技術が確立すると急速に栽培面積を拡大し始め、1994年には巨峰の栽培面積がデラウェアを抜いた。平成に入ってからはピオーネも急速に栽培を拡大させている。デラウェアは昭和35年の無核化技術の開発によって栽培が拡大したものの、粒が小さいため近年では栽培が減少傾向にある。キャンベルアーリーや甲州は戦前からの主要品種であったが、新品種の開発によって栽培面積は漸減傾向にある[22]


  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 206.
  2. ^ a b 日本ワイン検定事務局『日本ワインの教科書』柴田書店(2021年)p.37
  3. ^ a b 飯間浩明 「ブドウ」分け入っても分け入っても日本語(2020年)
  4. ^ a b ブドウの枝にがん抑制作用日経産業新聞』2019年9月17日(医療・ヘルスケア面)2019年10月5日閲覧
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  6. ^ 『ケンブリッジ世界の食物史大百科事典3 飲料・栄養素』小林彰夫監訳 朝倉書店 2005年9月10日 初版第1刷 p.107
  7. ^ 瀧井康勝『366日誕生花の本』日本ヴォーグ社、1990年11月30日、294頁。 
  8. ^ 中世ヨーロッパ 食の生活史』p.44 ブリュノ・ロリウー著 吉田春美訳 原書房 2003年10月4日第1刷
  9. ^ 中川 (2002)、pp.179-180.
  10. ^ 中川 (2002)、p.183
  11. ^ 中川 (2002)、p.131
  12. ^ 『飲食事典』本山荻舟 平凡社 p536 昭和33年12月25日発行
  13. ^ 『果物・野菜散歩』pp. 28 - 29 金沢大学大学教育開放センター 平成9年8月1日
  14. ^ 『播州葡萄園120年』稲美町教育委員会 2000年
  15. ^ a b c d 竹下大学 2022, p. 165.
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  17. ^ “Dietary table grape protects against ultraviolet photodamage in humans: 2. molecular biomarker studies” (英語). Journal of the American Academy of Dermatology. (2021-01-20). doi:10.1016/j.jaad.2021.01.036. ISSN 0190-9622. https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0190962221001845. 
  18. ^ FAOSTAT”. www.fao.org. 国際連合食糧農業機関. 2023年10月5日閲覧。
  19. ^ a b 特産果樹生産動態等調査 / 確報 令和2年産特産果樹生産動態等調査”. 農林水産省 (2023年3月31日). 2023年11月18日閲覧。
  20. ^ a b c 作物統計調査 / 作況調査(果樹) 確報 令和3年産果樹生産出荷統計” (PDF). 農林水産省大臣官房統計部 (2023年5月31日). 2023年11月18日閲覧。
  21. ^ 『果実の事典』p.433 杉浦明、宇都宮直樹、片岡郁雄、久保田尚浩、米森敬三編 朝倉書店 2008年11月25日初版第1刷
  22. ^ 『果物・野菜散歩』pp.31-32 金沢大学大学教育開放センター 平成9年8月1日
  23. ^ 農文協 編『ブドウ大事典』農山漁村文化協会、2017年、167頁。ISBN 978-4-540-17181-9 
  24. ^ 『地域食材大百科第3巻 果実・木の実、ハーブ』p.290 農文協 2010年8月25日第1刷
  25. ^ 『改訂版原色牧野植物大図鑑 REVISED MAKINO'S ILLUSTRATED FLORA IN COLOUR』(ISBN 4-8326-0400-7-C0645)
  26. ^ 『ヤマブドウ 安定栽培の新技術と加工・売り方ぁ』(P.42-58)農文協 ISBN 4-540-02124-9
  27. ^ 山ぶどうのホームページ【岩手県 久慈地方】”. 2013年1月14日閲覧。
  28. ^ 月山ワイン山ぶどう研究所”. 2013年1月14日閲覧。
  29. ^ 本坊酒造株式会社”. 2013年1月14日閲覧。
  30. ^ ひるぜんワインへようこそ”. 2013年1月14日閲覧。
  31. ^ a b c d e f g h i 竹下大学 2022, p. 162.
  32. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 207.
  33. ^ a b c 竹下大学 2022, p. 159.
  34. ^ a b c 竹下大学 2022, p. 158.
  35. ^ a b c 竹下大学 2022, p. 161.
  36. ^ a b c 竹下大学 2022, p. 163.
  37. ^ a b c 竹下大学 2022, p. 160.
  38. ^ a b c d e 竹下大学 2022, p. 164.
  39. ^ 「シャインマスカット」の無核化にはストレプトマイシン処理が有効 茨城県農業総合センター園芸研究所 (PDF)
  40. ^ かほく市公式 かほく市の特産 ぶどう
  41. ^ 近畿農政局 ぶどう(大阪南河内地域)
  42. ^ マイ大阪ガス 関西のギモン、調べます!炎の探偵社 -100年前、大阪は日本屈指のブドウ王国だった!?
  43. ^ 中央果実基金ニュースレター 沼隈町果樹園芸組合のぶどう生産・販売の取組紹介
  44. ^ たのしく生まるる田主丸町 産業の歴史 - 「巨峰開植の地」田主丸
  45. ^ 宇佐市 - 観光文化情報 - 食・お土産・特産品 西日本有数の生産量を誇る ~安心院ぶどう~
  46. ^ 飼い主のためのペットフード・ガイドライン 環境省、2020年4月29日閲覧。






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