セリ セリの概要

セリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/05 09:43 UTC 版)

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セリ
愛媛県広見町(現・鬼北町)、2004年8月22日
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : キキョウ類 campanulids
: セリ目 Apiales
: セリ科 Apiaceae
: セリ属 Oenanthe
: セリ O. javanica
学名
Oenanthe javanica (Blume) DC.[1]
シノニム
和名
セリ、シロネグサ
英名
Water dropwort
Japanese parsley
Chinese celery

名称

和名セリの語源は、若葉の成長が競り合うように背丈を伸ばし群生して見えることから、「競り(セリ)」とよばれるようになったと言われている[5][6]。別名、シロネグサ(白根草)。英名はウォーター・ドロップウォート (Water dropwort) [7]、中国植物名(漢名)は、水芹(スイキン)[8]という。

食用とする際の観点から、田のあぜなどに自生する野生のセリを「山ぜり」あるいは「野ぜり」、水田で栽培されているものを「田ぜり」、畑で栽培されるものを「畑ぜり」と称している[7]

特徴

日本原産で[9]東アジアインドなどの北半球一帯と、オーストラリア大陸に広く分布する[10]。日本では北海道本州四国九州の各地に分布する[11]湿地あぜ道水田[12]休耕田など土壌水分の多い場所や、細い流れがある水辺に群生する湿地性植物である[13]。若葉は春の七草で、水田で野菜としても栽培される[14][10]

常緑多年草で、秋から冬にかけて日が短い低温期は、多数の根生葉を叢生し、春から夏にかけての日が長い時期では、泥の中や表面を横に這うように根元から白く長い匍匐枝(ほふくし)を伸ばして、秋にその枝の節から新しい苗ができて盛んに成長する[13][11]

高さは20 - 80センチメートル (cm) 程度[10]。茎や葉など全草に芳香があり[11]、長い柄のある葉を盛んに出す[10]は根際に集まってつく根生葉と、互生してつく葉に分けられ、ともに1 - 2回3出羽状複葉[10]小葉は卵形で鋸歯がある[13]。根生葉は長い葉柄がつき、茎につく互生葉の柄は上部になるほど短い[13][11]。葉柄はいずれもさや状になる[15]。全体的に柔らかく黄緑色であるが、冬には赤っぽく色づくこともある。

花期は7 - 8月。やや高く直立して花茎を伸ばし、その先端に枝分かれした複数の花序をつけて、白いを咲かせる[11]花柄の長さは揃っているので、花序はまとまっている[10]。個々の花は小さく、花弁は5個でたくさんつく[10]。果実は楕円形で、長い花柱を持っている[15]

栽培

野生種から選抜したものが栽培されていて、品種分化は少ない[16]。栽培時期は春に苗の植え付けを行って秋に収穫し、栽培適温は10 - 25とされている[17]。水田栽培の「田ぜり」と栽培の「畑ぜり」の二つの栽培方法で行われていて、水田栽培は清水があるところに早春越株を植え付けが行われ、畑栽培では匍匐枝(ランナー)を取って植え付け、たびたび灌水して育成する[11]。栽培方法は各地で確立されていて、畑ぜりの栽培はごくわずかで[18]、一般には秋早くに親株が水田に植えられて、冬の収穫期に緑の若葉が茂る[14]

栽培品は軟白栽培されたものが主流で、野生のセリに比べて香りが穏やかで食べやすくなっている[19]。市場には自生品が出回ることもあるが、最近では養液栽培も盛んである。 野草としての性質が強く種子の発芽率が低いため、計画的な生産には発芽率の改善が不可欠である。産地にもよるが、栽培ものと野生のものに、比較的差が少ない種である。観賞用の斑入りの品種もある。

日本の生産地は、取扱量で茨城県が最も多く全国の4分3を占め、次いで宮城県千葉県埼玉県が多い[7]


  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Oenanthe javanica (Blume) DC.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年7月5日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Oenanthe javanica (Blume) DC. var. japonica (Miq.) Honda”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年7月5日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Oenanthe decumbens sensu Koso-Pol., excl. basion.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年7月5日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Oenanthe stolonifera Wall. ex DC.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年7月5日閲覧。
  5. ^ a b 田中修 2007, p. 30.
  6. ^ 岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本』秀和システム、2006年11月5日、299頁。ISBN 4-7980-1485-0
  7. ^ a b c d e f 講談社編 2013, p. 128.
  8. ^ 貝津好孝 1995, p. 181.
  9. ^ 主婦の友社編 2013, p. 136.
  10. ^ a b c d e f g h i 近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著 2010, p. 100.
  11. ^ a b c d e f g h i j k 馬場篤 1996, p. 96.
  12. ^ さとうち藍、松岡達英『冒険図鑑 野外で生活するために』福音館書店、1985年、306ページ、ISBN 4-8340-0263-2
  13. ^ a b c d 田中孝治 1995, p. 186.
  14. ^ a b 田中修 2007, p. 29.
  15. ^ a b c d e f g h i 田中孝治 1995, p. 187.
  16. ^ 講談社 2013, p. 128.
  17. ^ a b c 主婦の友社編 2011, p. 137.
  18. ^ 講談社編 & 20123, p. 128.
  19. ^ a b c d e f g 主婦の友社編 2011, p. 136.
  20. ^ a b c 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 25.
  21. ^ a b c 小池すみこ 1998, pp. 82–83.
  22. ^ 三関せりあきた郷土作物研究会(事務局:秋田県立大学生物資源科学部)2020年1月23日閲覧
  23. ^ 講談社編 2013, p. 24.
  24. ^ 「仙台のせり鍋 サッとゆで 驚きの甘さ」日本経済新聞』夕刊2018年3月22日(2020年1月23日閲覧)
  25. ^ 寄生虫による食中毒にご注意ください内閣府食品安全委員会(2020年1月23日閲覧)
  26. ^ 馬場篤 1996, p. 69.
  27. ^ a b 貝津好孝 1995, p. 161.
  28. ^ 「ドクゼリ:4人が食中毒 セリに酷似、1人重体 新潟市保健所発表/新潟」『毎日新聞』2013年4月2日(火)13時16分配信
  29. ^ 田中孝治 1996, p. 187.
  30. ^ 深津正 2000, p. 278.
  31. ^ 深津正 2000, pp. 276–278.
  32. ^ 深津正 2000, p. 279.
  33. ^ 新村出広辞苑 第七版』岩波書店、2018年1月12日、1650頁。ISBN 4-00-080131-7


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