カルシウム 用途

カルシウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/20 05:36 UTC 版)

用途

セメント・モルタルなど、建設建築用資材として多用され、現在でも使用量の大部分をコンクリート製品が占める。日本の生コン生産量は、ピーク時(1990年)には約2億立方メートルに達している。 多くの用途があるが、金属元素としての需要はマグネシウムに劣る。

建設・建築

セメント
日本は石灰岩資源が豊かで、自給自足し輸出もしてきたが、近年は減少傾向で2009年度生産量は5,800万トンと、ピーク時の半分程度となっている。生産量の4分の3をポルトランドセメントが占め、残りの大部分は高炉セメントである。
石材、窓材、彫刻
白い大理石や、透明度の高い石膏が好んで利用される。しかし大理石や石灰岩は酸性雨により分解されてしまうため建築物の腐食による劣化が懸念される。
漆喰
消石灰や苦灰石を固化剤とする。
モルタル
おもに細骨材セメントが用いられる。
断熱材、保温材
ケイ酸カルシウムを発泡させたもので耐火性を持ち、アスベスト代替品として用いられる。

セッコウボード

 セッコウは不燃性でありなおかつ熱伝導性が低い。そして、セッコウは熱を加えられると

 という化学反応を起こして焼きセッコウになる。これは吸熱過程(+117kJ/mol)でありなおかつ、生じた液体の水が蒸発するときに気化熱を奪う。最終的に水蒸気は不活性ガスとして働き、炎への酸素の供給を減少させる。

  これらの理由から、家やオフィスの内壁として用いられる耐火性壁板としても使われている。

工業

精錬
酸素と結びつきやすい性質から、古来より蛍石フッ化カルシウム)が融剤としての精錬に用いられた。
製鉄製鋼
日本の生石灰生産量の半分を消費する。高炉の不純物除去剤として、鉄鉱石やコークスとともに投入され、シリカアルミナスラグ(ケイ酸カルシウムアルミニウム)を作り銑鉄から分離する。また、造粒強化、熱効率改善、窒素酸化物削減効果を持つ。転炉ではおもにリン、硫黄の除去と温度調整効果を持つほか、高級鋼の炉外精錬に用いる[6]
非鉄金属鉱業
還元剤としてチタン[7]希土類(還元拡散法)[8]ウラン[9]プルトニウム[10]
酸化物陰極
仕事関数が小さい熱陰極(真空管ブラウン管蛍光ランプなど)材料として、バリウムストロンチウムとともに三元酸化物として1950年ごろに用いられた[11]
合金添加剤
マグネシウム合金に0.25パーセント添加すると、耐熱性が200 - 300℃高い難燃性合金となる。
るつぼ、耐火材
多孔質のカルシア(酸化カルシウム)は2,000℃まで使用でき、触媒作用・吸収・汚染が少ない。
化学工業
安価で安全なアルカリ剤として欠かせない。おもに消石灰(水酸化カルシウム)の石灰乳(水でスラリー状にしたもの)が用いられる。
マグネシア(酸化マグネシウム)製造
消石灰により海水中の塩化マグネシウム複分解回収する(おもに日本)。
ソーダ灰(炭酸ナトリウム)製造
循環アンモニアの回収剤および塩化物イオンの吸収剤として使用する。
エポキシ樹脂製造
原料のプロピレンオキサイドエピクロルヒドリンの製造で、ケン化、中和、加熱を同時に進行させる。
カルシウムカーバイド(炭化カルシウム
アセチレン製造に必要で、高温電気炉で石灰とコークスを強熱して製造される。カーバイドの主要な用途はアセチレンの生成である。

また、空気中の窒素とも反応しシアナミドイオンを作りメラミンプラスチックの主要な材料である。

さらし粉次亜塩素酸カルシウム
生石灰に塩素を吸収させ、比較的安定で安価な消毒剤として広く使われている。
パルプ工業
蒸解に使用した苛性ソーダ廃液(リグニンを含む黒液)を、燃焼分解して炭酸ナトリウム溶液とし、生石灰で再生する。
ガラス製造
ソーダ石灰ガラスの原料として、ナトリウム、ケイ素、カルシウムの酸化物が用いられる。
排水処理
無機酸性排水の中和に多用されるほか、フッ素リン重金属の除去に使用される。
排ガス処理
火力発電所で硫黄酸化物吸収剤として排煙脱硫に利用され、副生する硫酸カルシウムは原料石膏となる。
ゴミ焼却炉
炉などを腐食する塩化水素が大量に発生するため、生石灰、消石灰の粉末を吸収剤として煙道へ吹き込む。

食品工業、家庭用品ほか

製糖
消石灰を粗糖溶液に加え炭酸ガスを吹き込み、炭酸カルシウムの吸着・凝集沈殿効果で精製する。
食品添加物
コンニャクの凝固剤、豆腐の凝固剤、栄養強化剤として用いられる。
乾燥剤
無水物の水和反応を利用し、酸化カルシウムや塩化カルシウムが用いられた。能力はシリカゲルに劣るが、押入れの湿気取りなどで利用される。
発熱剤
酸化カルシウムの水和発熱反応)を、携帯食品(弁当や飲み物など)を加熱する手段として用いる。
融雪剤
塩カル(塩化カルシウム)による溶解熱、凝固点降下を利用している。
学校用品
セッコウはチョークに使われている。:ライン材(グラウンドの白線用消石灰)などにも利用されている。
入浴剤
湯を白濁させたりアルカリ性にして肌触りを変化させるため、炭酸カルシウムが利用される。
研磨剤
炭酸カルシウムが歯磨き粉消しゴムなどに用いられる。

農業畜産

農薬
ボルドー液石灰硫黄合剤、石灰防除などに使われる。
無機肥料
苦土石灰、過リン酸石灰、硝酸カルシウムなどのほか、連作障害対策の土壌中和・殺菌兼用で生石灰、消石灰が使用される。
飼料
家畜の栄養保健剤。



注釈

  1. ^ 日本の漆喰とは異なる。

出典

  1. ^ http://www.encyclo.co.uk/webster/C/7
  2. ^ 村上雅人 編著『元素を知る事典~先端材料への入門』
  3. ^ 桜井 弘 『元素111の新知識』 講談社、1998年、118頁。ISBN 4-06-257192-7 
  4. ^ コンクリート(セメント)の歴史について知りたい。 国立国会図書館 レファレンス事例詳細
  5. ^ 村上雅人 編著『元素を知る事典~先端材料への入門』
  6. ^ 鋼を作る日本石灰協会・日本石灰工業組合
  7. ^ チタン精錬反応の物理化学的評価
  8. ^ 還元拡散法による希土類機能性材料の製造に関する基礎的研究科学研究費補助金データベース
  9. ^ 小川芳樹, 「原子炉用材料特集」『窯業協會誌』 1956年 64巻 725号 p.C303-C306, doi:10.2109/jcersj1950.64.725_C303
  10. ^ 奥田茂, 「緻密なウラニウム精錬用弗化カルシウム容器」『窯業協會誌』 75(857), 9a, 1967-01-01, NAID 110002304124, 日本セラミックス協会
  11. ^ 酸化物陰極を備えた真空管ekouhou.net
  12. ^ 筋収縮を調節する分子メカニズムの一端を解明 科学技術振興機構
  13. ^ 間藤徹、馬建鋒、藤原徹 編『植物栄養学 第2版』, 文永堂、2010
  14. ^ 骨粗鬆症TOP 国立病院機構 西埼玉中央病院
  15. ^ 影岡武士、カルシウムが高い時 日本臨床検査専門医会 記事:2002.10.01
  16. ^ 斎藤 公司, 友常 靖子, 山本 邦宏 ほか、「著明な白血球増加と高カルシウム血症とを合併した甲状腺原発扁平上皮癌の1例」 『日本内科学会雑誌』 1979年 68巻 11号 p.1466-1472, doi:10.2169/naika.68.1466
  17. ^ 妊産婦のための食生活指針 -「健やか親子21」推進検討会報告書- 厚生労働省 平成18年2月 食を通じた妊産婦の健康支援方策研究会
  18. ^ 日本泌尿器科学会、日本泌尿器内視鏡学会、日本尿路結石症学会『尿路結石症診療ガイドライン 第2版』金原出版、2013年。ISBN 978-4307430531
  19. ^ Tiselius, H. G. (2001). “Possibilities for preventing recurrent calcium stone formation: principles for the metabolic evaluation of patients with calcium stone disease”. BJU Int. 88: 158. 
  20. ^ a b Calcium: What’s Best for Your Bones and Health?”. Harvard T.H. Chan School of Public Health (ハーバード公衆衛生大学院). 2017年8月11日閲覧。
  21. ^ joint FAO/WHO expert consultation. "Chapter 11 Calcium", Human Vitamin and Mineral Requirements, 2002.
  22. ^ カルシウム - 「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所
  23. ^ 『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版』骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会、ライフサイエンス出版。2006年10月。ISBN 978-4-89775-228-0。34-35、77頁。
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  33. ^ 乳製品、飽和脂肪酸、カルシウム摂取量と前立腺がんとの関連について―概要― PMID 18398033





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