カルシウム 名称

カルシウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/20 05:36 UTC 版)

名称

calciumの名は、石を意味するラテン語のcalxから転じ石灰を意味したcalcsisに由来する[2]

性質

酸化数はわずかな例外を除き、常に+IIとなる。比重1.55の非常に柔らかい金属で、融点は840 - 850℃、沸点は1,480 - 1,490℃(異なる実験値あり)。標準状態での結晶構造面心立方格子構造

単体空気中で放置すると酸素二酸化炭素と反応して腐食するため、不活性ガスを充填した状態で販売される。鉱油中で保存することもある。

単体金属を空気中で加熱するとをあげて燃焼する。

水に加えると容易に反応して水素を発生する。生成した水酸化カルシウム水溶液は石灰水と呼ぶ。

石灰水に二酸化炭素を通すと炭酸カルシウムの白い沈殿を生じる。

この状態から過剰に二酸化炭素を加えると沈殿は溶けて溶液となる。この反応は可逆的であり、加熱すると再び炭酸カルシウムの沈殿を生じる。

また炭酸カルシウムを1170℃以上で加熱することで生石灰が得られる。

この酸化物に対して炎を当てると明るい白色光を発する。この現象を熱ルミネセンスという。この現象は電灯が導入される前に主に劇場のスポットライトとして用いられた。また酸化カルシウムは水と反応して消石灰を作る.

ハロゲンとは気相中で直接反応し、ハロゲン化物を生成する。

アルコールに溶解してカルシウムアルコキシドC2H5OCa)、液体アンモニアに溶解してヘキサアンミンカルシウム([Ca(NH3)6]2+)となる。

水と容易に反応して水素を発生するため、アルカリ土類金属として、危険物第3類(禁水性物質)に指定されている。

歴史

カルシウムは古代ローマ時代からカルックス(calx)という名前で知られ、化学的な性質を化合物の形で利用されていた[3]ラボアジエの33元素にもライム(酸化カルシウム)が含まれている。calxはギリシャ語のchalix(カリクス,「小石」)に由来し「石灰」の他「小石」の意味も持っていた。派生したcalculus(カルクルス)は「計算用の小石」、更に「計算」の意味を持つようになり、英語のcalculateやcalculus等の語の由来とされている。

石灰炭酸カルシウム)を主成分とする石灰岩大理石は耐久性と加工性のバランスがよく、ピラミッドパルテノン神殿などで石材として利用されている。しかし、カルシウムの化学的性質を活用した最初の例としてはセメントの発明をあげるべきだろう。

人類最初のセメントとして9000年前のイスラエルで使われていた「気硬性セメント」が知られている[4]。これは、砕いた石灰岩を熱して酸化カルシウムを生成させ、施工後にこれが空気中の水分や炭酸ガスと反応して炭酸カルシウムとなることを利用して硬化させる。

現在に近い水を加え水酸化カルシウムを生成させる「水硬性セメント」は、5000年前の中国や4000年前の古代ローマで利用され、同じころにピラミッド建設には焼石膏硫酸カルシウム)の水和反応を利用する漆喰[注釈 1]が用いられた。

この様にカルシウムは広く利用され身近な物質だったが、金属として単離するには電気分解の登場を待つ必要があった。1808年ハンフリー・デービー生石灰酸化水銀とともに溶融電解し、金属カルシウムを得ることに成功した[5]




注釈

  1. ^ 日本の漆喰とは異なる。

出典

  1. ^ http://www.encyclo.co.uk/webster/C/7
  2. ^ 村上雅人 編著『元素を知る事典~先端材料への入門』
  3. ^ 桜井 弘 『元素111の新知識』 講談社、1998年、118頁。ISBN 4-06-257192-7 
  4. ^ コンクリート(セメント)の歴史について知りたい。 国立国会図書館 レファレンス事例詳細
  5. ^ 村上雅人 編著『元素を知る事典~先端材料への入門』
  6. ^ 鋼を作る日本石灰協会・日本石灰工業組合
  7. ^ チタン精錬反応の物理化学的評価
  8. ^ 還元拡散法による希土類機能性材料の製造に関する基礎的研究科学研究費補助金データベース
  9. ^ 小川芳樹, 「原子炉用材料特集」『窯業協會誌』 1956年 64巻 725号 p.C303-C306, doi:10.2109/jcersj1950.64.725_C303
  10. ^ 奥田茂, 「緻密なウラニウム精錬用弗化カルシウム容器」『窯業協會誌』 75(857), 9a, 1967-01-01, NAID 110002304124, 日本セラミックス協会
  11. ^ 酸化物陰極を備えた真空管ekouhou.net
  12. ^ 筋収縮を調節する分子メカニズムの一端を解明 科学技術振興機構
  13. ^ 間藤徹、馬建鋒、藤原徹 編『植物栄養学 第2版』, 文永堂、2010
  14. ^ 骨粗鬆症TOP 国立病院機構 西埼玉中央病院
  15. ^ 影岡武士、カルシウムが高い時 日本臨床検査専門医会 記事:2002.10.01
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  22. ^ カルシウム - 「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所
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  33. ^ 乳製品、飽和脂肪酸、カルシウム摂取量と前立腺がんとの関連について―概要― PMID 18398033





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