松平 頼則
徳川家の流れをくむ子爵松平頼孝の長男として東京に生まれる。慶應義塾大学仏文科在学中に、フランス人ピアニスト、ジル=マルシェクスの連続演奏会を聴き、音楽の道を志す。ヴェルクマイスターや小松耕輔に作曲の手ほどきを受けるが、以後ほぼ独学。1930年、清瀬保二や箕作秋吉らと「新興作曲家連盟」を結成。西洋の模倣から脱したオリジナルな創作を目指す。46年には清瀬保二や早坂文雄らと「新作曲派協会」を結成。この頃から、雅楽と12音技法を結びつけた独自の作風を確立していく。52年、《ピアノと管弦楽のための「越天楽」による主題と変奏》が国際コンクールに入賞。その名が国際的に知られるようになる。西洋の最先端の動きに反応しつつ、日本的なものと西洋的なものとを結合させてきた創作の在り方は、日本の現代音楽界の存在を世界に知らせる重要な役割を担ってきたと言えよう。上野学園大学教授、日本現代音楽協会委員長を歴任後、94歳で病没。
松平頼則
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松平 頼則(まつだいら よりつね、1907年5月5日 - 2001年10月25日)は、日本の作曲家、ピアニスト。
注釈
- ^ 7つの俳諧
- ^ Rituel in Memoriam Bruno Maderna
- ^ RYOANJI
- ^ 当時は国際送金による個人直送が認められておらず、まず国際現代音楽協会の日本支部の事前選考をくぐらなければならなかった。その枠はかつては6名であった。その中から国際審査員が再度選出する方式を取っており、上演が現地の演奏家によって不可能とされた作品でも入選記録は撤回されない。また10年以上前に作曲された作品でも応募が認められた時代もあり、個人直送による入選が可能となった現在この記録は更新される模様はない。
- ^ 現代フランス語の発音ではアンリ・ジル=マルシェであり、マルシェックスは誤りということになる。しかし、フランス語を履修した松平が読み間違えることは考えられず、当時のフランス人は「名前の子音は全て読んでおけ」という了解が成り立っていたようである。その実例として、フランス人ピアニストロベール・カサドシュは本来ロベール・カサドシウスが正式な発音であったと伝えられている。
- ^ ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカからの3楽章」はこの時に日本初演。
- ^ 初演はSalzburg, ISCM Festival, 1952/06/29 - pno. E. Volkmann, cond. E. Gracis
- ^ ツェルボーニ社の楽譜でのタイトルでは単に「主題と変奏Tema e Varie」、しかしツェルボーニ社は松平のつけた題名を誤記したこともあるため注意。
- ^ これは複数回の再演が望まれることを意味しているが、ほとんどの松平作品でそのような恩恵に浴した例は存在しなかった。イヴォンヌ・ロリオのピアノとフランシス・トラヴィスの指揮によって初演された「ピアノと管弦楽のための三楽章」(1963年)は不確定性が全面に押し出された演奏時間不確定の作品であったが、別ヴァージョンが次々に生成されるほどの再演はなかった。
- ^ 原曲の2台ピアノ版は1987年、ピアノ独奏版は「呂旋法のための3つの即興曲」と「律旋法によるピアノのための3つの即興曲」(1987/1991年)へ再改訂。
- ^ この作品は1993年のゴッフレド・ペトラッシ国際作曲コンクール[5]で第1位となり、松平は数十年ぶりにペトラッシ本人と再会した。
- ^ 「ミクロの世界」「追われるガン細胞」については、東京シネマ新社のサイトにてストリーミング配信されている。
- ^ 松平頼則 1931 「ヂル・マルシェックスを訪ふ」『音楽新潮』 5月号: p.13-15[12]、仲万美子 1999 ONTOMO MOOK日本の作曲20世紀 p.15
- ^ ピアノのための6つの前奏曲はかつて出版されていたが、今は手に入らない[15]。
- ^ 現在はコンクール枠ではなく、個人直送枠に変更されている。
出典
- ^ a b c 富樫康『日本の作曲家』p.281
- ^ a b 富樫康『日本の作曲家』p.282
- ^ “第2ピアノ協奏曲(1980)世界初演”. www.suntory.co.jp. www.suntory.co.jp. 2023年7月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月5日閲覧。
- ^ “作曲家の個展について”. www.tokyo-concerts.co.jp. www.tokyo-concerts.co.jp (2010年6月28日). 2023年7月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月5日閲覧。
- ^ “Shun-O-Den”. www.digitalarchivioricordi.com. www.digitalarchivioricordi.com. 2023年7月5日閲覧。
- ^ “松平頼則氏を追悼する”. www.ff.iij4u.or.jp. www.ff.iij4u.or.jp (2001年10月30日). 2023年1月12日閲覧。
- ^ “南部子守唄を主題とするピアノとオルケストルの為の変奏曲 | 東京音楽大学付属図書館ニッポニカ・アーカイヴ”. 東京音楽大学付属図書館ニッポニカ・アーカイヴ | 日本のオーケストラ作品演奏のために (2015年12月24日). 2023年2月15日閲覧。
- ^ Page Musician/band See more about 松平頼則/Yori-tsune Matsudaira (2018年12月9日). “…近代音楽館へと寄贈し…”. webcache.googleusercontent.com. webcache.googleusercontent.com. 2023年8月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月17日閲覧。
- ^ 竹内直「松平頼則の《南部民謡集》をめぐって─採譜と創作のはざまで─」『日本伝統音楽研究』第15号、京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター、2018年6月、1-17頁、CRID 1573668927558951296、ISSN 1347-3689、2024年1月26日閲覧。
- ^ 那須聡子. “CBCテレビ所蔵松平頼則氏関連資料調査”. glim-re.repo.nii.ac.jp. glim-re.repo.nii.ac.jp. 2023年8月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月17日閲覧。
- ^ “今、平石博一さんと私は松平頼則の遺稿の整理を行なっている。”. www.meijigakuin.ac.jp. www.meijigakuin.ac.jp. 2023年1月11日閲覧。
- ^ 白石朝子「アンリ・ジル=マルシェックスによる日仏文化交流の試み : 4度の来日(1925-1937)における日本音楽研究と日本の作曲界への貢献」『愛知県立芸術大学紀要』第42巻、愛知県立芸術大学、2012年、119-131頁、CRID 1390572174848520448、doi:10.34476/00000046、ISSN 0389-8369、2024年1月26日閲覧。
- ^ “松平頼則 :平調越天楽を主題とする変奏曲”. enc.piano.or.jp. enc.piano.or.jp. 2023年7月4日閲覧。
- ^ “松平頼則 フルートとクラリネット(Si-flat)のためのソナチネ”. shop.zen-on.co.jp. 全音楽譜出版社. 2023年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月3日閲覧。
- ^ “2件見つかりました。1~2件を表示しています。”. www.ongakunotomo.co.jp. 音楽之友社. 2023年7月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月4日閲覧。
- ^ “ESZ-Catalogo-generale-2019-pdf”. www.esz.it. EDIZIONI SUVINI ZERBONI (2019年4月3日). 2019年10月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月3日閲覧。
- ^ “iscm”. www.jscm.net. www.jscm.net. 2022年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月1日閲覧。
- ^ “松平頼則作品集”. tower.jp. tower.jp. 2023年7月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月2日閲覧。
- ^ CD「松平頼則作品集」フォンテック FOCD2542 解説、作曲者筆
- ^ “1999年に放送された「ドキュメントにっぽん」での頼則氏のドキュメンタリー「妻に贈る銀の調べ」は、現在、再放送禁止、二次使用禁止の措置が取られていますが、その理由はあまりにも事実誤認/捏造、が多いということにあり、「奥様が奉公人の娘」だったという虚偽はその最たるものでした。”. twitter.com. twitter.com (2023年1月25日). 2023年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月3日閲覧。
- ^ 井上郷子「「井上郷子ピアノリサイタル#29 松平頼則・松平頼暁ピアノ作品集」の報告」『研究紀要』第55巻、国立音楽大学、2021年3月、253-259頁、CRID 1390853650458476160、doi:10.20675/00002360、ISSN 0288-5492、2024年1月26日閲覧。
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