XM-1、XM-2
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/24 16:09 UTC 版)
「XM (人工衛星)」の記事における「XM-1、XM-2」の解説
買収されて現在はボーイング社の1部門ディフェンス,スペース・アンド・セキュリティーとなっているヒューズ・スペース・アンド・コミュニケーションズ・カンパニー社(以下HSCCと呼ぶ)は、シリウス・サテライトラジオ社と合併する前のXM・サテライトラジオ社に、モバイル衛星デジタルラジオ放送のために2機の放送衛星XM-1とXM-2を製造する契約を、1998年3月23日に結んだ。契約は6月に改定され、後を引き継いだボーイング社が、大電力の静止衛星として衛星を引き渡すこととなった。2機合わせて最大100チャンネルを放送することができ、極めてクリアーなデジタル品質の音楽やニュースや天気予報などの番組を、小さなアンテナしか設置できない車載受信機でも受信可能にするものであった。受信システムはアルパイン、デルファイ・コーポレーション、パイオニア、シャープから販売する予定であった。衛星バスはボーイング702(英語版)である。2機の衛星は、これまでの衛星と比較して、最も電力供給能力のあるものであった。運用開始時の合計発生電力の設計値は18kWであった。電力を発生させる1対2翼の太陽電池アレイが、衛星本体から南北各々の方向に展開される。各々の太陽電池アレイは、1翼当たり5枚の太陽電池パネルから組み立てられている。パネルは、高効率の砒化ガリウム化合物半導体で作られた太陽電池セルから成る。また太陽電池アレイの両側には、太陽電池に当たる太陽光線を増強して太陽電池の発電効率を上げる為に、反射板が取り付けられている。この反射板は思いのほか劣化が早く、軌道上の衛星の寿命に影響を与えた。衛星の設計寿命は、15年としていた。静止軌道上の南北方向の静止位置の保持には、ボーイング社に買収される前のHSCC社が開発しこれまでに十分実績もあった、キセノン・イオンスラスターXIPSを搭載している。南北方向に2基ずつ合計4基取り付けられている。尚、当衛星に組み込まれたスラスターの製造については、HSCC社から引き継いだ現ボーイング社が担当した。トランスポンダ類は、フランス・トゥルーズのアルカテル・スペース社のものを使用した。Sバンド送信アンテナの反射板は直径5mとなり、2基備えられる。XM-1より先にXM-2が打ち上げられた。打ち上げ日時は、2001年3月18日(UTC)で、無事成功した。その後、XM-1が2001年5月8日(UTC)に打ち上げられ、無事に成功した。現在、XM-1、XM-2両衛星とも運用を終了し、西経85度の位置でバックアップ用に待機した状態でいる。
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