X線透過窓とは? わかりやすく解説

X線透過窓

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 07:34 UTC 版)

ベリリウム」の記事における「X線透過窓」の解説

ベリリウム原子番号小さく電子の数が少ないため、X線対す透過率が非常に高い。そのため、X線源ビームラインX線望遠鏡などの検出器用の窓に用いられる。この用途においてはX線像不要な像が写り込むことを回避するためにベリリウム純度清潔さがもっと要求されるまた、X線探知機のX線放射窓としてもベリリウム薄膜用いられている。これは、ベリリウムX線吸収率が非常に低いことによって、高強度シンクロトロン放射光典型的なエネルギーX線起因する熱の影響最小限留めることができるためである。さらに、シンクロトロンによる放射線試験のための真空気密窓およびビームチューブの素材にはベリリウムのみが用いられている。ほかにも、エネルギー分散型X線分析などのさまざまなX線利用した分析機器においてはベリリウム製のサンプルホルダーが常用される。これは、ベリリウムから発生する特性X線蛍光X線有するエネルギー100 eV以下と分析試料由来X線比較して非常に低く試料分析データ影響与えないためである。 ベリリウムまた、素粒子物理学実験装置において高エネルギー粒子衝突させる場所周辺ビームライン構築するための素材として用いられる。たとえば、大型ハドロン衝突型加速器実験における主要な4つ検出器すべて(ALICE検出器ATLAS検出器CMS検出器英語版)、LHCb検出器英語版))やテバトロンSLAC国立加速器研究所において用いられている。このような用途においてはベリリウムが持つさまざまな性質効果的に働いている。すなわち、ベリリウム原子番号小ささ由来する高エネルギー粒子対す透過性比較的高いという性質や、ベリリウム密度が低いという性質によって、粒子衝突によって発生した生成物重大な相互作用なしに周囲検出器へと誘導することができる。また、ベリリウム剛性が高いためベリリウムパイプ内を非常に高真空にでき、残留した気体分子による相互作用最小限にすることができる。さらに、ベリリウムは熱的に非常に安定しているため、絶対零度よりわずかに高い程度極低温においても正常に機能することができる。そのうえ、ベリリウム反磁性有する性質によって、粒子線収束させて検出器まで導くために用いられる複雑な多極電磁石システムへの干渉を防ぐことができる。

※この「X線透過窓」の解説は、「ベリリウム」の解説の一部です。
「X線透過窓」を含む「ベリリウム」の記事については、「ベリリウム」の概要を参照ください。

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