X線放射
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/04 21:04 UTC 版)
「百武彗星 (C/1996 B2)」の記事における「X線放射」の解説
百武彗星の太陽系通過によってもたらされた驚くべき成果の一つに、彗星からX線の放射を発見したことが挙げられる。これは ROSAT 衛星の観測で判明したもので、彗星のコマから非常に強いX線放射が観測された (Glanz 1996)。彗星からのX線放射が観測されたのはこれが初めてだったが、間もなく研究者はほぼ全ての彗星がX線を放射していることを発見した。百武彗星からのX線は核を取り囲む三日月状の領域で最も強く、この三日月形の端は太陽の反対方向を向いていた。 このX線放射の原因は、いくつかのメカニズムが複合していると考えられている。太陽からのX線を天体が反射する現象は月のような他の太陽系天体でも見られるが、百武彗星のX線フラックス全体を太陽X線の反射で説明することはできないと思われている。彗星の希薄なコマではX線を十分に反射することができないためである。太陽風に含まれる高エネルギー粒子が彗星物質と相互作用してX線を放射するという過程も、彗星からのX線の多くに寄与する有力な候補と考えられている。2000年にチャンドラ衛星によって行われたLINEAR彗星の観測で、この彗星から観測されるX線の大部分は太陽風に含まれる窒素及び酸素のイオンと彗星のコマに含まれる中性水素原子との衝突による荷電交換反応で生成した励起イオンから放射されていることが明らかになった。
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