WTCツインタワー両棟崩壊による健康被害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 23:59 UTC 版)
「アメリカ同時多発テロ事件」の記事における「WTCツインタワー両棟崩壊による健康被害」の解説
現場はワールドトレードセンターの鉄骨に吹き付けられていた石綿(アスベスト)やツインタワー内にあったコンピュータや蛍光灯からの水銀、ベンゼンをはじめとする火災により発生した多環芳香族炭化水素化合物等の危険な粉塵も含まれており、救難活動を行った犬が次々に死に、肺に障害を訴える人が続出していた。しかし、アメリカ政府はそれを否定し、十分なデータの裏付けもないのにEPAも「空気は安全」と報知したことから、安全よりもニューヨークの復旧作業といち早いウォールストリートの営業の再開を優先したのではないかという疑惑も挙がっている。これに対して、EPA監査局はホワイトハウスの環境諮問委員会からの圧力で安全宣言の発表に至ったという報告書を2008年8月に発表している。これによると、EPAの安全宣言はアスベストの含有量の数値など実際のサンプルがあったにも関わらず、曖昧な表現に書き換えられた形跡もあるという。 現場で救助作業などにあたった人では、安全宣言により防塵マスクを付けなかったため、健康被害が拡大された可能性も指摘されている。このような作業員や消防士、住人を含めテロ発生時またはその直後に現場近辺にいた人では、肺疾患や白血病、癌などの発生が報告されており、医療機関などにより粉塵被害との因果関係が追跡調査されている。特に消防士では、精巣癌や非ホジキンリンパ腫、前立腺癌、多発性骨髄腫になるリスクが有意に高いとする論文も発表されている。約3000人の作業員に対する追跡調査では、28%の人で肺機能に何らかの異常が認められている。 ニューヨーク市警察(NYPD)など法執行機関においても、多数の警察官がテロ事件に関連した疾病(9/11 related illness)で死亡している。2016年8月までの警察官及び法執行官の死者数は110名。内訳以下の通り。 ニューヨーク市警察:99名 港湾公団警察:1名 ナッソー郡警察:1名 アメリカ動物虐待防止協会警察部:1名 ニューヨーク市立大学警察部:1名 ヨンカーズ市警察:1名 アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局 (ATF):1名 連邦保安官:1名 ピークスキル市警察:1名 ニューヨーク州警察:1名 ニューヨーク郡地方検事付捜査官:1名 ヴァージニア州・アーリントン郡警察1名 2011年1月、健康被害を受けた消防士や警察官らに医療費補償など約42億ドルを支給する法案が成立した
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