WTOの発足と1947年のGATTの終焉
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「関税及び貿易に関する一般協定」の記事における「WTOの発足と1947年のGATTの終焉」の解説
ウルグアイラウンドの結果、WTOが1995年1月1日に発足し、GATTはWTOへ移行することになった。しかしWTOの発足時点でWTO協定を受諾した国は76カ国及びEUにとどまり、1947年のGATTの加盟国の128の約6割にとどまっていた。 1947年のGATTはそのままの内容でWTO協定の一部となったが、法的には1947年のGATTは、1994年のGATTとは別個のものであるため、WTOに加盟をしていない1947年のGATTの締約国との関係を維持するために、WTOに加盟した国も1947年のGATTに暫時留まる必要があった。 しかしまたWTO発足後、旧体制である1947年のGATTがいつまでも存在することは好ましくないとの認識は各国の共有するところであった。そのため1994年12月8日の1947年のGATTの締約国団・WTO準備委員会は、1947年のGATTをWTO発足後1年、すなわち1996年1月1日に終了させる決定をした。この決定は、予期せざる自体が発生した場合、終了の日を1年以内の期間で延長することができる規定を含んでいたが、1995年12月12日の1947年のGATTの締約国団による第51回GATT総会は延長を行わず、1994年の決定どおり1996年1月1日に終了させることとした。こうして1947年のGATTは、WTO発足後1年で法的に消滅した。 また東京ラウンド諸協定についても、WTO協定附属書1Aに新たに含まれたものと東京ラウンド当時のものが並存していたが、これらの協定についても各協定の委員会で1996年1月1日に終了することが決定された。 東京ラウンド諸協定のうち、WYO附属書4となる、民間航空機貿易に関する協定及び 政府調達に関する協定については、別途の扱いとなった。民間航空機貿易に関する協定は、改正交渉が妥結しなかったため、東京ラウンドで作成された協定がそのままWTO協定附属書4に添付された扱いになった。政府調達に関する協定については、新協定が1996年1月1日に発効することにより東京ラウンドにおける協定の適用が終了した。 WTOと1947年のGATT及び東京ラウンド諸協定が並存する場合の法的問題(例えば、農業の関税化に伴う関税の引き上げをWTOにまだ加盟していない1947年のGATTの加盟国に適用可能か)については、1994年12月8日の1947年のGATTの締約国団・WTO準備委員会の決定(さらに東京ラウンド諸協定についてはその後の各協定の委員会の決定)で、 WTOの加盟国は、1947年のGATTに合致していない措置であってもWTO協定上の措置を採用できる。 WTO協定の加盟国は、1947年のGATTにのみ留まる国に対してウルグアイラウンドの成果を適用しないことができる。 WTO協定加盟国にたいする紛争案件については1947年のGATTの規定を適用せず、WTOに一本化する。 として法的問題を解決した。
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