Self-helpとは? わかりやすく解説

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セルフ‐ヘルプ【self-help】

読み方:せるふへるぷ

自立自助


セルフヘルプ

(Self-help から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/03/07 03:11 UTC 版)

セルフヘルプ: self-help)、自助(じじょ)とは、専門家の助けを借りず、自身の問題を当事者で解決することである[1]

概要

古くから、白隠禅師の丹田呼吸法[2]、精神科医フーゴ・パウル・フリードリヒ・シュルツによる自律訓練法などは用いられてきたが[3]、1942年には精神分析を自分で行う『自己分析』が出版され[4]、派生的に交流分析が提唱されている。また1950 - 1960年代には様々な自助グループが組織されてきた。

近年では、認知行動療法の科学的根拠の蓄積から、認知行動療法に関心が集まっている。その最初のものであるアルバート・エリス論理療法は、セルフヘルプ向けの書籍を発行している。さらに特定の精神障害に向けた様々な認知行動療法のセルフヘルプマニュアルが発行されている。マインドフルネス認知療法は、瞑想的な技法だが、自助的な書籍も出版されている[5]。そうしたものは書名に「ワークブック」の名を含んでいる場合がある。元気回復行動プランは当事者の実体験の蓄積から発生したセルフヘルプである。通常、WRAPクラスというセルフヘルプグループで勉強会が行われている[6]

瞑想や催眠

人々は昔から自らの力を利用してきた。

催眠の分野では、ドイツの精神科医フーゴ・パウル・フリードリヒ・シュルツによる自律訓練法、それを日本向けにした自己調整法などがある。

白隠禅師と呼ばれる白隠慧鶴(はくいんえかく)による『夜船閑話』(やせんかんわ)における丹田呼吸法や、雑念によって就寝が妨げられる場合には、軽い雑談や数を数える、念仏を唱えるなどして雑念を牽制するなどに言及されている[2]

精神分析

1942年には、新フロイト派の精神科医カレン・ホーナイによる『自己分析』(self-analysis)が出版され[4]、限界はあるものの自分で精神分析を行うという内容である。

あるいは、精神分析から派生するエリック・バーン交流分析もある。エゴグラムなどは自分を自分で把握する手がかりである。

心理学

自尊心、自己イメージは自分で育てることが可能であり、『自信を育てる心理学 「自己評価」入門』のようなセルフヘルプのための本が出版されている[7]

心理的な問題の一部を自らで解決したものとして、公開されているものが「サヨナラ・モンスター」である。この方法は、認知トライアングルの「思考」「感情」「行動」のうち、「書くこと」を通して「感情」に働きかけながら「認知」を変えていく方法である。「感情」を入り口にして、新しい解釈や視点を手に入れて、深い部分の認知に働きかけて、認知の歪み10パターンの「マイナス化思考」を中心に働きかけていくセルフヘルプの方法である。うつ病の認知療法の創始者である精神科医アーロン・ベックの弟子であるデビッド・D・バーンズによれば、認知の歪みの10パターンのうち「マイナス化思考」が最もたちが悪いとされている。この最もたちが悪い「マイナス化思考」を自ら修正することで、心理的な問題の一部が解決されたとして公開されたのである。

自助グループ

自助グループ(self-help groups)には、例としてアルコホーリクス・アノニマス(AA、アルコール依存者匿名会)がある[8]。特にそのプログラムである12ステップのプログラムからは、回復(リカバリー)、機能不全家庭共依存などの新しい概念用語を生み出している[9]

患者会(患者団体)犯罪被害者の会、遺族の会、精神障害者の会など、特定の困難問題心の傷を抱えた当事者たちが、自らの現状を自らで修正、改善する意思をもって集い、活動をするものである。

来談者中心療法カール・ロジャースも、エンカウンターグループという方法を提唱し、ファシリテーターという進行役を入れるが、基本的には自分たちで答えを見出していくという発想である。

こうした動きは、1950 - 1960年代の人間性心理学が全盛期を迎え、自らによって回復していくという概念を進展させ、現在ではそうした自助グループは多く組織されている。

ピアサポートというのは、同じ精神的問題を抱える者同士での対話である。

認知行動療法

アルバート・エリス論理療法アーロン・ベック認知療法認知行動療法と呼ばれる大きな流れに発展した。認知行動療法は、近年、有効性の科学的根拠が蓄積されて注目されており、12回とか16回のセッションで終了する比較的短期の構成であり、より長い年月を要するような精神分析とは異なる。

こうした認知行動療法を自分で行うための、自己記入式のセルフヘルプ・マニュアルは、うつ病向けの『いやな気分よ、さようなら』『こころが晴れるノート』、境界性パーソナリティ障害向けの『自傷行為とつらい感情に悩む人のために』、不眠症向けの『4週間でぐっすり眠れる本』『サヨナラ・モンスター』など様々な心理的な問題に対して出版されている。ワークブックなどと呼ばれ、書名にこの単語を含んでいる場合もある。コンピューターCBTと呼ばれる、コンピュータープログラムとの対話型プログラムも欧米では用意されている場合がある。近年では生成AIを用いて、スマートフォンアプリ通して認知行動療法における認知再構成を支援するサービスも登場しており『Peaceful』など無償で利用できるサービスの活用が可能となっている。

SMARPPは日本人向けに開発され、認知行動療法の志向を持つ薬物依存症の治療プログラムだが、これもワークブックが出版されている[10]

マインドフルネス認知療法は、瞑想的な技法だが、自助的な書籍も出版されている[5]

WRAP(元気回復行動プラン)はアメリカのメアリー・エレン・コープランドにより開発された技法で、書籍も出版されている。

脚注

  1. ^ Self-help”. Psychology Dictionary. 2014年12月1日閲覧。
  2. ^ a b 杉田直樹『神経性不眠症 臨床医学講座第42号』金原商店、1936年、48-49、52頁。 
  3. ^ J・H・シュルツ、成瀬悟策『自己催眠』(増訂版)誠信書房、1987年。ISBN 978-4414401103 
  4. ^ a b カレン・ホルネイ、(翻訳)霜田静志『自己分析―精神分析は自分でできる』誠信書房、1961年。 カレン・ホーナイ、(翻訳)霜田静志、國分康孝『自己分析―精神分析は自分でできる』(新装版)誠信書房、1995年。 ISBN 978-4414427059 self-analysis, 1942
  5. ^ a b マーク・ウィリアムズ、ジョン・ティーズデール、ジンデル・シーガル、ジョン・カバットジン、(翻訳)越川房子、黒澤麻美『うつのためのマインドフルネス実践ー慢性的な不幸感からの解放』星和書店、2012年。 ISBN 978-4-7911-0826-8 
  6. ^ WRAP(元気回復行動プラン)が大切にしていること(専門職)”. 地域精神保健福祉機構. 2016年12月1日閲覧。
  7. ^ ナサニエル・ブランデン 著、手塚郁恵 訳『自信を育てる心理学 「自己評価」入門』春秋社。 ISBN 4-393-36621-2  (新装版2013年 ISBN 978-4393366400) How to raise your self-esteem by Nathaniel Branden, 1992.
  8. ^ Self-help”. Psychology Dictionary. 2014年12月1日閲覧。
  9. ^ Micki McGee. Self-Help, Inc.: Makeover culture in American Life (Oxford 2005) p. 188.
  10. ^ 松本俊彦、今村扶美著『SMARPP-24物質使用障害治療プログラム』金剛出版、2015年。 ISBN 978-4-7724-1430-2 

関連項目

外部リンク


自助論

(Self-help から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/02/05 01:13 UTC 版)

『自助論』(じじょろん)
『西国立志編』(さいこくりっしへん)
Self-Help; with Illustrations of Character and Conduct[1]
ジョージ・リードによるサミュエル・スマイルズの肖像画
著者 サミュエル・スマイルズ
訳者 中村正直竹内均齋藤孝山本史郎渡部昇一・宮地久子、金谷俊一郎
発行日 1859年(初版)/1866年(第2版)
発行元 ジョン・マレー
英国
言語 英語
前作 The Life of George Stephenson
次作 Brief Biographies
コード ISBN 4-06-158527-4
ウィキポータル 文学
ウィキポータル 自己啓発
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自助論』(じじょろん、英語: Self-Help)は、1859年発行のサミュエル・スマイルズ著の自己啓発書である。300人以上の欧米人の成功談を集め論じたものであり、自己啓発書の原点である[2][3][4]

概要

1859年にジョン・マレー社より出版された。序文の「天は自ら助くる者を助く」という言葉は有名である。

西国立志編

当時幕府の留学生だった中村正直が自助論を翻訳、『西国立志編』として1871年(明治4年)7月に日本で発売された[5]。これは明治時代の終わりごろまでに100万部以上を売り上げた。

構成

  1. 邦国および人民のみずから助くることを論ず
  2. 新械器を発明創造する人を論ず
  3. 陶工三大家、すなわちパリッシーベットガーウェッジウッド
  4. 勤勉して心を用うること、および恒久に耐えて業をなすことを論ず
  5. 幇助、すなわち機会を論ず、ならびに芸業を勉修することを論ず
  6. 芸業を勉修する人を論ず
  7. 貴爵の家を創めたる人を論ず
  8. 剛毅を論ず
  9. 職事を務むる人を論ず
  10. 金銭の当然の用、およびその妄用を論ず
  11. みずから修むることを論ず、ならびに難易を論ず
  12. 儀範(また典型という)を論ず
  13. 品行を論ず、すなわち真正の君子を論ず

教科書への使用

1872年に学制が公布されると、『西国立志編』は教科書として使用されるようになった。しかし1880年に当時の文部省が、君民一体、共和政治を志向する点で翻訳書を不適当とする。そして1883年に文部省が教科書を許可制にしたため、『西国立志編』は教科書として使用できなくなった。

単行本

  • スマイルス 著、中村正直 訳『スマイルス自助論 西國立志編』柳田泉 校訂、冨山房〈冨山房百科 18〉、1938年7月。 
  • サミュエル・スマイルズ 著、中村正直 訳『西国立志編』渡部昇一 解説、講談社〈講談社学術文庫 527〉、1981年1月10日。ISBN 978-4-06-158527-0 
  • サミュエル・スマイルズ『スマイルズの世界的名著 自助論――深く考える習慣が、自分の限界を破る!』竹内均、三笠書房〈知的生きかた文庫〉、2002年。 ISBN 4-8379-7239-X 
  • サミュエル・スマイルズ『スマイルズの世界的名著 自助論――人生の師・人生の友・人生の書』竹内均、三笠書房、2003年。 ISBN 4-8379-5630-0 
  • サミュエル・スマイルズ『みずから運命の扉を開く法則 自助論Self-Help 完全現代語訳』齋藤孝、ビジネス社、2007年9月。 ISBN 978-4-8284-1376-1 
  • サミュエル・スマイルズ『富と品格をあわせ持つ成功法則 自助論Self-Help 完全現代語訳』齋藤孝、ビジネス社、2007年9月。 ISBN 978-4-8284-1377-8 
  • サミュエル・スマイルズ『イギリス流大人の気骨――スマイルズの『自助論』エッセンス版』山本史郎、講談社、2008年4月。 ISBN 978-4-06-214557-2 
  • サミュエル・スマイルズ『自助論 西国立志編 努力は必ず報われる』 上、中村正直訳、渡部昇一・宮地久子 現代語訳、幸福の科学出版、2009年10月。 ISBN 978-4-86395-000-9 
  • サミュエル・スマイルズ『自助論 西国立志編 努力は必ず報われる』 下、中村正直訳、渡部昇一・宮地久子 現代語訳、幸福の科学出版、2009年10月。 ISBN 978-4-86395-001-6 
  • サミュエル・スマイルズ『君たちは、どう生きるか スマイルズ『自助論』 きょうは「運命」が開ける日!』齋藤孝訳・責任編集、イースト・プレス、2010年4月。 ISBN 978-4-7816-0369-8 
  • サミュエル・スマイルズ『現代語訳 西国立志編 スマイルズの『自助論』』中村正直訳、金谷俊一郎現代語訳、PHP研究所〈PHP新書856〉、2013年3月15日。 ISBN 978-4-569-80119-3 

国立国会図書館デジタルコレクション

  • 斯邁爾斯 (スマイルス)『西国立志編 原名・自助論』 全8冊、中村正直 訳、木平愛二 ほか、1871年7月。NDLJP:1080981 NDLJP:1080986 NDLJP:1080990 NDLJP:1080991 NDLJP:1080993 NDLJP:1080995 NDLJP:1080996 NDLJP:1080998 
  • 斯邁爾斯 (スマイルス)『改正 西国立志編 原名・自助論』中村正直 訳、木平愛二 ほか、1876年10月24日。NDLJP:755558 
  • 斯邁爾斯 (スマイルス) 原著『仮名読改正 西国立志編』 全3編、中村正直 原訳、中村秋香 和解、有終堂、1882年12月。NDLJP:755565 NDLJP:755566 NDLJP:755567 
  • 斯邁爾斯 (スマイルス)『西国立志編 原名・自助論』中村正直 訳、秋元房治郎、1886年11月。NDLJP:755559 
  • 斯邁爾斯 (スマイルス)『西国立志編 原名・自助論』中村正直 訳(4版)、自由閣、1887年11月(原著1887年1月)。NDLJP:755637 
  • 斯邁爾斯 (スマイルス)『自助論 一名・西国立志編』中村正直 訳、銀花堂、1888年1月。NDLJP:755638 
  • 斯邁爾斯 (スマイルス)『西国立志編 原名・自助論』中村正直 訳、文事堂、1888年4月7日。NDLJP:755562 
  • 斯邁爾斯 (スマイルス)『西国立志編 原名・自助論』中村正直 訳、川勝鴻宝堂、1888年7月10日。NDLJP:755563 
  • 斯邁爾斯 (スマイルス)『自助論 一名・西国立志編』中村正直 訳、偉業館、1888年11月7日。NDLJP:755639 
  • 斯邁爾斯 (スマイルス)『改正 西国立志編 原名・自助論』中村正直 訳、博文館、1894年7月12日。NDLJP:755564 
  • 斯邁爾斯 (スマイルス)『西国立志編 原名・自助論』 上・下、中村正直 訳、共同出版〈公民文庫 第2〉、1909年。NDLJP:755640 NDLJP:755641 
  • 斯邁爾斯 (スマイルス)『西国立志編 原名・自助論』中村正直 訳述、脇阪要太郎 校訂、田中宋栄堂、1910年9月17日。NDLJP:755642 
  • Samuel Smiles『改正 西国立志編 原名 自助論』中村正直 訳述(17版)、博文館、1916年10月20日(原著1915年2月18日)。NDLJP:1907628 

脚注

  1. ^ 第2版の書名は、Self-Help; with Illustrations of Character, Conduct and Perseveranceである。
  2. ^ 自分の力で人生を切りひらく!こども自助論”. 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア. 2025年9月2日閲覧。
  3. ^ 株式会社ローソンエンタテインメント. “みずから運命の扉を開く法則 自助論Self‐Help 完全現代語訳”. HMV&BOOKS online. 2025年9月2日閲覧。
  4. ^ 富と品格をあわせ持つ成功法則 自助論self-help完全現代語訳”. 楽天ブックス. 2025年9月2日閲覧。
  5. ^ なお翻訳したのは初版ではなく、1867年の増訂版だった。

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