RS-274-D
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 23:18 UTC 版)
「ガーバーフォーマット」の記事における「RS-274-D」の解説
初期のガーバーフォーマットであるRS-274-D は2D のNC(数値制御)マシンとも言うべきベクトル式フォトプロッター(英語版)に用いるサブセットである。後に登場するRS-274Xが拡張ガーバーフォーマットと呼ばれることから、こちらは標準ガーバーフォーマットとよばれている。シンプルなASCIIフォーマットで、コマンドとX/Y座標から構成される。 D11*X1785250Y2173980D02*X1796650Y2177730D01*X1785250Y2181480D01*X1796650Y2184580D01*D12*X3421095Y1407208D03*X3422388Y1406150D03*M02* RS-274-Dは、ベクトル式のフォトプロッターを動かす目的で1960年代~1970年代に開発されたが、現在、フォトプロッターは全てラスター式に置き換わった。RS-274-Dファイルは、それ自体が画像を描写しているわけではない。座標情報やアパーチャ(基本的な形状物。PDFファイルにおけるフォントのようなもの)の定義情報は持ってはいない。座標情報やアパーチャは、プロッターを操作するオペレーターの手でマニュアル設定することが前提であった。一般的に自由書式のテキストファイルに記述し、これが「アパーチャファイル」や「ホイールファイル (wheel file)」のように呼ばれていた。このアパーチャファイルは人が読むことを前提としただけで、標準規格はなかった。このため、EDAソフトウェア(英語版)毎もしくは設計者毎に、独自のレイアウトや独自の命名規則でアパーチャファイルを作成し、基板製造サイドではそれを解読しマニュアルで自分達のCAMシステムに入力しなければならなかった。 RS-274-Dが持つ画像化の演算子は、数が少なく、とてもシンプルなものだけだったので、人の手によって、描画 ( 塗りやベクトル埋め込み ) などのような複雑で厄介な基板構造化作業が不可欠であった。 RS-274-Dはベクトル式プロッターを動かすのに適し、当時の技術では制限があるが有効なフォーマットだったといえる。人手を介するワークフロー向けに設計されているので、基板設計者から製造サイドへの確実な自動データ転送には不向きであった。 RS-274-DはあくまでNC(数値制御)に適した規格であって、画像描写に適した規格ではなかった。従って、アパーチャファイルなしでは成り立たなかった。しかしそのアパーチャファイルに規格がなく、次第にRS-274-Dは革新が求められることになっていく。
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