OJTの成果と課題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 19:50 UTC 版)
「オン・ザ・ジョブ・トレーニング」の記事における「OJTの成果と課題」の解説
日本の大企業における特に新入社員教育では、一定期間の集合研修を経てOJTへ導入する形式を採ることが多い。また専門的な職務能力を要する職種の場合は、企業規模を問わず一人の新入社員に一人の先輩が指導者として割り当てられ実務を進めながら指導する。指導者の指名については該当者の業務実績以上に指導力を考慮する必要があり、特に指導力は新入社員のその後の運命すら左右する可能性がある。 厚生労働省の「平成29年度能力開発基本調査」では、正社員に対する重視する教育訓練については、OJTを重視する又はそれに近いとする企業は71.2%(前回の同調査では74.6%)、off-JTを重視する又はそれに近いとする企業は27.5%(同24.1%)であり、日本においては若干減少傾向にあるもののいまだOJTが重視されていることが見て取れる。また正社員に対して、平成28年度に計画的なOJTを実施した事業所は63.3%(同59.6%)、正社員以外に対して、平成28年度に計画的なOJTを実施した事業所は30.1%(同30.3%)であり、正社員に比べると半分以下の水準にとどまっている。 OJTの成果は「実務の中で仕事を覚える」ことにより「OJTの成果が仕事の成果になる」など、研修の成果が業績に反映される。いわば「新入社員の成長」と「企業の業績向上」という、一石二鳥が期待できる。ただし指導者となった先輩に指導力が伴わない場合、新入社員の能力向上どころかその可能性の芽を摘んでしまう。そのため指導者への課題として「どの分野は誰が詳しい」といった情報を新入社員に伝えるなど、職場内でのコミュニケーションの指導にも配慮が求められる。また企業によってはいきなり業務を行わせ、いざという時のフォローだけ行うことをOJTと称することがある。指導する側の指導やチェックが確実に行われ指導される側が報告義務を欠かさなければ成果を出せるが、指導する側・される側のどちらかに問題があれば成果は期待できない。 「平成29年度能力開発基本調査」では、能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所は75.4%(同72.9%)、能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所のうち、問題点の内訳は、「指導する人材が不足している」(54.2%)が最も高く、「人材育成を行う時間がない」(49.5%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(47.8%)と続いている。 結局、OJTの要諦は意図的・計画的・継続的の3つであり、これを欠くものは本来のOJTではない。
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