根尾川とは? わかりやすく解説

根尾川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/19 06:53 UTC 版)

根尾川
水系 一級水系 木曽川
種別 一級河川
延長 47 km
平均流量 31.26 m³/s
(山口観測所 2013年[1]
流域面積 389 km²
水源 能郷白山(岐阜県・福井県
水源の標高 1,617 m
河口・合流先 揖斐川(岐阜県)
流域 岐阜県
テンプレートを表示
根尾川(古根尾川)
水系 一級水系 木曽川
種別 一級河川
延長 4.5 km
河口・合流先 伊自良川(岐阜県)
流域 岐阜県
テンプレートを表示
現在の瑞穂市(着色部)周辺河川の位置関係図

根尾川(ねおがわ)は、木曽川水系の一級河川岐阜県本巣市を流れる。揖斐川を経て伊勢湾に至る木曽川の2次支川[2][3]

地理

岐阜県本巣市(旧根尾村)の能郷白山を水源とする「根尾西谷川」と、左門岳を水源とする「根尾東谷川」が旧根尾村の樽見地区で合流して「根尾川」となる[4]。根尾川全体の源流は根尾西谷川の「本巣市根尾大字黒津字コハ谷678番地」と定められており、岐阜県の河川調査では根尾西谷川を単に「根尾川」として記載し、根尾東谷川を支流として扱っている[5]河川法における河川区間は、根尾西谷川の源流から揖斐川合流点までの47.237キロメートル[5]

上流部・中流部

上流部は越美山地を深く侵食した「根尾谷」と呼ばれる谷を流れるが、越美山地は断層が発達しているため根尾川の流路も断層に支配されている部分が多く、特に東西谷川の合流点から旧根尾村の平野部付近までは根尾谷断層に沿う断層谷となっている[4]。この付近では河岸段丘や沖積平地も発達することから集落や耕地も根尾川沿いに立地し、国道157号岐阜県道255号樽見鉄道樽見線など主要交通路も根尾川沿いに整備されている[4]

旧根尾村の平野部を抜けると、北西から南東へと伸びる山地を越えるために蛇行した流路をとる[4]

下流部

現在席田用水の取水口が設けられている本巣市山口付近で濃尾平野に出ると、本巣市海老・本巣市下真桑・北方町北方付近を末端とする面積30平方キロメートル傾斜率5度の大規模で緩やかな扇状地が広がっており、根尾川は古くから洪水を起こしてはこの扇状地上で幾度も河道を変えて分流を繰り返した[4][6]。現在の根尾川下流部はかつて藪川とも呼ばれた派川の1つで、本巣市山口からやや西寄りに南流して揖斐川へと合流する[4]

この揖斐川に合流する根尾川とは別に、岐阜市曽我屋付近には長良川支流の伊自良川に合流する「古根尾川」とも呼ばれるもう1つの根尾川が存在する[4][6]。これは現根尾川以前の下流部河道の名残の1つであり、古根尾川が根尾川本流から切り離された後に席田用水や真桑用水の一部などに改修され、手付かずのままだった長良川への合流部が残ったものである[4][6]

流域の画像

歴史

木曽川上流改修工事前後の河道比較。青線部が拡幅・線形改善などが行われた箇所、緑線部が新規開削箇所、赤線部が廃川など。
明治時代初期の根尾川と周辺河川の位置関係、および周囲に形成された輪中の分布図

かつての根尾川本流は本巣市山口から東に流れ、岐阜市西郷や黒野を経て長良川へと合流する流路をとっていた[6]。この流れが前述した「古根尾川」に相当するが、この当時の犀川は山口で根尾川から分岐する派流であった[6]

古代が制定されると本巣郡と大野郡が犀川によって分けられたことから、この頃までに根尾川本流は犀川筋に移ったとも推定され[6]奈良時代に発生したとされる洪水で根尾川本流は現在の糸貫川筋へと移る[7][8]

1530年(享禄3年)の大洪水で揖斐川が大きく河道を変えるが、この洪水によって根尾川では「藪川」が生じるとともに、犀川への分派口が塞がれるといった大きな変化があった[6]。藪川はそのまま南進して揖斐川に合流し、糸貫川は依然として長良川へ合流していたため、根尾川は揖斐川・長良川両方の支流となった[6]。なお、この藪川は真桑方面の用水路の取水口を破って生じたとも伝えられるが、正確には分かっていない[6]

藪川の出現により根尾川の本流は藪川へと移り、水量が減った糸貫川は扇状地中央部で水無川となることが増えたため、木曽川上流改修工事の付帯工事で1944年(昭和19年)に根尾川から糸貫川への分派口が締め切られた[9][10]。また、1964年(昭和39年)に制定された河川法建設省(現在の国土交通省)が一級河川を指定した際に、上流「根尾川」と下流「藪川」を揖斐川支流の「根尾川」に統一して指定し、現在では「藪川」の名称は使用されていない[4]

主な支流

一級河川のみ、下流側から順に記載[5]

  • 花田川
  • 三水川
  • 管瀬川
  • 府内川
  • 根尾東谷川

主な橋

根尾川(根尾西谷川)・概略図
能郷白山
国道157号
根尾東谷川
岐阜県道255号(開運橋)
樽見鉄道樽見線
根尾谷断層
樽見鉄道樽見線
国道157号日当平野バイパス(城山橋)
国道157号日当平野バイパス(日当大橋)
樽見鉄道樽見線
府内川
樽見鉄道樽見線
岐阜県道40号谷汲山大橋
管瀬川
岐阜県道40号(万代橋)
席田用水取水口
岐阜県道78号大野橋
国道303号薮川橋
岐阜県道159号真大橋
岐阜県道53号根尾川大橋
三水川
花田川
岐阜県道92号下座倉大橋
揖斐川

かつての橋

  • 薮川橋梁(名鉄揖斐線[11](現在は撤去されており、川のコンクリート護岸が新しくなっているところから位置を推測できるのみ)

施設

上大須ダム

根尾西谷川沿いの国道157号線と猫峠林道が合流する地点にはかつて本巣郡の大河原村が存在し、下河原谷第1砂防堰堤[12]がある。

根尾東谷川の上流の上大須には中部電力奥美濃水力発電所があり、150万キロワットの出力は中電の水力発電所として最大の規模である。

脚注

  1. ^ 流況表/山口(やまぐち)”. 水文水質データベース. 国土交通省水管理・国土保全局. 2016年1月10日閲覧。
  2. ^ 国土交通省中部地方整備局. “河川コード台帳(河川コード表編)” (PDF). 2022年11月14日閲覧。
  3. ^ 国土交通省中部地方整備局. “河川コード台帳(河川模式図編)” (PDF). 2022年11月14日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i 根尾川【ねおがわ】”. 角川日本地名大辞典 オンライン版. 2022年10月13日閲覧。
  5. ^ a b c 岐阜県 (2021年4月1日). “河川調書” (PDF). 2022年10月7日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i 国土交通省 中部地方整備局. “KISSO Vol.60” (PDF). 2022年9月1日閲覧。
  7. ^ 国土交通省 中部地方整備局. “KISSO Vol.79” (PDF). 2022年11月9日閲覧。
  8. ^ 国土交通省 中部地方整備局. “KISSO Vol.120” (PDF). 2022年9月1日閲覧。
  9. ^ 糸貫川【いとぬきがわ】”. 角川日本地名大辞典 オンライン版. 2022年10月13日閲覧。
  10. ^ 国土交通省 中部地方整備局. “KISSO Vol.20” (PDF). 2022年11月10日閲覧。
  11. ^ 鈴木裕「線路と保線」『鉄道ピクトリアル』第624巻、電気車研究会、1996年7月、51頁。 
  12. ^ 下河原谷第1砂防堰堤の竣工式を開催”. 国土交通省. 2020年8月30日閲覧。




固有名詞の分類

このページでは「ウィキペディア」から根尾川を検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書から根尾川を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
 全ての辞書から根尾川を検索

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「根尾川」の関連用語

根尾川のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



根尾川のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの根尾川 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS