MT普及率の低下による影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 15:10 UTC 版)
「マニュアルトランスミッション」の記事における「MT普及率の低下による影響」の解説
東アジア、北米、中東、東南アジア、豪州などはAT車が主流となり、次のような状態が発生している。 MTが用意されている車種が減少し、多くの車種・クラスでMT車を選びたくても選べないほどにまでなっている。2019年現在、車種の時点でAT専用車が多数を占めており、そのためクラス・グレード云々問わず既にAT車・CVT車しかないのが現状である。よく似た境遇でガラケー(フィーチャーフォン)とスマホ(スマートフォン)の関係が正にこれと当てはまり、ガラケーがMT車、スマホがAT車・CVT車と揶揄されることも少なくない。近年では乗用車のAT化の進行の影響を受ける形で、それとプラットフォームを共用するステーションワゴン型ライトバンにおいてもMTが廃止されている。例えばヴィッツがベースであるプロボックス/サクシードが2014年夏にビッグマイナーチェンジを受けた際に全車CVTとなり、商用バンからMT仕様が消滅した(ヴィッツのMT車は一時期設定がなかった時期があるが、現在も設定が存在する)。 かつては同一車種の同一グレードで比較した場合、AT車はMT車よりも高額であったが、AT車の普及により価格差が少なくなり、MT車とAT車の価格差がない場合が多い。逆に量産効果でATの方が安くなる場合もあり、たとえば、ダイハツ・コペンの場合、2010年のマイナーチェンジでMT車のほうがAT車よりわずかながら高くなった。またフィットRSの場合、トランスミッション以外の装備の差も含めて、MT車のほうがCVT車より20万円以上高く設定された時期があった。一方近年のトヨタ車(カローラやヤリス)はMT仕様の方が価格が安く設定されている。 自動変速技術の向上、自動変速に連動させたエンジン回転数、燃料噴射などの制御技術など変速機以外の技術向上によって、総合面での効率上のMTの優位は小さくなり、近年ではほぼ逆転している。2019年時点ではほとんどの車種においてAT、またはCVTの方が燃費が良い。一例としてトヨタ・カローラスポーツの1,200ccガソリンターボエンジン搭載車の2WDモデル(NRE210H)の燃費は、CVTは16.4km/Lであるのに対し、6速MT車は15.8km/Lである(いずれもWLTCモード)。 かつてはスポーツカーはMTを搭載するのが一般的であったが、高速域でクラッチを切り変速することは危険を伴うため、日産・GT-R、ホンダ・NSX、トヨタ・スープラなど大排気量スポーツカーはモデルチェンジの末にATまたはDCTのみとなっている。フェラーリやランボルギーニもMTを廃止している。またF1をはじめとしたプロ向けレーシングカーでも、MTのクラッチ操作を自動化したセミATが主流になっている。一方で、スバル・WRX VAやポルシェ・ケイマン、マツダ・ロードスターのようにMTを残すスポーツカーも存在する。
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