グリーグ:抒情小品集 第2集
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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グリーグ:抒情小品集 第2集 | Lyriske stykker No.2 Op.38 | 作曲年: 1883年 出版年: 1883年 初版出版地/出版社: Peters |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | 子守歌 "Vuggevise" | 3分00秒 | |
2 | 民謡 "Folkevise" | 2分00秒 | |
3 | メロディー "Melodie" | 2分30秒 | |
4 | ハリング "Halling" | 1分00秒 | |
5 | スプリング・ダンス "Springdans" | 1分30秒 | |
6 | エレジー "Elegie" | 3分00秒 | |
7 | ワルツ "Vals" | 1分30秒 | |
8 | カノン "Kanon" | 6分00秒 |
作品解説
1867年、《ピアノ協奏曲イ短調 作品16》で一躍有名になったグリーグは、この年から1901年にかけてこの作品集を書き上げた。生涯にわたって作曲されているため、グリーグの作風、ピアニズム、その変遷すべてがその中にあらわれており、グリーグの作品の中でも中心的な存在にある。
いずれも1分~6分程度のかるめの小品であり、ステージ用というよりは、主にサロンや家庭で広く親しまれていた。いずれの曲も、標題がつけられており、それぞれの曲に対して、一つの感情、気分、情景が表現されている。
1867年、第1集を発表したが、その後ピアノ、作曲、指揮など多忙だったこともあり、第2集が発表されたのは、その16年後であった。第2集から第10集はある一定の間隔をおきながら続けて作曲された。全10巻で、計66曲の作品がおさめられている。
グリーグ : 抒情小品集 第2集 / Lyriske stykker No.2 op.38
大成功をおさめた第1集の出版から16年がたち、芸術家としての成熟がみられる時期に書かれた作品である。
1.子守歌 / op.38-1 "Vuggevise"
左手のゆりかごのようなリズムにのせて、右手で優しい旋律が愛情深く歌われる。中間部では曲想が変わり、ノルウェーの舞曲風の部分がみられる。
2.民謡 / op.38-2 "Folkevise":ノルウェー舞曲の、はずむようなリズムが終始貫かれている。左手は一拍目に、右手は二拍目に強拍があり、演奏には注意が必要。
3.メロディー / op.38-3 "Melodie":断片的であり、シューマン風。穏やかで、優しい雰囲気が非常に魅力的である。掛留があるところでは、緊張感をもって、全体的にハーモニーを意識して奏する。
4.ハリング / op.38-4 "Halling":
歯切れがよく、敏捷な動きをもって奏される。アクセントとテヌートを効果的に。
5.スプリング・ダンス / op.38-5 "Springdans":舞曲のリズムにのせて、おどけたようなリズムをもった旋律が歌われる。ポリリズムでかかれており、また強調がおかれている部分が不規則であるので、それを適確に演奏するのは易しくない。
6.エレジー / op.38-6 "Elegie":タイトルどおり、悲しみが表現されている。長く伸ばされる緊張感のあるE音が印象的に響く。
7.ワルツ / op.38-7 "Vals":ワルツのリズムにのって、悲しげのある旋律が、時々おどけたようなリズムを加えながらで歌われていく。途中で登場するプレストの箇所は、技巧的で激しく、曲の緊張感を一気に高めて効果をあげている。
8.カノン / op.38-8 "Kanon":2つの声部が対話的におかれ、それに伴奏がそえられながら、アジタートへ向かって曲がすすむ。中間部ではピウ・モッソ・トランクイロになり、広大な響きをつくりあげていく。この曲においてもシューマンの影響がみられる。
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