HD 1
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/10 22:00 UTC 版)
HD 1[1] HD 1 |
||
---|---|---|
星座 | ケフェウス座 | |
見かけの等級 (mv) | 7.42[1] | |
分類 | 分光連星、赤色巨星分枝[2] | |
位置 元期:J2000.0[1] |
||
赤経 (RA, α) | 00h 05m 08.8405444488s[3] | |
赤緯 (Dec, δ) | +67° 50′ 23.980501464″[3] | |
赤方偏移 | -0.000091[3] | |
視線速度 (Rv) | −27.77±0.35 km/s[3] | |
固有運動 (μ) | 赤経: 7.480±0.053 ミリ秒/年[3] 赤緯: −5.045±0.050 ミリ秒/年[3] |
|
年周視差 (π) | 2.6680 ± 0.0485ミリ秒[3] (誤差1.8%) |
|
距離 | 1220 ± 20 光年[注 1] (375 ± 7 パーセク[注 1]) |
|
絶対等級 (MV) | -0.4[注 2] | |
HD 1の位置
|
||
軌道要素と性質 元期:JD 245,4518.7±1.8[2] |
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離心率 (e) | 0.50±0.01[2] | |
公転周期 (P) | 2279±69 d[2] | |
近点引数 (ω) | 221.0°±0.6°[2] | |
物理的性質 | ||
半径 | 17.7+3.7 −2.7 R☉[2] |
|
質量 | 3.0±0.3 M☉[2] | |
スペクトル分類 | G9-K0IIIa[2] | |
光度 | 155+59 −38 L☉[2] |
|
有効温度 (Teff) | 4850±100 K[2] | |
金属量[Fe/H] | −0.12±0.09[2] | |
年齢 | 約350×106 歳[2] | |
他のカタログでの名称 | ||
BD+67 1599[1], HIP 422[1], SAO 75788[1], GaiaDR3 528971921686610304[1] | ||
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HD 1は、太陽系から見てケフェウス座の方向約1,220光年の距離にある恒星。225,300個の恒星のスペクトル分類を記載した星表「ヘンリー・ドレイパーカタログ」で、その先頭に掲げられた恒星である。見かけの等級は7.42等と暗いため肉眼で見ることはできない。
特徴
スペクトル分類の「G9-K0IIIa」は、G9型より低温でK0型より高温のスペクトルを持ち、典型的な巨星よりもやや明るい巨星であることを示している[2]。誕生から約3億5000万年が経過しており、既に中心核での水素核融合を終え、主系列を外れて赤色巨星分枝のフェーズまで進化している[2]。分光観測の結果から、公転周期約6.2年、軌道離心率0.50±0.01の軌道を持つ連星系であると考えられている[2]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f g "HD 1". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年9月9日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o Strassmeier, K.G.; Weber, M.; Granzer, T.; Dall, T.H. (2010-04-20). “HD 1: The number-one star in the sky”. Astronomische Nachrichten (Wiley) 331 (4): 368-377. Bibcode: 2010AN....331..368S. doi:10.1002/asna.201011356. ISSN 0004-6337.
- ^ a b c d e f g Gaia Collaboration. “Gaia DR3 Part 1. Main source”. VizieR On-line Data Catalog: I/355/gaiadr3. Bibcode: 2022yCat.1355....0G .
HD1
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 14:46 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動HD1 | |
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|
星座 | ろくぶんぎ座[注 1] |
分類 | 銀河候補 |
発見 | |
発見日 | 2022年4月8日(論文掲載日)[3] |
発見者 | 播金優一、井上昭雄 など[3] |
位置 元期:J2000.0[3] |
|
赤経 (RA, α) | 10h 01m 51.31s[3] |
赤緯 (Dec, δ) | 02° 32′ 50.0″[3] |
赤方偏移 | 13.27[3] |
距離 | 135億光年(見かけの距離)[1] 334億光年(実際の距離)[4] |
物理的性質 | |
質量 | 1 - 100×109 M☉[3] |
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HD1は、ろくぶんぎ座[注 1]の方向にある銀河候補天体である。2022年4月時点で、観測可能な宇宙において地球から最も遠い距離に位置している可能性がある既知の天体として知られている[3][4]。
発見
2022年4月8日、東京大学の播金優一らなどによる国際研究グループのこれまでで最も赤方偏移が大きい銀河候補天体を発見したとする研究結果がアストロフィジカルジャーナルに掲載された[3]。研究グループは、これまでにすばる望遠鏡やVISTA望遠鏡、スピッツァー宇宙望遠鏡などによって得られていた利用可能な合計1,200時間以上に及ぶ観測データに写る70万個以上の天体の中からこの銀河候補天体を発見し、この天体を「HD1」と命名した[1]。また、この研究にて、HD1と同等に地球から離れている可能性がある候補天体としてくじら座[注 1]の方向にある「HD2」と「HD3」という2つの天体も報告しており[3]、HD1と合わせてこれら3つの候補天体はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の第1期観測にて赤外線スペクトル観測が行われる予定となっている[1][4][5]。
距離と明るさ
HD1は、観測可能な宇宙内において最も古く最も遠い距離に位置している可能性のある候補天体である。観測データからの発見当初は、遥かに近いところにある銀河としてカタログ化されていたが、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計 (ALMA) による正確な分光観測の結果、HD1のスペクトル中に見られたイオン化した酸素のスペクトル輝線の赤方偏移が z = 13.27 に達していることが判明した[3][5]。これは2016年に発見され、それ以前まで最も赤方偏移が大きいことが知られていたGN-z11(z = 11前後[6])を上回っており、これに基づくと地球からの見かけの距離は約135億光年(約41億パーセク)に及ぶ[1][3][4][5]。これはGN-z11よりも約1億光年遠く、HD1はビッグバンからわずか3億3000万年後に存在していたことを示している[4][7][8]。現在は宇宙の膨張により、約334億光年離れた場所に位置していることになり、これはGN-z11よりも10億光年以上も遠い[4]。研究グループのメンバーの一人である早稲田大学の井上昭雄によると、この赤方偏移を示すスペクトル輝線の信号の有意度は99.99%であるとしているが、完全に正しいと確信できる99.9999%以上の有意度には達していないという[1]。
HD1の明るさから全体の質量は少なくともGN-z11と同等である太陽の10億倍はあると推定されている[3]。HD1は紫外線波長において非常に明るくみえる。その原因として、HD1が大質量の恒星の星形成が活発なスターバースト銀河またはクエーサーである可能性と、銀河内に存在する活発な超大質量ブラックホールからの物質の放射による可能性が挙げられている[4][8][9]。前者が正しい場合、HD1では毎年100個以上もの恒星が形成されていると推定され、通常のスターバースト銀河よりも10倍以上のペースで星形成が進んでいることになる[8]。これを説明するためにHD1では、高温で大質量であると考えられている種族IIIの恒星が形成されているという可能性が示されている[7][8][10]。後者が正しい場合、赤方偏移を z = 13.3 と仮定すると、その超大質量ブラックホールの質量は太陽の約1億2000万倍に達すると推定されている[9]。これが事実であれば、これまでに発見されていた最も古い超大質量ブラックホールよりもさらに約5億年も古いということになる[8]。しかし、これほどの大質量のブラックホールがどのようにしてビッグバンからわずか3億3000万年という宇宙論的に短い期間で形成されたのかという疑問が残る[4][7][8]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f “135億光年かなたの最遠方銀河の候補を発見”. ALMA望遠鏡 (2022年4月7日). 2022年4月9日閲覧。
- ^ “Finding the constellation which contains given sky coordinates”. DJM.cc (2008年). 2022年4月9日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m Harikane, Yuichi; Inoue, Akio K.; Mawatari, Ken et al. (2022). “A Search for H-Dropout Lyman Break Galaxies at z~12-16”. The Astrophysical Journal 929 (1). arXiv:2112.09141. doi:10.3847/1538-4357/ac53a9.
- ^ a b c d e f g h Crane, Leah (2022年4月7日). “Astronomers have found what may be the most distant galaxy ever seen - A galaxy called HD1 appears to be about 33.4 billion light years away, making it the most distant object ever seen – and its extreme brightness is puzzling researchers/”. New Scientist 2022年4月9日閲覧。
- ^ a b c Carlisle, Camille M. (2022年4月7日). “Are These The Most Distant Galaxies Yet Seen? – Two fuzzy red objects in the early universe may be galaxies shining at us from only a few hundred million years after the Big Bang.” 2022年4月9日閲覧。
- ^ Jiang, L. H.; Kashikawa, N.; Shu, W. et al. (2020). “Evidence for GN-z11 as a luminous galaxy at redshift 10.957”. Nature Astronomy 5: 256-261. arXiv:2012.06936. Bibcode: 2020NatAs.tmp..246J. doi:10.1038/s41550-020-01275-y.
- ^ a b c Overbye, Dennis (2022年4月7日). “Astronomers Find What Might Be the Most Distant Galaxy Yet – Is the object a galaxy of primordial stars or a black hole knocking on the door of time? The Webb space telescope may help answer that question.”. The New York Times 2022年4月9日閲覧。
- ^ a b c d e f Buongiorno, Caitlyn (2022年4月7日). “Astronomers discover the most distant galaxy yet - Unusually bright in ultraviolet light, HD1 may also set another cosmic record.” 2022年4月9日閲覧。
- ^ a b Pacussi, Fabio; Dayal, Pratika; Harikane, Yuichi et al. (2022). “Are the newly-discovered z ∼ 13 drop-out sources starburst galaxies or quasars?”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society Letters slac035. arXiv:2201.00823. doi:10.1093/mnrasl/slac035.
- ^ “Astronomers Spot Most Distant Galaxy Ever Seen - The newly-discovered galaxy, named HD1, existed when the Universe was just 330 million years old.”. Sci News (2022年4月8日). 2022年4月9日閲覧。
関連項目
外部リンク
- “研究結果 | 135億光年かなたの最遠方銀河の候補を発見”. 国立天文台 (2022年4月7日). 2022年4月9日閲覧。
HD-1
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「コルグ・KRONOS」の記事における「HD-1」の解説
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